「フレンズオンアイス2019」地上波放送。首都圏在住の強みで見ることが出来た。

良かったし、むろんリピしている。気に入って満足している。ただ、実際にフレンズオンアイスで観てきた人の興奮した言葉と比べると、多少クールである。

一つは多分、日本テレビが全身を映さない映像がけっこうあったことから来ているのだと思う。
スケーターの動きは全身見てナンボなのに〜。バストショットいらないよ。
そう思ったけれど「地上波の放送は、CS見てねというプロモーションだから」という言葉を見かけて納得する。
なるほど、一般層の目を引き、CSに入ってもらうためには大輔さんの顔の方が重要だということか。
うーん。おじさんたちの思い込みだと思うんだけどなあ。ダンスを観る世代が増えているんだから、顔より動き全体をという視聴者の欲求は増しているような気がするんだけどなあ。
ま、とにかく。「ノーカット放送というのなら手足のカットもするな」というどなたかの言葉に深く同意したのである。



二つ目は、どうも放送は微妙に音ズレしているんじゃないかという話があって。
それを直したというある動画を見たら、確かにそちらの方が動きと音のシンクロ具合が良くなっていて乗れるんだよね。
こっちの方が私、絶対に興奮する。



と、いうことで、瑕疵がありそうな今回の放送で真面目に浸って妄想爆走させるのはやめて、もっと後でいいかな、と思った。
なにせ私、カーニバルオンアイスに行くのだ。ばっちり観ることが出来るはずである。
昨年、町田くんのラストダンスの感想は電車の中でスマホをポチポチいじって書いた。今年もそのパターンで行けばいいかな、と思う。
髙橋大輔選手以上に私にとって印象的な演技をする選手はいないはずだしね(あ、でも昌磨くんがいるか。ちょっと危ないかも)



ただ、観ていてしみじみ思ったこと。
「氷艶2019の次にこのプログラムって、実にありがたいなあ。」

氷艶2019は魅力があって、もちろん大好きなんだけれど、少しだけ足りないものがあった。
いや、作品としてはそれ、入れることが出来ないものなんだけれどね。





あの、氷艶2019の光源氏の最後の「慟哭の舞」。
あれを観て、2013全日本のビートルズメドレーの演技を思い出したと語っていた方がいた。
私は思い出さなかった。たたそれは、私にとってあの演技は見返したくない演技で、つまり心の中に封印しているからかもしれない。一方で、そうじゃないと言っておられる先輩ファンもいるので、単に人によって受け取り方が違うという話なんだろうけどね。

しかしその後、そもそも宮本亞門さんが髙橋大輔という人に目を奪われたのが、その2013全日本フリーの演技だと知った。
(ちなみにご存知の方が多いとは思いますが、宮本亜門さんは氷艶2019の後、亞門と改名されています)



それで思ったのである。
あの「慟哭の舞」は、27歳の大輔さんなのではないかと。

氷艶2019で、光源氏は成長していく。いいかえると髙橋大輔という人は、最初は十代の少年から愛を知り人を守りたいと思う青年へと成長していく姿を演じ切っているのである。
棒読みだった人生初の本読みから三週間で高橋大輔はそういう演技を作り出したのだ。成長していく姿を、他人を観察して作り出す時間的余裕はなかっただろう。自分自身がその頃どうだったかという記憶から作るしかなかったと思われるし、演出家の亞門さんはそれをうまく引き出したのだと思う。

そして、宮本亞門さんは、彼にとって一番印象的だった髙橋大輔の姿をクライマックスに置いた。だから2013全日本選手権フリーを連想するような場面となった。
そう考えたのだ。

しかし、私はその2013全日本の後にファンになった人で。
つまり、私が見つめていた髙橋大輔という人は「その後の人」なのだ。で、そちらもそれなりに魅力があったのである。
その部分がなかったと思う、あの作品には。むろん物語である以上、一人の演技者のすべての魅力を出せるわけじゃないというのは分かってる。
それに、元々髙橋大輔の少年っぽさが好きだった人間なので、そちらを存分に堪能できた氷艶2019はありがたいと思っているんだけれど。



「The Phoenix」を観て逆に気がついたのだ。
このプログラム。
色んな物を捨てる羽目になって、それらを手にすることはないと分かってしまった男。それでもなお、手に入れられる可能性があると、欲しいものに対して「つかんでやる」と笑って手を伸ばすような姿だと思った。

主人公が夢破れたところで終わってしまった氷艶2019では描きようがないもの。
人生に痛みがあることは当たり前と分かって、なお生命を燃やす男の魅力。



欠けていたところに、すっぽりとこのプログラムが入り込んだような気がしたのである。
言い換えると28歳から33歳までの髙橋大輔の、今まで描かれていなかった部分が表に出てきたというか。(心が放浪していた時期については破沙羅の義経やLOTFに描かれていたと思ってる)



そして、「The Phoenix」に興奮していたから忘れていたけれど、「Pale Green Ghosts」は髙橋大輔選手のもう一つの魅力、魔物性がしっかりあるし。いいバランスだよな、と思う。
うん、これからが楽しみである。







…しかし、氷艶2019の記憶は消えていくだろうから…やっぱりエキシビジョンナンバー、氷艶の曲で作るとバランスいいと思うんだけどな。
と、また、この間思ったことを未練がましく考えたりもする。