みやちゃん大好き
34. ~あとがき~ 亡き父との約束
入院の前々日には、誕生日会を開いて誕生日のローソクを消して、ニコニコ笑っていた父が‥3週間後にはお葬式になっていた
高齢だと割り切っていても、直前の笑顔や言葉や、元気だった父があっけなく二度と会えなくなるとは何度考えても腑に落ちなかった
あの強靭な父が‥酸素マスクにつながれ、意識不明なってしまうとは‥
父が入院して、そのまま会えなくなってしまうとは思ってもみなかったので、人間のはかなさを深く感じた
寄り添って来た母のことを考えると、なおさら、理解できるのだろうかと思う
この『あっけない』と言う言葉は、人の死に直面した人たちから何度となく聞いていたけど、これが正にそうなのだと思った
母の隣には話好きの父の姿はなく、今、母のとなりの仏壇近くの白い骨壷の中に入ってしまった
母の悲しみは深く、「一緒に逝きたい」と言った
父が居なくなって仲良しの夫婦は、片翼を亡くした鳥のようで…悲しみが計り知れなく、置いていかれたのは母だった
それでも生ある限り、生きていかなければならない
「良いこともしてないけど、悪いこともしてない」
「それでも生かされてます」
父の言っていたこの言葉が、少し理解できてきた
父は永遠に私たちのこころの中で、そして思い出の中で生きている
※今日の挿絵は みや でした
~最後に~
最後まで読んでいただき、感謝いたします
意識の無かった父と約束し、この話を形にすることができました
亡き父も、きっと照れくさそうにして喜んでくれていると思います
まえがきにも書きましたが、懐かしく古き良き時代を生き抜いた父の世界の中に、色や風、においや光を感じてもらい、自分に重ねる部分があればことのほか嬉しいです
一瞬でも、コロナ禍の殺伐とした現実から抜けだし、父の生きぬいた穏やかだった時代にタイムスリップしてもらえたらという願いを込めました
近い未来、以前のようなほのぼのとした時代にもどれるように強い願いを込めて、この話を愛する父に捧げます
ゆみい