どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おつきさまのやくそく

2020年03月28日 | 絵本(日本)

          おつきさまのやくそく/いとうひろし/講談社/2009年

 

 おひさまが しずんで あたりは すっかりくらくなりました。それでも、お父さんは、帰ってきません。今夜は僕一人、ひとりで ごはんをたべて ひとりで ベッドに はいります。

 きょうは満月。でもくもっていて 夕日も夕焼けもみえませんでした。そんな時、おつきさまがぼくの家にやってきました。

 「こんばんわ」お月さまが手をふっていました。ぼくは いそいで 窓をあけました。

 それから二人で、しんけいすいじゃくしたり。お月さまがハンバーグをつくってくれました。おとうさんがつくってくれていたのはカレー。ごはんのあとは、かくれんぼ、お風呂、そのあとはジュースを飲んで、テレビを ちょっぴりみたり。

 ベッドに入りながら、「お月さまは いつも こうして みんなと 遊んでいるの?」と、きくと、お月さまは、曇った日の満月だけとこたえてくれました。

 ひとりぼっちの 子どもと あそぶのは、曇った満月の日だけ。それも 一人の子に一回だけ。

 「ぼくがおとなになって おとうさんになって、ぼくのこどもが ひとりぼっちになる 夜が あったら ぜったいに あそびにきてね」というと、お月さまは「うん、くるよ」と約束してくれました。

 そして、寝る前にお月さまが かえるのおやこの お話をしてくれます。でも、ぼくは いつのまにか 眠ってしまい、あとは よく わかりませんでした。

 気がつくとおとうさんが あたまを なでてくれていました。だけど お月さまは、どこをさがしても いませんでした。おとうさんに お月さまと遊んだことを 話すと、お父さんは お話の続きを話してくれたのです。

 じつは お父さんも ひとりぼっちだった日に お月さまと 遊んだことがあったのです。

 ひとりぼっちの子を なぐさめようとやってきたお月さまですが 何でも知っているようで、子どもっぽいところがいっぱい。かくれんぼでは、ひかりが もれてすぐみつかってしまい、ほめられると、鼻の穴がひろがり、ぼくが わざと 神経衰弱でまけてあげると ぴかぴか ひかって おおよろこび。でも子ども目線であるのが一番です。

  この世の中、いつ病気、事故、災害などで単身家庭になってしまうかもしれません。小さい子にとって、ひとりぼっちですごす夜のこころぼそさは想像に難くありません。

 お月さまが「おかあさんが いなくて さびしい?」と、ぼくにきく場面があり「みんなと おなじことをきくんだね」と、ぼくは こたえるのですが・・。

 この物語では、お父さんが家で仕事をしていて、しょっちゅう家を留守にしていないので、素直に受け止められるのですが、いつも外にでているとしたら、別の物語になるのでしょうか。

 自分の子どもが小さいころ、シングルファーザーがいたことを思い出しました。


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