miniな舞台

観劇記録+日記@不定期更新。俳優・内野聖陽さんを勝手に応援中!時々サカナクション。

No.621 「最貧前線」

2019年09月17日 23時54分58秒 | 2019年の観劇記録
2019年9月14日(土) ソワレ 水戸芸術館ACM劇場 1階 H列 センターブロック ほぼセンター

船長:菊池太平=内野聖陽、艇長:大塚少尉=風間俊介、通信長:柳准尉=溝端淳平、漁労長:及川辰吉=ベンガル、無線士:千田長政=佐藤誓、賄い夫:上野寅蔵=加藤啓、砲術長:大堀兵曹長=蕨野友也、水兵:上村二等水兵=福山康平、水兵:小野田一等水兵=浦上晟周、機関士:佐々木逸平=塩谷亮、見習い:太田はじめ=前田旺志郎。
原作=宮崎駿、脚本=井上桂、演出=一色隆司、美術=松井るみ、映像=上田大樹、ステージング=田井中智子、アクション=渥美博、他。

太平洋戦争末期、昭和19年。
横浜の港では福島の漁船吉祥丸が出航を待っていた。ほとんどの軍艦を沈められた日本海軍は、来襲するアメリカ軍の動静をなんとか探るべく、漁船を駆り出して海上で見張りをさせようとしたのだ。
特設監視艇となった吉祥丸を率いるのは艇長の大塚、そして小さな船には通信長の柳や若き将兵たちと、元々の漁船の船長である菊池や漁師仲間が乗り込んだ。
実戦経験はあっても漁船での航海に慣れない軍人たちは、クジラを敵潜水艦と間違えたり、嵐の予兆を察知できなかったりと、海の職人である漁師たちと ことあるごとに対立してしまう。
やがて軍人たちは漁師たちの見識に一目置くようになり、互いの間には徐々に信頼関係が芽生えていった。
しかし、戦況は厳しく、吉祥丸は海の最前線ともいうべき南方の海域にわずかな武器を携えて派遣されることになってしまう。
果たして、吉祥丸は帰って来られるのだろうか――。
(あらすじはプログラムより)

はるばるやってきました。水戸。
「最貧前線」が生まれた所で観る!
水戸芸術館は素敵な作りでした。まぁバブルの残り香(ハコモノ的)はかなり漂うが、市民の皆様が有意義に使ってらっしゃったので、いいなぁと思った。

ACM劇場は凄いコンパクトな劇場で、東京グローブ座より小さく、世田谷パブリックシアターのミニチュア版のような空間。
1階の中央部分はなんと6列しかなく、馬蹄形に3階まで客席が作られていた。
その2列目どセンターで観劇。
ち、近い!近すぎる!
特に吉祥丸がナナメに配置されたり、船首が客席に向くダイナミックなクライマックスシーンなどは目を見張る!
船のセットは3層仕立てで、一番下が船底(機関室・無線室・倉庫等)その上が甲板とブリッジ(船長役の内野さんはココにいる率が高い)、さらに上に監視用の見張り台が。この見張り台はものすごく高いので、かなりの時間見上げる事になり、クビが痛かったorz
場面転換や説明時には紗幕に宮崎駿さんのイラストが映し出され、波飛沫のプロジェクション・マッピングなどはデジタル。
一方、影の主役と言うべき吉祥丸は作業着姿の黒子スタッフさんが人力で身体全体を使いグルグルと回してくれる。
そのデジタルとアナログの融合!
これは体感しないでどうする?という位の舞台装置、そしてキャスト達の熱演、動きと相まって船上の揺れをリアルに感じさせられるモノとなっていた。

こんな小さな漁船さえも戦争の最前線へと繰り出されたという事実。
井上ひさしさんも、このような余り知られていなかったであろう悲劇を書いていらっしゃったが、今 現代を生きている私たちや、もっと若い世代にも伝えておかなければならないと思った。
そして「平和が何より」「命を大切に」これが一番だと思う。人を人と思わない、命はリセットボタンを押せば生き返るものではない、そういう時代になりつつある(もうなっているのだろうが)現代だからこそ観る価値のある作品。

それと仲間を信じて、足りない所は補いながら長い航海を乗り切る漁師達の結束力。
チカラで押さえても何も良くはならない。
艇長の大塚も最初は理解すら示さなかったが、徐々に漁師達の考えや生き方に同調し、最後は「生きて帰る」事を大切にしてくれたのが良かった。

敵艦に撃墜された仲間の船を水葬で見送るシーンは胸が熱くなった。
そして2幕のコンソリとの対決シーン。
手に汗握る迫力の中、内野さん演じる船長の命がけの機銃操作。す、すごい!
もう観てる私はクチが開いたままです…

人望の厚い船長♪
軍人としてはさすが一流の艇長
脚を痛めている通信長、無線室で通信士とのシーンは何となくタイタニックみ。
酸いも甘いも知っているベンガルさんの漁労長
無線士の佐藤誓さんもアドリブ満載でカワイイ
また見習いの前田旺志郎くんが上手い!

ラストはホッコリする終わり方で良かった。
そして平和になって良かった。

カテコ2回目で早くもスタンディング、4回ありました。
この地で観劇できて本当に感謝です。

もしまだ観るのを悩んでいる方がいらっしゃるなら、一見の価値はあると思います。
600回以上舞台を観ている私が太鼓判押します。内野さんが出てるとか、ソレ置いておいても(おいw)


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2 コメント

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とにかく感動。 (ゆき)
2019-09-22 23:26:13
戦時物で、ちょっと心配でした。
が、全く杞憂でした。

私が一番印象的だったのは、落ちた水平さんの回収。
操舵上、後退する事なく、上手く回収した時の頭のニヤとした顔、対照的に苦虫をかみつぶしたような顔の艇長。
命を大事に、でも、ちゃんと仕事してますよ!感が、素晴らしかった。

海軍省の話で、思い出した事。
親曰く「父(私の祖父)、仕事で海軍省に出入りしてた時、必ず帰りに大きなブリキのお弁当箱に炊いてあるご飯をいっぱい詰めてきて、ご近所に分けてた。」
海軍省で、残ったご飯(きれいなやつ)を貰ってきてたらしい。ブリキ箱も、自分で作って持ってたらしい。さすが元祖ガテン系。(笑)
ご近所さんに感謝されてたらしい。

非常時でも、有るところには、有るのね。

もう1回、ちゃんと映像と共に観劇したい。。。
次回もっと噛みしめたい! (mini)
2019-09-24 22:40:52
>ゆき様
ちょっと色々上手くいきすぎな気もしましたが、本当にリアルに描いてしまうのもな~とも思いました。

そう!落ちてしまった軍人さんの回収シーンは漁師と軍人との対比が出ていて いいですね♪

白米が食べられるって戦時中は奇跡のような事ですものね…
戦争が進んでいくと我が家の蚊帳の吊り金具や窓の鉄枠さえも供出させられたと、生前の祖母から聞いていました。
そんな小さな金属も出すんですからね~

私も少し離れて観劇したい…
のですが次回の世田パブも有り難い事に前方席、最終の地も有り難い事に前方…(こちらはシモテよりorz)

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