★ 4人目 45歳の女性
● 症状
クローン病になって15年。小腸と大腸に炎症があり、今回の入院は再手術のためでした。外科で手術を受けた後、今回の医療担当の科に回されてきています。
●手術後
体内の出血度を表すCRP値は、基準値内の0.2。体内の栄養度を示すアルブミン値は基準値内でしたが、ヘモグロビン値は、軽い貧血を表していました。
●入院中
19日間は、食事療法を受けながら、ペンタサ®を服用していました。
●退院時
CRP値は、0.1で若干の改善。
●2年間後
ペンタサ®を持続して服用しながら食事療法を続け、寛解状態を保ち続けました。
そのときのCRP値は、退院時よりも上がっていて軽度の0.4。
クローン病の症状度を表すCDAI値は、手術後は、143、退院直前は105、2年終了時は25で、こちらの検査値は、順調に下がっていました。
アルブミン値は、下がってしまっていて、貧血も改善されていませんでした。
【コメント】
女性は、再手術での入院でした。何回目なのかは、記載がなく不明です。
入院時の痩せ度を表すBMIは、標準値の21.6。栄養は良く摂れていたと推測します。普通食だったのか、栄養剤を使っていたのかは不明です。
クローン病の症状度を表すCDAI値は、退院時105でした。軽い出血、腹痛、忙し気味のトイレ通いがあったと予想されます。
2年後のCDAI値は、超超軽度の25でした。トイレは、ゆるい程度で、1日数回。あとは、たまにのわずかな出血が気になっていた?
出血があったのは、CRP値の値が軽度だったことで分かります。
診断は、寛解でしたが、CRP値が0.4に上がっていたのは、将来の寛解持続に対する不安要因です。
体重が若干増えていたにも関わらず、アルブミン値とヘモグロビン値が改善されていなかった。原因は、何だったのか?
【論点】
・2年後、体重が基準値なのに、アルブミン値とヘモグロビン値が下がっていた。ペンタサ®の副作用で、肝臓の機能が落ちていたのか?
・長期に渡るクローン病で、手術を受けてきた場合、食事療法とペンタサ®だけでは、CRP値をゼロにもっていけないのか?
・ペンタサ®ではなく、後に発売された、アサコール®やリアルダ®を使っていたら、別の結果が出たのか?
・食事療法や薬と併用して、代替療法を使っていたら、CRP値を退院時の0.1を保てたのか?
代替療法:
例:漢方薬、医療気功、操体、鍼灸、呼吸法、ヨガなど。
【検査】
検査についての詳しい説明は、ブログ右側にあるリストの中の「検査」をクリックしてご覧ください。
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検査値
★ CRP(C-アクティブ・プロテイン) 単位(mg/dℓ)
0 まったく炎症がない状態です。
0.1 正常値の範囲。
0.2 正常値の範囲。
0.3 基準値内ですが、実際、症状を見た場合、重症のときもあります。
0.4~0.9 軽い炎症など
1.0~2.0 中程度
2.0~15.0 中程度以上
15.0~20.0 重体
★ クローン病の重症度を表すCDAI
軽症 150-200
中等症 220-450
重症 450以上 膿瘍など
★ アルブミン値
3.8-5.3g/dℓ
★ ヘモグロビン 基準値
男 13.8-17.5g/dℓ
女 12.0-15.1g/dℓ
★ BMI
痩せすぎ 標準 太りすぎ 超肥満
18.4以下 18.5-24.9 25.0-29.9 30.0以上
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【背景】
秋田市の仲通総合病院には、2003年から2008年にかけて、クローン病の患者22人が入院しました。退院後、患者らは、2年に渡り、医療観察を受けています。
今回のシリーズでは、病院が発表した報告書をもとに、クローン病の寛解を長期に、あるいは、永遠に継続させる方法を模索していきます。
注:
インフレキシマブは、レミケード®、その他、国内ではまだ認可されていないアメリカの薬が使われていました。
メサラジンは、ペンタサ®です。アサコールは、まだ認可されていませんでした。
注: 筆者は、医療関係者ではありません。記事は、参考程度にお読みください。
【参考文献】
1)クローン病、潰瘍性大腸炎に効果的なセミベジェタリアン食に関する論文が 「World Journal of Gastroenterology」で掲載
~ セミベジェタリアン食が再燃防止に極めて有効 ~
社会医療法人明和会 中通総合病院 消化器内科 千葉 満郎医師ら
2)生活スタイルに関連して起きるクローン病。準ベジタリアン食事療法で再燃は防げる 2010年
Lifestyle-related disease in Crohn's disease: relapse prevention by a semi-vegetarian diet.
World J Gastroenterol. 2010 May 28