プラハ・ドレスデンで見たオペラ | なんなんすかる

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マダガスカルの企業マラザ・ソシエテ・ジェネラル社でのインターンシップブログでしたが、今はフランス・ブルゴーニュ大学の留学を綴るブログとなっています。

チェコ滞在中、折角なのでオペラを何度か見に行きました。

日本にいた時は、まださほどオペラに興味が無く、一度しか見る機会がありませんでした。

ちなみにその時見たのは、ウェーバーの「魔弾の射手」(佐渡裕指揮@兵庫県立芸術文化センター)です。

オペラを見る前に作品の背景をしっかりと把握しておいた方が楽しめると思い、その作品のプレ・レクチャーにまで足を運んだのを思い出します。

 

プラハにある国民劇場では、毎日のようにオペラやバレエが行われています。

https://www.narodni-divadlo.cz/en

チケットの値段は日本と比べて安いです。単年もしくは複数年で同じ演目を何度も行い、制作コストを下げている事が関係していると思います。

一番良い席でも7000円程で、2000円程でも十分満足して鑑賞できました。

 

 

日本では、オペラに特化した劇場が少なく、あってもヨーロッパのような歴史を持ったものではありません。

また、演目に関しても「椿姫」や「フィガロの結婚」など、集客が見込めるようなものになりがちです。

今回は、本場の雰囲気の中で作品を鑑賞でき、普段日本では見れないような作品にも出会えたので、とても満足しています。

 

オペラは、演出や迫力ある演奏・合唱、美しいアリアなど見所が多く、同時に、作品が完成された当時の社会背景や民族性についても学ぶ事が出来るので、見に行かない理由が見当たりません(笑)

当初僕は、オペラに対し「難しそう」「長い」「贅沢」といった印象を持ち、敬遠していたので、もう少し早く見に行っていればと後悔しました。

 

プラハで見たオペラを記しておきます。

①ローエングリン(ワーグナー作曲)

②利口な女狐の物語(ヤナーチェク作曲)

③リブシェ(スメタナ作曲)

④トスカ(プッチーニ作曲)

⑤フィガロの結婚(モーツァルト作曲)

⑥売られた花嫁(スメタナ作曲)

⑦三つのオレンジへの恋(プロコフィエフ作曲)

 

 

プラハ滞在の3か月間で出来るだけ見ておこうと思い、張り切ってしまいました(笑)

この中で、ヤナーチェクとスメタナはチェコの作曲家です。

スメタナは「モルダウ」が有名で、ヤナーチェクは村上春樹の「1Q84」を通して名前だけ知っていました。

2人のオペラは、日本に限らずヨーロッパでもなかなか上演される機会がないと思います。

同じチェコでも、スメタナはボヘミア地方、ヤナーチェクはモラビア地方の作曲家で、音楽の雰囲気は異なっていました。

 

話すときりがないのですが、スメタナは、オーストリア=ハンガリー帝国の体制下、チェコ国民音楽の発展に大きく貢献した人物で、同じくチェコの作曲家ドヴォルザークよりもチェコでは評価されています。僕にとっては、それがとても興味深い点でした。

プラハにはスメタナ美術館があり、そこでは彼の人生や作品について知る事が出来ます。

当時のコンサートのプログラムも展示されており、チェコ語ではなくドイツ語で書かれていたのが印象的でした。

 

 

彼のオペラ「リブシェ」は、チェコの国民主義の精神を高揚させる作品で、国民劇場のこけら落としの際にも演奏されました。

チェコの人々にとっては特別な作品であり、見に行った時の演奏はいつもより熱が入っていたような気がします。

 

一方、ヤナーチェクの「利口な女狐の物語」では、森を舞台に主人公の女狐はじめ様々な動物が登場し、モラビアの民族音楽を反映させた不思議なメロディーが流れます。動物がこのように物語の中心になるオペラは珍しいです。

子供向けのオペラと聞いていましたが、最後に女狐が死んでしまったり、鳥が殺されたり、半裸の女性が出てきたりと、子供にとってはなかなかハードな内容ではないかと感じました(笑)

 

プラハからバスで2時間程で行ける、ドイツのドレスデンという街でもオペラを見に行きました。

ここにはゼンパー・オーパーという、有名な歴史あるオペラ劇場があります。

 

 

演目は、ウィーンの作曲家コルンゴルトの「死の都」。

コルンゴルトという人は初耳でしたが、調べてみるとマーラーが神童とも評した人らしく、これは是非見に行かなければと思いました。

この作品は彼が20歳という若さで作曲したもので、大変美しい旋律が記憶に残っています。

彼が10代前半で作曲した「雪だるま」という曲もおすすめです。

 

結局3か月の間で8回もオペラを見たことになり、おかげさまで、その期間に出ていた大学の課題を終わらせるのにてんやわんやでした。

しかし、これまで手付かずだったオペラの分野で知識を深めることができ、大変良い機会となりました。

 

最後に、これは僕の個人的な考えなのですが、もし海外でオペラを見る機会があるならば、チェコではチェコオペラ、ドイツではドイツオペラと、自分が行く国の作品を見るのが良いかと思います。

オーケストラやオペラ歌手、そして指揮者からすれば、上演する作品は自分の国で生まれたものである方が理解・表現しやすいと思うのです。

オペラは、クラシック音楽と異なり台詞がありますし、その国の民話や社会・自然環境を反映させたものが多くあります(そうでないものも勿論あります)。

そこにはやはり、日本における「わび・さび」のように、長年住んでいる人にしか分からない要素が含まれているのではないでしょうか。