たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

下諏訪の新鶴本店の塩羊羹

2020-02-16 10:25:15 | 国内旅行

長らく更新が滞っていました。
早春の麦畑で農作業をして居ると音楽室から聞こえてくる、
春立つ気配を歌った「早春賦」の想いを綴ってから、
気が付けば10日以上経っていました。

国宝松本城と諏訪大社に行ってきました。
新鶴本店の「塩羊羹」を土産に買いました。

松本城は後にして始めに「塩羊羹」の話をします。
「諏訪大社の御柱」は超有名で知らない人は居ません。
たにしの爺的には、諏訪と言えば「塩羊羹」と「小口さん」です。



現役時代に勤めていた部に諏訪出身の女性が居ました。
彼女、帰省すると偶に箱入りの「塩羊羹」を土産にくれました。
同僚には内緒で、私にだけ手渡してくれました。

「美味しかった??」と聞かれますが、
当時は、それほど美味しいとも、感動もなく、
あまりいい返事をしていなかった記憶になっています。

普通に知っている甘いあんこ羊羹とは違っていて、
塩味の「芋羊羹」とも思っていました。
私の返事に、彼女は少し、不満そうな表情をしていました。

それというのも、箱の中に切れ目もなく詰まっていて、
付いている木のへらで切り取り、頂くのですが、
頂いているうちに甘さより、塩味が口に残るようになって、
そのことを話すと、一度に全部食べなくてもいいのだという。



それ以来、諏訪の銘菓「塩羊羹」が記憶に残るようになりました。
その後、中央高速道利用のバスツアーで諏訪湖SAで休憩した際には、
「塩羊羹」を土産に買ったり、同行者らに講釈していました。

今回の旅で下諏訪駅の観光案内所の方から、
観光コースや見どころを親切に詳しく、
地図上に記や線を引いて説明してくれました。

現地案内所で生で聞く街角情報は、
ネットで見ている観光地図では分からない、
土地の街の空気が伝わる情報だと知りました。


案内所の係員から頂いた和田峠産の黒曜石の矢じり

土産に「塩羊羹」を買いたいと話したところ、
地図上に赤丸を付けて、ここがいいですと、
教えてくれた店が秋宮の近く「新鶴本店」でした。

諏訪大社下社秋宮の近くにありました。
レトロ感一杯、昭和初期の頃の2階建て木造店舗。
布製の日差しと暖簾が下がっていました。

店頭には和菓子も色々とありましたが、
試食用に小分けされた塩羊羹を味わっていると、
秋宮で法被を着てガイドをしていたおじさんが、
十数人の観光客を引き連れ、入ってきて、
「試食させてもらえる」と言うのでした。

お店の女性が「はい、どうぞと」試食品を追加しました。
観光客らが楊枝で突っつきます。
「しょっぱいや」と言う男の観光客に、
たにしの爺、知ったかぶりの蘊蓄を一くさり、
「知っている人は知っている、知らない人は知らない」
これぞ諏訪の銘菓で有名な「塩羊羹」だと教えました。

試食したご一行の中で2,3のご婦人が。
和菓子など買っているようでした。
爺も同行人ともにお土産に塩羊羹(小 950円)を購入しました。

駅の近くに戻ってきて、お土産屋さんに入りました。
いろいろなサイズや包装された「塩羊羹」が、
半値近くの値段で山積み並んでいました。
同行人曰く「何だ、ここで買えばよかった」と。

土産店の女性曰く「それとは違うんです」と、
新鶴のマークの入った袋を指差すのでした。
観光土産店や高速道路のSAで売られている、
「塩羊羹」は日持ちする「塩羊羹」なんです。

新鶴本店の「塩羊羹」は本店でしか買えない。
明治6年創業、羊羹に塩味を加えることを試み、
小豆、寒天、砂糖と塩のなじみ具合に工夫しながら、
手作り一筋に続いている「新鶴の塩羊羹」。



家に帰って、同居人にも供しました。
最初口に入れたときは塩味を感じますが、
徐々に塩味が甘味に変わり口中に広がります。
とても上品な味で、お茶を含むと一層美味しくなります。

普通のあんこの羊羹のように大きな切れ目でなく、
小片に分けて味わいながらいただくのがいいようです。
塩の風味が甘く口内に残って味わ深い羊羹ですね。

諏訪大社に行かれたら、ぜひ、
一本お買い求めることをお勧めします。
950円の小で十分です。
箱入りを買っても多分、食べ残すでしょう。



銘菓は少々頂くことで記憶が深まります。
欲しくなったら、もう一度、訪ねましょう。

ずいぶん「塩羊羹」談義が長くなってしまいました。
「小口さん」については、書く気力が無くなりました。
「星さん」と言えば「会津地方」に多い姓のように、
「小口さん」と言えば諏訪地方の出身者に多いということで、
定年後の職場にも「小口さん」がいて、
かつての職場にも諏訪出の人が居たということです。

松本、諏訪は新宿から中央線で行く。
上田、長野は上野から信越線で行く。

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
新鶴本店の塩羊羹 (雨曇子)
2020-02-18 08:01:17
この薀蓄はすばらしい!
同僚のお土産エピソードもよく効いていると思いました。これを賞味するまではあの世に行けない!という気にさせましたよ。
恐縮です (谷氏)
2020-02-19 08:10:08
雨曇子さん、ご無沙汰しております。
「塩羊羹」の想い出綴りにお付き合いくださり恐縮です。
同じ長野県内でも、東信の上田、北信の長野方面は良く知っていますが、
中信の岡谷、諏訪、松本は降りることなく、
通り過ぎてしまいますが、諏訪で降りたのは馴染めてでした。
南信の木曽、伊那、飯田はあまり縁がないですね。