Fish On The Boat

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『読書会入門』

2019-12-07 23:54:47 | 読書。
読書。
『読書会入門』 山本多津也
を読んだ。

「読書会」という集まりがあって、
いろいろなところで小規模にも中規模にも開催されていることを
僕が知ったのはごく最近です。
たぶん、ツイッターで読書会について書いていらっしゃる方がいた。

こうやって読書記事を中心にブログを書いている僕ですから、
「それ、いいなあ」とは思うのですけども、同時に、
どんな雰囲気なんだろう、
とやや自分に合わない方向でイメージしたり、
人前で感想を話すなんてハードルが高いかも、
とスピーチをするかのように考えてしまったり、
人見知りだからちょっと緊張しそう、
といった、「ちゃんとしなきゃ」的な姿勢が顔を出してきたり、
そうやって読書会に壁を感じさせたものです。

でも、どうやら、読書会とは楽しむものであって、
肩の凝らない集まりとして、少なくとも本書の著者が主催している
読書会・『猫町倶楽部』は存在しているようです。
本書は、そんな『猫町倶楽部』の誕生きっかけ、運営方針、などを紹介し、
読書会でいろいろな人たちと語り合うことが多角的な読書になることを示し、
加えて、読書会は居心地の良いコミュニティとしての面があることも示してくれます。
いいですよね、そういう「居場所」って。

僕も、職場での雑談で、「我が街にも読書会があればいいのに」
と言ったことがあって、僕が主催してもいいのだけれど、
はたして人が集まるのだろうかと考えてもみました。
しかし、それ以前に、僕自身が介護をしているので、
読書会の当日にドタキャンする事態が十分に起こり得るため、
今はちょっと難しいなあとあきらめた経緯がありました。
でも、誰かがやってくれたら参加したいですよね。
今日はいけません、って断ることができる気楽さで。

また、僕がこれまで考えてきたことやそれらによって生まれた姿勢なんかが、
著者の述べていることと折々で重なっていて、
僕も似たような道をたどってきたんだな、と気づかされるというか、
やっぱり「全ての道はローマに通ず」だし、
その道端で目にする物すらローマに通じるための標識みたいなもので、
それだってローマへ到着する前に各々の場所で
各々が目にしていたりするんだなと思えました。
たとえば、
「読書でグレーに留まる力を養う」そして
「曖昧さを抱え続けることが知性」というのがあるんですが、
これは僕の言葉で言えば、留保する力、
白黒決めずにどっちつかずの状態のまま自分の内に抱えておくことがよいのだ
とする姿勢とおんなじようなことです。
そのような自分との共通項を、ぽこぽこと、
本書では何度かお目にかかることになりました。

読書会の基本的なポリシーみたいなところは、
読んでいると、そうだそうだ、と読めますし、
そこで言われている大事なことにあまり目新しさは無いのだけれど、
大切なことなんだよなあ、と思える点は、
きっとその論理を含んだ考え方全部が、
時代の進みによってここ何年かで
コモディティ化してきたものであったからではないか。
それだけ、無理なく、既視感すら感じながら読めました。
でも、そこで述べられたことは、至極まっとうな考えだと思いました。

というわけで、
今回は、こないだ上原ひろみさんのコンサートへ行った時に、
丸善&ジュンク堂で購入した中から、
コンサート会場で開演時間までの時間を使って読んだものを読了して
感想そして紹介をいたしました。
すぐ読めて読書会が知れるので、
興味のある方は目を通してみると良いですよ。


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