潰瘍性大腸炎 & クローン病&過敏性腸症候群の改善・完治・根治

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▼ 潰瘍性大腸炎/クローン病、過敏性腸症候群
潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が起きる。クローン病は、大腸、小腸、胃、そして、口からおしりまでの消化器官に症状が出る。
ときには、どちらの病気か判断が難しく、海外では、潰瘍性大腸炎/クローン病のどちらか診分けることが難しい症状という病名があります。

これらの病気に似た症状があるのが、過敏性症候群です。腹痛、下痢、便秘と下痢を繰り返し、炎症する時期とそれがなくなる寛解の時期を繰り返す。でも、内視鏡検査をしても異常なしで、出血もない。
海外では、過敏性腸症候群に加え、炎症性腸疾患があるという診断名が下ることがある。

▼ 誤診
初発症後、再燃しなかったケースは、誤診ではなかったかとの説があります。その割合は10%。ただし正確なデータはなし。

▼ 潜在的に潜む根本的な原因
初発症後、再燃し、その後、苦労して薬なし炎症なしでの状態へ持って行き、5年、10年たった人たちがいます。でも、油断すればいつか症状が戻って来るという微妙な症状がほんのわずかある。
病気はストレスが引き金になるということを体験的に叩き込まれているので、ストレスの波が来ないように、来たら、回避に努めようとする。

なかには、大きなストレスに直撃されるのを許し、10年以上、健康体だったのに再燃してしまった人もいます。病気の根本的原因を完全になくすことができていなかったからです

▼ 潰瘍性大腸炎/クローン病、関節リウマチ、膠原病
潰瘍性大腸炎/クローン病は、症状を見えなくするという治療方法があります。


ステロイド、レミケード®などの生物学的療法は、潰瘍性大腸炎/クローン病だけでなく、関節リウマチ、膠原病など、症状が全く違う病気に使われています。いずれも、症状が重いケースのための治療方法です。

治療は、痛みや腫れなどを起こすシステムの間に入り込み、痛みなどが起きるのを阻止するため。ですが直接に病気の根本的原因に働きかけるということはしません。

▼ 根源太郎
難病の根本的な原因はなになのか? 戦後の同じ時期に発病し始めたことから、病気ごとに原因があるのではなく、ひとつに絞り込めるはず。

名付けて根源太郎とします。

 

憶測としては、根源太郎が周りにある細胞や細胞が作り出す物質に働きかけ、腸や関節などに炎症を起こす。

 

そのシステムは、腸の炎症ならこんな感じです。

根源太郎 → 腸の細胞 → 物質 → 腸の粘膜細胞 → 炎症

 

実際は、もっと複雑。

 

根源太郎 → 腸の細胞 → 物質 → 物質 → 物質 → 物質 → 物質 → 物質 → 物質 → 物質 → 物質 → 物質 → 物質 → 数千種類の物質 →痛みA

まったく違うルートで 痛みB、痛みC、痛みD・・・。

 

下痢、便秘、渋り便、出血、熱なども、根源太郎から次々と異なる物質の連鎖から起きます。

 

 

◎ 点は化学反応を起こす物質。根源太郎に刺激を受けて連鎖反応が起き、最終的に症状が起きる。

 

 

 

アサコール®やステロイド、レミケード®は、この物質の連鎖のどこに作用するのでしょう?

 

厚労省から出されたパンプレットの記事から

 

● 服薬遵守を知っていますか 

潰瘍性大腸炎は、再燃を予防するために長期にわたって5-アミノサリチル酸 製剤(5-ASA製剤:ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®、サラゾピリン®)の 服用が必要です。  

 

患者は、腹痛や下痢などの症状がある活動期には、きちんと医師の指示どおりに 薬を服用できますが、症状がない寛解期に長期間にわたり薬を服用し続けることは難しくなるようです。  

 

グラフを見てください。

 

 

● 薬の服用と緩解維持の関係

2年間の5-ASA製剤の服薬状況を調査した結果、 指示どおりにきちんと服薬を守っていた患者さん(服薬遵守群)の約90%が 寛解を維持できていました。

一方、服薬を守っていなかった患者さん(服薬 非遵守群)では約40%と低く、6割の患者さんが再燃したことが報告されて います。

 

服薬を守れない理由として、飲み忘れ(50%)、錠数が多いこと (30%)、薬の必要性を感じないこと(20%)が挙げられています。 

 

重要なことは、症状がない寛解期でも、服薬遵守することで再燃を予防し、 長期にわたって寛解を維持することができるということです。

さらに、 5-ASA製剤の服薬の継続は、潰瘍性大腸炎に合併する大腸癌発症のリスクを 低下させることも報告されています。

したがって服薬遵守は再燃予防だけで なく、大腸癌予防の観点からも重要です。

 

5-ASA製剤によっては、1日1回の服用で十分な効果が得られることが 確認されている薬もあります。確実に服用を継続するために、1日1回の服用 を試してみるのもひとつの方法です。

 

説明: 1日1回の服用とは、リアルダ®のこと。1錠に2400mgのメサラジンが含まれる。

 

【リアルダ錠の用法用量】

通常、成人にはメサラジンとして1日1回2400mgを食後経口投与する。
活動期は、通常、成人にはメサラジンとして1日1回4800mgを食後経口投与するが、患者の状態により適宜増減する。

 

【リアルダ錠の特徴】

①    有効成分であるメサラジンを最大4800mgまで投与可能
②    服用は1日1回
③    メサラジンは、炎症を起こしている大腸の粘膜に直接作用することで効果を発揮し炎症を抑えます。リアルダ錠は、他剤に比べて最も多くのメサラジンを投与することが可能です。
④    リアルダ錠は「MMXテクノロジー」という製剤技術によって、メサラジンを持続的に、直腸まで大腸全域に放出することが可能です

 

● 英語サイトでの評判

56%の患者は満足。でも、15%は嫌な思いをした。嫌な思いの仔細は不明。恐らく、副作用と大きすぎてのみづらいこと。

 

● 大きすぎる

錠剤のサイズが長さ2cm、横幅も厚みも1cm近いリアルダ。

 

英語サイトでは、リアルダを半分に割ってもいい? つぶしても良い? かみ砕いてもいい? という質問がたくさん寄せられています。

切ったり潰したり嚙み砕けば、錠剤の外側を覆っているコーディングが壊れて、大腸に届く前に溶けてしまいます。なので、丸呑みしないといけません。

 

からだの大きな白人でも嫌がるサイズ。日本人なら、なお辛い。

アメリカでは5歳から17歳を対象にした治験が行われています。どうやって飲ませたのでしょう・・・。

 

● コーティングが厚い? 中身の薬量が多い?

なんでそんなに大きいんだろう。

理由は明記してありませんでした。憶測としては、

ひとつ) 一気に溶け出してしまわないように腸内のpHの度合いによって少しずつ溶け出るようになっている。コーティングに工夫を凝らしているため厚みがある。

ふたつ) 1日3回分の薬が入っているので、大きくならざるを得ない。

 

● 患者の不満

1日1回なのはありがたい。でも大きすぎるのは、呑み込みづらく良くない。

 

 

 

http://www.ibdjapan.org/patient/pdf/01.pdf

 

 

 

 

調べ物をしていて偶然に見つけたサイトで紹介されていた子ども患者と、お母さんの手紙です。

全文抜粋させていただきました。

 

病気の子どもの学校生活を支える ―潰瘍性大腸炎・クローン病-

 

http://www.zentoku.jp/dantai/jyaku/h25kaiyou_kuroun.pdf

 

 

● 経験者からのメッセージ
僕は、4 年生のときに発症しました。
体はしんどくなかったですが、トイレに行くと下血があり、しだいにトイレに行く前に漏れてしまったり、貧血にもなりました。
(潰瘍性大腸炎という)病名がわかったときは、学校にいつもどおりいけるか、下血はとまるのかということが心配でした。
入院が決まったとき、どんな治療をするのだろうか、ちゃんと効くのかと心配でした。
入院生活ではどれくらいの入院になるのかと不安でいっぱいでしたが、友達と遊んだり、院内学級にいったりと楽しいこともいっぱいでした。
治療をいろいろしても効果がなく、どれをしたら効くのだろうかと思いました。
 (小学6年生児童)



●  経験者の保護者からのメッセージ
大きな病気に罹ることもなく元気に育ち、周りの子ども達にくらべ、身長、体重も平均よりいつも超えていました。

4 年生になった9月頃、風邪が長びき、1ヵ月ほど微熱がつづきました。その頃から、下痢や腹痛をうったえていましたが、「風邪」だと思っていたし、町医者も風邪の薬を出していたので、ずっと飲ませていました。


10月中旬、40度を超える熱が出て、鼻血を出す様になりました。その頃からトイレに行くと「血が出る」と言う様になり、トイレの回数もふえました。


学校の帰りに、下着をよごしてしまう位、がまんが出来なくなっても、なお、私は、「学校や家でちゃんとしないから、そうなるの」と怒った時もありました。今となっては、最悪の母親だと後悔してもしきれません。それからも、ずっと「トイレで血が出る」と子どもは言っていましたが、「子どもでも‘ぢ’になるの?」と軽く流していましたが、ある日、「一回見てみるから、トイレから呼んで」と言って見に行くとがく然としました。
小学4年生にもなると、1人でトイレをすませるので、いちいち見に行く事もなかったのですが、トイレの中は血だらけで言葉をなくしました。


次の日、すぐに近くの町医者につれて行きました。いつも行っていた病院ですし、肛門科もしていましたので、何のうたがいもなく行ったのです。子どもはいきなり指で診察され、痛みのあまり失神しました。私は肛門がどういう状態かわからなかったので、子どもがふざけて寝たふりをしていると思ったのですが、様子がおかしかったので、すぐに先生に「大丈夫ですか?」と聞くと、すぐに「紹介状を書きますので、すぐに行ってください」との事でした。


後日、市民病院の小児科でいくつもの検査をしましたが、「病名や原因がわからないので、後日もう一度、精密検査をします。」との事でした。ここまで来て、やっと事の重大さがわかったのです。「まさか、うちの子が」「今まで元気だったのに」とうらはらに、「もしかして、大変な事になっているのかも」と不安になりました。


何度検査をしても、「数値がありえませんので、今からすぐ母子センターに行くことが出来ますか?」と言われ、すぐ母子センターへ向かいました。2泊3日の検査入院の結果、「潰瘍性大腸炎」という、聞いた事もない名前を耳にしたのです。

 


病名がはっきりした以上、「くよくよしている暇などない」とすぐに頭は切り替わりました。自分を責めている暇などないと。しかし、説明を聞くと、治療法がなく、難病であり、原因が不明との事。その事を、小学4年生のまだ幼い子どもにどう説明するべきか・・・。

 

悩んでいてもしかたないし、治療法がなく、一生つきあっていかなければいけない病気をかくす事はできません。主人と私と子どもとで先生の説明を聞くことにしました。意外にも子どもは自分のおかされている病気を理解し、きちんと質問をしてどうすべきかを聞いていました。

 

それからと言うもの、ずっと子どもの気丈さに支えられ、今日まで来ました。ありとあらゆる薬や点滴をして、1回目の入院は寛解にもっていくことができましたが、成長期の子どもにはステロイドの副作用で1年間は身長が伸びず、とまってしまい、顔はムーンフェイス、すごい食欲と、いろいろなリスクもありました。ステロイドは、40ml から少しずつ減らした時、再燃したのです。

 


2度目の入院。1ヵ月の予定でしたが、どの薬もどの点滴も効果がなく、半年後、体重は10㎏減り、状態は最悪でした。腹痛・下血・吐き気・関節痛・頭痛が毎日毎日続きました。栄養をとるため、IVH を入れましたが、症状は良くならず、このままでは腹膜炎をおこして、体内で出血してしまうとの事。次の日、手術となりました。

手術までの約1ヵ月間は、24時間関係なく1時間おきのトイレでの下血、吐き気でぐっすりねむれない状態でしたので、手術がきまり、「これで少しでも楽になれるのなら・・・」とホッとした記憶があります。

 


手術のあらかじめの説明はしていただき、書類にサインをしましたが、やはり不安はありました。「今の状態で、手術にたえることが、できるのか・・・」


術後のことは考える余裕もなかったほどです。

 

手術が終わり ICU で、摘出した大腸を見せていただき、涙が出ました。「大人だったらやぶれていましたが、子どもだから、これだけ、もったのでしょう」と先生は言いました。パレットにのせられた大腸は、すでに、ボロボロで、痛々しかったです。子どもの体の中で、がんばって病気と闘っていたのが、すごくわかりました。「10年間ありがとう」そんな気持ちになりました

 

ICU に入り、子どもと会うと、とてつもなく、くるしんで、いたがっていました。お腹をみると、見たこともない、内臓らしきものが、とび出て、ビニールのようなものにおおわれていました。生まれて初めて見た、人工肛門(ストーマ)というものでした。術後、人工肛門になることを知らなかったため、驚きと、とまどいでいっぱいでした。

 

その後話を聞くと、いったんストーマにして、半年後、肛門とつなぐ手術をするとの事でした。術後の痛みはひどく、1か月ほど、痛み止めの点滴をしていたと思います。大腸がないので、小腸が動くと痛み、切った後の傷の痛みとの闘いでした。


子どもは、意外にもストーマに理解を示して、大腸のかわりをしてくれている、お腹から飛び出している小腸をいとおしく思っている様子で安心しました。


自分の姿に理解できず、ストーマをいやがる人も少なくないと聞いていたので、また子どもにはげまされ、助けられました。はじめは、うまくあつかうことができず、困った時もありましたが、ストーマ専門の方にずいぶん助けられ、感謝しています。

 

そして何より、約1年弱の入院生活を少しでも普段とかわらずできたのは、支援学校と先生方のおかげです。支援学校がなければ、「ただの入院患者」で終わっていました。しかし、支援学校のおかげで、「子どもが子どもらしく生活」できる時間をもてたのです。地元の学校にもどる時の勉強の不安もなく生活できたのは院内学級のおかげです。親子ともどもお世話になりました。

 

本当にありがとうございました。これからも病気の子どもたちが少しの時間でも「学校に通う普通の子ども」でいられるためにも、支援学校は必要です。辛い治療があっても学校に通っている時間だけは、病人であることを忘れ、生徒になれるのです。これからもたくさんの子どもたちに、勉強や遊び、笑いを与えてください。

 


病気になって子どもは言いました。「病気の子ども達の気持ちをわかってあげられるようになった。」と。私は、子どもに言いました「ママは病気の子どもをもつお父さんやお母さんの気持ちが分かる人になったよ。」と。病気になって失った物ばかりではなかったです。本当に人の痛みが分かる、人の優しさが分かるようになった気がします。同じ病気や、違う病気をもつご家族が、1日でも早く幸せになりますように。 

 

 

● 医療関係者側の説明:

炎症性腸疾患とは、消化管に炎症を引き起こす慢性の病気です。その原因について はいまだ充分には解明されていません。炎症性腸疾患に、,主に潰瘍性大腸炎とクロ ーン病の2つがあります。

日本の患者数は、潰瘍性大腸炎が10万人以上、クローン病 が3万人以上とされ、16歳以下で発症した患者さんの割合は潰瘍性大腸炎で 13%、クローン病で6%とされています。特に8歳以降に発症する小児患者が多い とされています。

潰瘍性大腸炎/クローン病で強い炎症があるとき、ステロイドが治療に使われます。アトピーやリウマチの患者にとってもステロイドは重要な薬です。

 

わたしたちのからだの中で作られるステロイドは、1930年代にアメリカの化学研究員パーシー・ジュリアン博士が発見しています。

 

 

ジュリアン博士は、1899年生まれで優秀な学生でした。ハーバード大学で教壇に立つチャンスがあったのですが、黒人が白人に講義をすることに反対意見があり、実現しませんでした。

その後も、仕事探しを続けましたが、当時、黒人は、日没後に家の外に出てはいけないという法律があり、かないませんでした。

 

大学での教授ではなく、化学的な研究をしよう。そう目標を切り替え、大豆の研究員を探していた会社に勤めることになりました。

それがきっかけで、人体の中で作られるステロイドを1930年代に発見します。

1950年代には、実験室でステロイドを製造することに成功。今、わたしたちが使っている薬ステロイドです。

 

▼ ジュリアン博士の名言集

 

教育は世界を変えるために使用できる最も強力な武器です。

 

生きることの最大の栄光は、決して転ばないことにあるのではなく、転ぶたびに立ち上がることにある。

 

成功は最終的なものではなく、失敗は致命的ではありません。重要なのは継続する勇気です。

 

素晴らしい仕事をする唯一の方法は、自分のやっていることを愛することです。

 

自分の未来を予測する最良の方法は、それを創造することです。

 

******

 

アメリカの人種差別は、半端ではありませんでした。その中を志を高く掲げて生き抜いた。

名言にはそれが反映されている。

 

自分の未来を予測する最善の方法は、それを創造すること・・・

できるかな…自分に。どうやるんだろう・・・。

 

 

 

▼ 炎症が起きるプロセス

皮膚や大腸の中などでの炎症。熱や充血、痛みは、さまざまな理由で起きます。

今まで紹介したのは、攻撃を受けた細胞が、SOSの信号を出し、それに気がついた好中球ちゃんやクロスケ、将軍たちが駆け付け、敵をやっつけるため、そこが戦場になり炎上すること。

みんなは、もともとはウイルスが細菌だったらしく、全員、自由に動き回ることができます。

 

今回紹介するのは、自ら動く免疫細胞ではなく、窒素、酸素、水素からできた物質です。

油アラキドン酸。可愛いイメージ画像でなくてごめんなさい。

 

 

▼ 物質による炎症の発生

大腸などの炎症は、物質である油アラキドン酸が原因でも起きます。

 

◎ 図

1)上は、血管の中を流れるすい臓で作られたハサミたと

  下は、細胞と油性細胞膜の一部です。

 

2) 細胞がウイルス/細胞の侵入を受け、炎症が開始。

 

 

3)細胞の中から発信されたSOS信号が、血管内に入る

 

 

4) ハサミが細胞の中に入り、細胞膜の中のアラキドン酸を切り離す

 

5)アラキドン酸がプージンに変身。     U 型からV型へ     

  

 

6)プージンが炎症を起こし外敵と戦う

  

 

▼ プージンは味方だけど、潰瘍性大腸炎/クローン病のときは、迷惑千万

炎症を起こしてばい菌やウイルスと闘う物質プージン。血管に入れば、痛みも起こす。からだの持ち主に、非常事態が起きていることを知らせるために。

 

でも、潰瘍性大腸炎/クローン病のように不要の炎症が起きてしまったら、プージンの働きを止める必要があります。

プージンは、油アラキドン酸の変身姿。ならば、変身前の油アラキドン酸の動きを封じ込めたらよい。

 

▼ 油アラキドン酸を封じ込める作戦

油アラキドン酸をどうしたらプージンに変身するのを食い止められるのか。考えられるのは、次の二つの作戦です。

 

作戦A: 細胞膜の中にいるアラキドン酸が、細胞膜の外へ出ていかないように、切り取り係のはさみの仕事を邪魔する。

作戦B: 細胞膜の中から細胞の中に移動したアラキドン酸の身柄を取り押させる。

 

▼ 油アラキドン酸を取り押さえるステロイド

薬ステロイドの働きは、作戦Aです。

 

薬ステロイドは、錠剤をでも、点滴注でも、血管の中に入って全身を流れます。大腸や関節や、打撲、ケガした場所で炎症が起きると、細胞からSOSの信号が出ると、細胞膜の中に入ります。アラキドン酸がハサミで切り取られる前に、薬ステロイドは、ふたつの間に身を入れて、ハサミの仕事を阻止します。

こうすれば、アラキドン酸は、細胞膜の外に出ることはありません。

 

▼ ハサミは逮捕し過ぎてはいけない

薬ステロイドもハサミも、血管の中を移動している。だったら、ハサミをさっさと逮捕すればよいとも考えられます。でも、勝手にどんどん逮捕してしまうと、血管の中にハサミがなくなってしまいます。

そんなことが起きてしまうと、困ったことが起きます。たとえば、背中におできがたとします。おでき細胞たちは、からだの持ち主にそのことを知らせるため痛みを起こしたい。でも、薬ステロイドが、ハサミを血管の中で摂り押させてしまっていれば、細胞膜の中の油アラキドン酸を切り離すハサミがない。

 

油アラキドン酸が細胞の中に入らないと、プージンに変身できない。すると、炎症も痛みも起こせない。

そうなると、ばい菌やウイルスの天下となり、おできは悪化していく。

 

炎症も痛みも必要です。からだを病気から守るために。

 

 

モナコの王子様とグレース。

 

 

モナコの王子は、アメリカを訪れていた時、グレイス・ケリーが出演する映画の撮影に見学に行っています。

 

ストーリー: あつ小さな国の美しい姫は、彼女のフェンシングの先生で博士号の肩書を持つ青年が恋に落ちます。それを目の前で見ていた大国の王子。青年は、姫から御家復活のため、大国の王子と結婚しなければならないことを聞かされ、貴族出身ではなかったことから潔く身を引き、去っていきます。

姫は、母親がたくらんだ筋書き通り、王子の関心を引くことができ結婚することになります。

 

当時、モナコの王子は、電話と文通でのおつきあいで、まだ半年しかたっていなかったグレースとの関係をどう進めたらよいのか迷っていました。でも、この映画の撮影を見ているうちに、気持ちが固まっていった。

 

ある晩、王子は、レストランでの夕食後、グレースを散歩に誘い出しました。プロポーズするために。ですが、そこを出たとたん、グレースの知り合い夫婦に声をかけられ、グレースが一緒に散歩しましょうと呼びかけたことで4人で散歩することに。事情を知らない夫婦は、談話を楽しみながらなかなか去らない。

やっと夫婦が去ったときには、夜はかなり更けていました。

王子は、グレースを人目につかない木陰に誘い、やっと婚約指輪を渡しながら結婚を申し込むことができました。

 

グレースは、思いもしなかった突然のプロポーズに、もちろん感激し、イエスと答えます。

 

その後、王子はモナコに帰り、グレースも家に帰宅。

 

 

 

嬉しさいっぱいのグレース。ですが、親友たちが集まってくれたその日、彼女は、みんなにある心配事を打ち明けます。

▼ 炎症が起きるプロセス

皮膚や大腸の中などで起きる炎症は、次のようなパターンで起きます。

 

1)上は、血管の中を流れるハサミ

  下は、細胞の一部と油性細胞膜

 

2) 細胞が外敵の侵入を受け、炎症が開始されます

 

 

3)細胞の中から発信されたSOS信号が、血管内に入る

 

4) ハサミが細胞の中に入り、細胞膜の中の油アラキドン酸(I)を切り離す

 

 

5)アラキドン酸がプージンに変身

 

             = P

  

 

6)プージンが炎症を起こし外敵と戦うことで炎症発生

  

 

▼ 不要の炎症を止めるには

炎症を起こすプージン。ばい菌やウイルスと闘うための作戦です。血管に入れば、痛みも起こす。からだの持ち主に、非常事態が起きていることを知らせるために。

 

でも、潰瘍性大腸炎/クローン病のように不要の炎症が起きてしまったら、プージンの働きを止める必要があります。

プージンは、油アラキドン酸の変身姿。ならば、油アラキドン酸の動きを封じ込めたらよい。

 

▼ 炎症を起こしているアラキドン酸たちの動きを阻止する作戦

 

作戦A: ハサミにアラキドン酸を切り取らせない細工をする。

作戦B: 細胞膜の中から細胞の中に移動したアラキドン酸の身柄を拘束し、プージンへの変身を阻む。

 

薬ステロイドの働きは、作戦Aです。

薬ステロイドは、錠剤でも点滴注でも、血管の中に入り全身を流れます。

炎症が起きると、細胞からSOSの信号が発せられ、血管の中のすい臓で作られたハサミと薬ステロイドが、血管の外へ出て、炎症現場の細胞膜の中に入ります。

 

ハサミがアラキドン酸を切り取ろうとする現場に居合わせた薬ステロイドは、ふたつの間に身を入れて、ハサミの行動を阻止します。そうすれば、アラキドン酸は、プージンに変身することはなく、炎症は起きません。

 

▼ ステロイドは、ハサミを血管の中で逮捕してないけない

だったら、血管の中でステロイドはハサミを逮捕すればよいとも考えられます。でも、勝手にどんどん逮捕してしまうと、血管の中にハサミがなくなってしまいます。

そんなことが起きてしまうと、困ったことが起きます。たとえば、背中におできができた。からだの持ち主は、おできが見えないので気がつかない。おできになってしまった細胞たちは、痛みを起こしたて知らせたい。でも、細胞膜の中の油アラキドン酸を切り離すハサミがなかったら、できない。

 

細胞膜の中から脱出できない油アラキドン酸は、プージンに変身できない。すると、炎症も痛みも起こせない。

そうなると、炎症現場は、ばい菌やウイルスの天下となり、持ち主が気がつけないおできは悪化していく。

 

炎症も痛みも必要です。からだを病気から守るために。

 

▼ 細胞を包む細胞膜は油性

人を含む動物は、お風呂や海、川の中に入ったとき、水に溶けてしまうということはありません。なぜかというと、からだを覆う皮膚や髪の毛、爪などの表面にある細胞たちは、油の膜で1個ずつすっぽりと包まれ、水分をはじく仕組みになっているから。

 

◎ イメージ画像: 油性の細胞膜

ぎっしり並ぶ2重の球体は油性で、そこから出ている足も、ごま油、コーン油、マーガリンなどに含まれるリノール酸などの油でできています。
卵の黄身やレバーに含まれ油アラキドン酸製の足もあります。

 

 

▼ 脱出する油アラキドン酸

全身の血液は、赤血球、好中球ちゃん、クロスケ、将軍、酸素、栄養素など、多種多様な物質を運搬しているのですが、その中に、すい臓で作られたタンパク質性のハサミがあります。

 

 

このハサミは、細胞が外敵に攻撃されたときに発するSOSシステムに反応します。そして、細胞の脂肪膜を構成している油アラキドン酸を切り離します。

 

▼ 油アラキドン酸がプロスタグランジンに変身

自由の身になった油アラキドン酸は、細胞膜の中から脱出し、周りにある物質を利用して、外敵をやっつけるための物質に変身します。プロスタグランジンと言います。愛称プージン

 

◎ プロスタグランジン=プージン (カービィゲームのキャラクターを拝借)

 

 

▼ プージンの働き

彼の仕事は、熱や妨害という戦術を使って外敵をやっつけたり弱らせる。この戦術は、炎症と呼ばれます。

血管に入り脳へ送られると、痛みを強める働きもします。

 

え? プージンは、血管に入るとき、「炎症個所: 左大腸の上から3cm小腸側 広さ01センチ四方/炎症程度は中度」とメモ書きし、それを脳に届けるのでしょうか?

 

ありえない。ならばどうやって痛みの個所を知らせることができるの? 

 

▼ 脳の痛みを強めるプージン

炎症現場の神経が刺激され、それが脳に瞬時にして届く。すると脳が痛い!と感じる。痛いのは脳なのですが、刺激物質の送り主は、左大腸の上から3cm小腸側なことから、脳はそこが痛いと感じる。脳の自己暗示か・・・複雑・・・。

 

1分ほどすると、送り主の大腸で作られたプージンが、血管を通して、大腸→肝臓→心臓→肺→心臓→脳というルートを通じて到着。プージンは、脳を刺激し痛みを強める働きがあり、からだの持ち主は、1分前よりも強い痛みを左大腸に感じる。

 

▼ 身に覚えのない痛み

たとえば、歯医者で治療をしたとき、痛いのは歯のはずなのに、なぜか例えば左足が痛くなることがあります。これは、そこでも気がつかないほどの小さな炎症が起きていて、その場の神経が軽く刺激されていたからなのかもしれません。

脳は、左足、ちょっと痛いかな。でも大丈夫だと思っていた。そんなときに、プージンがやってきてしまった。脳は、やっぱり左足が痛いと感じた。

 

からだの持ち主: 痛いのは歯だけなのに、なんで左足が痛いんだ! そういえば、今朝、電車の中で足を踏まれた。そのせい?

 

▼ 難病の不要な痛み

痛みは、からだの持ち主に、炎症が起きていることを知らせる重要な信号。でも、潰瘍性大腸炎/クローン病のように、好中球ちゃんやクロスケたちが勝手に炎症を起こし痛みを引き起こしているのなら、痛みなくしても、不都合は起きないはずというか、そうしないと、からだの持ち主の生活が乱される。

 

プロスタグランジンが不要に血管に入り、脳へ送られないようにするため、薬が使われます。これは、ステロイド以外の痛み止め。

ステロイドは、プージンの変身前のアラキドン酸に対応します。

 

続く

http://www.kawamura-cvc.jp/contents/allergy/allergy.html

 

 

▼ ステロイドの思い出

1980年代に、台湾に住んでいたことがあります。そのとき、日本から若者が旅してきて、これからインドへ行くとのこと。

「インドは衛生状態が良くないでしょ。ケガしてばい菌が入ると、大変なことになる。旅行中なので、保険がなく、そうなったら医者にはかかれない。なので、万が一に備えて、日本にいたとき、知り合いのお医者さんに頼んで、ステロイド入りの塗り薬を手に入れたんだ。」

そう言って、かばんの中から大切そうに、嬉しそうに、自慢そうに、3センチほどの小さなチューブをそっと出して見せてくれました。薬局の店頭で売っていないということは、銀色に光るチューブに商品用のラベルが貼っていなかったことからすぐにわかりました。

 

傷薬と言えば、オロナイン軟膏しか知らなかったわたし。

 

当時、わたしもインドへ行きたかった。でも、まさかステロイド入りのチューブが必携品とは知りませんでした。なので、ぜひともその貴重な薬を分けてほしかったのですが、極秘の薬とばかりに、そっとかばんの中にしまう彼を見たら、なにも言えなかった。

 

処方箋がないと買えない薬・・・。

 

そのあと、日本人の同僚がアメリカに引っ越し、結婚、出産、子育てをしていました。あるとき、彼女が、息子が腕にやけどをした。知り合いから薬局でステロイド入りの薬を売っているので、それを塗ったらよいとアドバイスを受けました。その通りにしたら、傷跡がまったくわからないほどに回復したとの連絡あり。

 

わたしは、日本に帰国していて、薬局でステロイド入りの軟膏を探しましたがなかった。

 

その後、カナダに引っ越し。しばらくして、わたしも、腕にやけどをしてしまい薬局へ。

売っていました。ステロイド入りの塗り薬としては有名な製薬会社で、ビタミンE入り、ビタミンC入りなどが10種類近くも。ただし、ステロイドだけの薬は売っていませんでした。

 

効果は強い、でも、副作用も強い。使い方を守らないと、危険だから。

 

治療に使うステロイドについては、使用者は、その薬がからだの中でどんなことを引き起こしているのか、きちんと理解している必要があるんだと、そのとき、思いました。

 

 

▼ 副じんの位置

ステロイドは、副じんで作られます。ふたつあり、背骨の両脇、あばら骨の一番下裏側からにぎりこぶし1個分の高さにあります。

握りこぶし自体は副じんではなく腎臓です。

 

◎ 図: ソラマメ型の白は腎臓。上部の薄紫が副じん。ソラマメ型のわきから根っこのように出ているのは尿管。

腎臓は、全身から流れてきた血液をろ過し、廃棄物が混ざった水分は尿として排出する働きがあります。

 

 

この図を見て、わたしは、副じんは腎臓の一部で、腎臓の下請けの仕事をしているのだと思っていました。実際は、ふたつの臓器は、肺と心臓のようにまったく別の機能を担当しています。

 

図: 副じんと腎臓を縦に輪切りにした図。

腎臓をキャプテンクックとすれば、副じんは帽子。隣接しているけど、別物。

 

 

 

▼ 副じんの働き

副じんは、ステロイドとアドレナリンというホルモンを生産します。

ステロイドは、炎症を抑える働きが有名です。ほかにも、コレステロール、胆汁、ビタミンDといった重要な成分を作る材料にもなり、ステロイドが不足すると、命に係わるほどに重要です。

 

アドレナリンは、集中力を高め、心拍数を上げます。アドレナリンが放出されないと、一気に進めなければならない仕事を効率的にこなすことができなくなったり、闘争心が必要なスポーツでは良い成績をあげられない。

 

◎ 下図: 副腎の縦割り図

副じんの55%の部位でステロイドが産生され、15%でアドレナリンが産生される。

 

 

どんぐりサイズの小さな副じん。学校の理科の授業では習いませんでしたが、両方の副じんを失ってしまうと、命を落とすことになりかねません。

 

▼ 体内の臓器は、決められた場所にある

体内の臓器は、進化の過程でどれがどこに位置するのかが決定されています。副じんの位置は次の通り。

 

1)大静脈の脇: ステロイドとアドレナリンを素早く全身に届ける

副じんで生産されるステロイドは、痛み止めの働きがあります。例えば、頭痛や神経痛の時、ステロイドが素早く送られないと、イライラして人間関係を壊したり、日々の作業に支障を引き起こします。

 

バスに乗り遅れたくない状況があっても、アドレナリンが放出されなければ、瞬発力が出ず間に合わない。

 

ふたつを必要としているのは、全身に指令を出す脳です。そこへ高速で届けるには、副じんの中で生産された後、すぐさま大静脈に放出する必要があります。

 

2)大動脈の脇: 酸素と材料を仕入れる

副じんが、緊急でステロイドとアドレナリンのようなホルモンを大量に作るには、副じん内の工場をフル回転させる必要があり、そのためには膨大なエネルギーが必要です。エネルギーのもとは酸素。ホルモンを作る材料も要ります。どちらも、大動脈が運んでいます。

 

3)副じんの弱点(推測)

以上のふたつの理由から、副じんは、大動静脈の脇に位置する必要があります。大動静脈に直接付着できれば良いのですが、血流が速く血圧も高いため、直に接続してしまうと、どんぐりサイズの副じんは、たちまちのうちに崩壊してしまう。

 

高速高圧の血流を抑えるため、副じんと大動静脈の間は細い血管で結ばれています。

 

大動静脈から細い血管でぶるさがる どんぐりサイズの副じん。からだの持ち主が、激しく転んだとき、両方のどんぐりが振り回され血管が切れたら、その人の命にかかわることになる。

 

どんぐり副じんを安定させるためには、台がいる。白羽の矢が当たったのは、大動静脈の脇にある腎臓でした。

 

▼ 腎臓の働き

体中を流れる血管は、酸素や栄養物を届ける動脈と、二酸化炭素と廃棄物を回収する静脈があります。最も廃棄物を含んでいるのは、大静脈。

 

腎臓は、大静脈とつながっていて、アンモニアなどの有害な廃棄物と、捨てるには惜しい有益な物質、例えば、カルシウムやマグネシウムを分別する機能があります。

廃棄物は、尿道へと送られ体外に捨てられます。カルシウムやマグネシウムは、骨づくりの材料として大動脈に送る。

 

こんな理由から、腎臓は、大動静脈のすぐそばに位置しています。

 

▼ 合体による相互利益

副じんと腎臓は、共に、大動静脈の脇になければならない。このような縁があり、ふたつは、隣同士になった。

ふたつの臓器は、大動静脈からそれぞれ何本かの細い血管でつながっています。ふたつが合体することで、安定した状態になる。それに、隣近所の動き回る臓器の小腸、大腸の影響を受けにくくなる。

 

 

▼ 最初はどちらも、ひとつだったのかも

進化の過程で、地上初の稚魚サイズだった古代魚の腎臓と副じんは、ひとつずつだったのかもしれません。

時ともに行動範囲が広がり、からだの機能が発達し、体格が良くなるに従い、ふたつの臓器もサイズを増していった。そのうち大動静脈に押されて、それぞれが上下に重なった状態で真ん中で分離した(憶測)

 

もしかすると、肺も、最初は、ひとつしかなかったのかな。

 

それと比べると、手足は、からだのバランスをとるなど、最初から左右対称に進化する必要性があったと考えられています。

目や耳は、狩りのため、ひとつだけでは足りなかったことから、最初からペアで進化した。それに、ひとつ目が分離して、目が二つになっただなんて考えたくないし、耳の分離なんて、ありえない・・・。