8)クローン病の長期寛解者に学ぶ: やせ過ぎの理由を考える | 潰瘍性大腸炎 & クローン病&過敏性腸症候群の改善・完治・根治

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★ 5人目 19歳の男性
● 症状クローン病と初診断された4カ月後に入院しています。小腸と大腸に炎症が起きていました。

● 入院時
CRP値は、0.8で軽い炎症あり。 
クローン病の炎症度を表すCDAIは、軽度で147でした。週に何回か、軽度から中度の腹痛や出血があり、トイレ通いが忙しかったと予想されます。
入院時の痩せ度を表すBMIは、17.6で、かなりやせていました。

●入院中
1週間断食をし、そのあとインフレキシマブを3回受けました。

● 退院時
CRPは、0.3まで改善。CDAIも47で、ときどき、わずかな出血があり、トイレ通いは、だいぶ落ち着いてきていた。
CDAIも、内視鏡検査とバリウム検査では、寛解と診断されました。

● 退院後
メサラジンを服用しながら食事療法を継続させました。

●2年後
CRP値は、0.1。基準値の範囲内でした。
CDAIは、18。出血や腹痛はなく、1日何回かトイレへ行っていたけれど、柔らかい程度だったと予想されます。
体内の栄養度を表すたんぱく質のアルブミン値は、入院時4.0、退院時4.4、2年後5.1g/mlと、いずれも基準値ながら、最後には、とても良いスコアになっていました。
貧血度を表すヘモグロビン値は、入院時16.2、退院時15.1、2年後15.6g/mlでした。いずれも基準値でした。

【コメント】
クローン病は、10代後半になると、発症率が急に増えます。成長ホルモンと関係しているのか? 受験によるストレスや、反抗期、こころの成長は、直接の原因ではありませんが、隠れていた炎症の火種に強風を送ってしまう。

● 痩せ過ぎ
男性は、入院前は、カロリーが多い洋食をよく食べていました。でも、とても痩せていた。アルブミン値やヘモグロビン値は、基準値だったことから、痩せすぎは体質だったのか?

クローン病や潰瘍性大腸炎になる前、子どもの頃からとても痩せていたという人がいます。あまりに細くて、コンプレックスに。大人になったとき、体重を増やそうと、たくさん食べすぎる。それが、習慣になり、標準体重を超えても食べ続け、肥満になってしまう人もいます。

痩せ過ぎの原因として、次のようなことが考えられます。

・栄養不足
 食べる量が少な過ぎる。食べていても、カロリーも栄養もない物ばかりだったりする。
・小腸で何か起きている。 この部位は、食べ物のほとんどの栄養が吸収される場所です。つまり、そこでなにか障害が起きている。
・ストレスが大きすぎて、小腸やからだでの栄養吸収が妨げられている。
・大腸に炎症があり、このため、そこに住む食物繊維を餌にして体内に栄養物を供給する腸内細菌の数が、正常よりも少ない。
・ストレスで、大腸の粘液が減っている。腸内細菌の数が少なくなり、体内に栄養が供給されず、体重が増えない。
・遺伝子的に、栄養が吸収されにくい体質。
・遺伝子的に痩せ型で健康。
・その他 不明

男性は、2年後の体重は、少しですが、増えていました。食事療法では、毎日のカロリーが少なめです。それにも関わらず、体重が増えていたのは、大腸の粘液層が改善され、ダメージを受けてた腸内細菌が復活。おかげで、腸内細菌が作り出す栄養分やエネルギーが増え、体重が増えたと予想されます。

【論点】
・その後、CRPとCDAIをゼロにするには、どうしたら良いのか?
・食事療法を続けていけば、いつかは、メサラジンを止めて、完治へ持っていけるのか?
・代替療法などを加えれば、その可能性は高まるのか?
例:漢方薬、医療気功、操体、鍼灸、呼吸法、ヨガなど。

【検査】
検査についての詳しい説明は、ブログ右側にあるリストの中の「検査」をクリックしてご覧ください。

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検査値

★ CRP(C-アクティブ・プロテイン)    単位(mg/dℓ)    
    

0  まったく炎症がない状態です。
0.1  正常値の範囲。
0.2  正常値の範囲。
0.3  基準値内ですが、実際、症状を見た場合、重症のときもあります。


0.4~0.9 軽い炎症など 
1.0~2.0 中程度   
2.0~15.0 中程度以上 
15.0~20.0 重体   

★ クローン病の重症度を表すCDAI    
軽症    150-200        
中等症    220-450    
重症    450以上    膿瘍など    

★ アルブミン値
3.8-5.3g/dℓ

★ ヘモグロビン 基準値
男  13.8-17.5g/dℓ
女  12.0-15.1g/dℓ

★ BMI
痩せすぎ       標準        太りすぎ     超肥満
18.4以下   18.5-24.9  25.0-29.9  30.0以上


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【背景】
秋田市の仲通総合病院には、2003年から2008年にかけて、クローン病の患者22人が入院しました。退院後、患者らは、2年に渡り、医療観察を受けています。
今回のシリーズでは、病院が発表した報告書をもとに、クローン病の寛解を長期に、あるいは、永遠に継続させる方法を模索していきます。
注:
インフレキシマブは、レミケード®、その他、国内ではまだ認可されていないアメリカの薬が使われていました。
メサラジンは、ペンタサ®です。アサコールは、まだ認可されていませんでした。
注: 筆者は、医療関係者ではありません。記事は、参考程度にお読みください。

【参考文献】
1)クローン病、潰瘍性大腸炎に効果的なセミベジェタリアン食に関する論文が 「World Journal of Gastroenterology」で掲載
~ セミベジェタリアン食が再燃防止に極めて有効 ~
 社会医療法人明和会 中通総合病院 消化器内科 千葉 満郎医師ら
2)生活スタイルに関連して起きるクローン病。準ベジタリアン食事療法で再燃は防げる 2010年
Lifestyle-related disease in Crohn's disease: relapse prevention by a semi-vegetarian diet.
 World J Gastroenterol. 2010 May 28