漢方薬の青黛。中国では、口内炎やのどの炎症を鎮めるために使われ、その歴史は、4000年以上。
そんな青黛は、大腸で炎症を起こす潰瘍性大腸炎の治療にも使われてきたのでしょうか?
そもそも、中国に潰瘍性大腸炎の患者がいるのか?
いるとしたら、いつから? 今現在、何人ぐらいいるの?
各国の患者数を表す地図
潰瘍性大腸炎の特徴のひとつは、先進国で多いことです。
こちらをご覧あれ。世界の潰瘍性大腸炎の患者の羅漢率を表した地図です。
ちょっと古いデータです。
患者率トップのカナダとヨーロッパは、真っ赤、日本はそれに続きます。
中国は、青地帯でデータがありません。先進国ではないので、患者は少ない? それともいない?
中国で青黛が潰瘍性大腸炎の治療用に使用されていた
こんな記述があります。
- 1960年代、中国では、青黛が潰瘍性大腸炎の治療に使われるようになっていた。 -
意外だと思いませんか? そんな昔から潰瘍性大腸炎の患者が中国にいたとは! それに、先進国ではなかったし。
中国で、漢方薬と西洋薬で潰瘍性大腸炎が治療されていた
さらに、こんな情報も。
- 1981年から2000年にかけて、中国では、約20%の潰瘍性大腸炎の患者は、漢方薬だけで治療されていた。
19%の患者は、サラゾピリンとステロイドで治療されていた。
60%の患者は、漢方薬と西洋薬の両方で治療を受けていた。-
中国の産業が目覚ましく発展し始めたのは、北京オリンピック開催のちょっと前あたりからです。やはりまだ先進国ではなかった。
漢方だけ、あるいは、西洋薬との組み合わせが治療に使われていたというのは、まさに漢方医療の元祖中国を象徴しています。
20%が漢方だけを使っていたのは、外国の薬より漢方のほうが優れていると信じていたからか? それとも、西洋薬を購入できるだけの経済力がなかったのか?
いずれにせよ、1981年からすでに、サラゾピリンやステロイドが、使われるようになっていた。すなわち、この頃には、大きな病院では、潰瘍性大腸炎の治療は、当たり前に行われていた。つまり、患者の数は、実は意外にも多かった。
中国で1万人以上の潰瘍性大腸炎の患者のデータが分析されていた
それを裏付ける論文のタイトルがあります。
- 2002年: 中国における10、218人の潰瘍性大腸炎の分析 -
中国人研究者らの研究が、英語の雑誌で4ページにわたり紹介されていました。
Jiang XL, Cui HF. An analysis of 10218 ulcerative colitis cases in China. World J Gastroenterol 2002;8:158–161.
そんなにいたんだ、潰瘍性大腸炎の患者!
2002年当時の日本全国の潰瘍性大腸炎の患者数は、約6万7千人。このデータは、厚生労働省の発行する特定疾患医療受給者証の数です。軽症者は、この数に含まれていないので、実際は、もう少し多い。
中国は、どうやって患者のデータを集めたのでしょう? 原文が手に入らないため、不明です。
分析・・・。何を分析したのだろう?
年ごとの患者数、男女比、年齢、初発症の年齢、症状の重症度、炎症が起きている場所。これは、世界共通の基本事項です。
治療は、中国伝統医療と西洋医療、どちらだったのかということも、調べられたのか?
続く