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イースV 失われた砂の都ケフィン

2019-04-06 23:46:08 | ゲーム
 
 スーパーファミコンではトンキンハウスによるIIIIVが発売されましたが、いまひとつ地味だったのか、大きな盛り上がりはならなかったようです。そして本作イースVではファルコム自らが制作に乗り出しました。その結果、システムは従来シリーズ全ての融合となり、後のシリーズの基礎となりました。なかなか意欲的な改革がなされていますが、一方で生煮えのシステムも多く、過渡的な作品となった印象があります。
 
 
 オープニングでは、遺跡の調査をしていた冒険家スタンが近くの砂漠で記憶を失った女の子ニーナを保護するシーンが描かれます。スタンさんはこれまた渋い冒険家ですね!
 
 
 そして2年後、スタンさんはニーナを残して行方不明になってしまいます。スタンさんは町の有力者であるドーマンさん(蘆屋道満?)から「失われた砂の都ケフィン」の手がかりを調査するように依頼されていたのですが、そこにやってきた冒険家アドルがスタンさんの後任として調査することになりました。どうでもいいですが、この髪や服のグラデーション部分のタイリングペイントがいかにもPCゲーム的。さすがはファルコムのセンスです。
 
 ちなみに本作では相棒のドギがいません。牢屋なんかに閉じ込められたら助けてくれる人がいないのでは? でも大丈夫! ドギがいないということは、アドルは閉じ込められないということなのです。逆に安心してプレイできるのです。
 
 
 ゲーム画面はこんな感じ。まず従来シリーズにあった飾り枠がなくなりました。もともとあの枠は性能が低い8bit PCにおいて、画面書き換えの処理をできる限り低減するための処置でありましょう。それでいてある種の重厚さをかもしていたのですが、本作からはよりダイナミックなゲームシステムとなって画面を広く使うために枠が撤廃されたものと想像します。
 
 そのシステムは初代のようなトップビューにIIIのような剣振りジャンプアクションを足したものです。体当たりの戦闘ではなく、自ら剣を振り回す必要があります。背景は2次元的な一枚絵ですが、高低差が設定されているために従来より少し複雑になっています。高いところから低いところに降りた場合、その場ですぐに登ることができるとは限らず、そういったワナっぽい地形も随所にあるため要注意です。
 
 剣を振る以外にも盾を構えて敵の攻撃を防御するという操作も可能ですが、私は全くと言っていいほど使いませんでした。防御するくらいなら攻撃して少しでもダメージを与える方がいいし、遠距離から魔法を使うことだってできるのです。
 
 とはいえ、その魔法のシステムも問題があるのです。各種エレメントを3つ合成して魔法石を作り、それを武器と組み合わせることで魔法が使えるようになります。その際に何を組み合わせたらどういう魔法が使えるかという情報がないのです。なんでもいいから適当に組み合わせて使ってみると、発動時間が長すぎて敵が画面の外に出て行ってしまってばかりでほとんど使えません。しかもRボタン連打で魔力を溜めてから剣を振って魔力を放つという馴染みのない使用方法。結局唯一実用的な魔法が最初にもらった一番弱い魔法というオチ。それ以外は使わなくてもまったく問題ありません。
 
 まあそれでも、その一番弱い魔法を使い続けて損はありません。魔法を使って敵を倒すと魔法レベルが上がるのです。序盤から使うようにしておくとちょいちょいレベルが上がって体力が増えたりしてプレイが楽になります。
 
 
 ゲーム開始後まもなく洞窟に入ることになるのですが、そこでいきなり複雑な地形に出くわすことになります。しかも洞窟内ということで画面が暗く、どう進めば良いか一見してわからない部分がありました。まあわかってしまえばなんてこともないのですが、目と頭が慣れるまではちょっとだけ悩むかもしれません。
 
 そんな洞窟の奥には謎の少女が氷漬けになっており、その上ストーカーまでいるという始末(人名です)。なんでもこのストーカーさん、氷漬けの少女を守るために自ら腕輪の中に封じられてようです。そしてアドルの力になる代わりに少女を助けてくれとのことです。敵でなければ別に文句はないのですが、なんかやることがいっぱいですね。ケフィンの手がかりを探さなければならないし、スタンさんどこへ消えたのかも気になるし、ニーナの記憶も取り戻してあげたいし、駄目押しで謎のストーカーさんから宿題ときたもんだ。
 
 
 イースシリーズの魅力の一つは画面効果にありますが、今回は森の中での木の葉の影という効果があります。ところがこれがまた見づらい! 地形と異なる速度で木の影がスクロールするから非常に目がチカチカするのです。さらに地形も狭いところなので妙にストレスが溜まるところになってしまっていてちょっと残念。
 
 本作ではフィールドが随分と細かく分割されており、ちょっと画面がスクロールするとすぐ画面が切り替わって隣のエリアに入ります。おそらくメモリや圧縮マップデータの展開時間などの都合でそうなったのでしょうけれど、フィールドの狭さを感じさせてしまうような気がします。これまで以上にキャラが大きく、背景もかなりの描き込みであるためしょうがないのでしょうけど。
 
 
 この人達はゲーム途中で登場する盗賊団。アドルにちょっかいかけてきて、まためんどくさい奴らが現れたなあと思っていたら、その後しばらくしたら成り行きで共闘することになりました。ゲーム終盤ではこのテラという小娘はアドルを気に入ってしまったようで、続編のイースVIでも出張っております。
 
 
 私が最も苦労したのがこの滝のシーン。狭い足場を踏み外すと滝に流されて一番下まで戻されるというエリア。私はこういうジャンプアクションが非常に苦手でして、実際たいして難しいことはないはずなのに何十回も流されてしまいました。
 
 
 ワールドマップをぐるっと一周すると、時空の狭間に封印されたケフィンの町に突入することになります。ここのマップは複雑そうに見えるけれど、そこまで広くないのですぐ全体像を把握できるでしょう。
 
 ケフィンには世界征服を企む錬金術師がいて、封印を破るために現世に色々と干渉しているというのが本作の真相。ケフィンの住人の中にはこの錬金術師の野望を阻止するレジスタンスがおりまして、アドル御一行はその活動に協力することになります。でもなんかこういうキナ臭い展開ってイース的ではないような。ストーリー展開が全体的にどうも継ぎ接ぎっぽい印象があります。
 
 
 ケフィンの中枢に侵入するために敵の装置を利用するアドル。こういうファンタジー+機械文明はなんとなく当時のファイナルファンタジーの影響を受けているような気がします。そういえばレジスタンスというのもファイナルファンタジー的かな。
 
 
 最終決戦、錬金術師が変身した姿ですが、何がなんだがわからないデザインで良いですね。その強さですが、これまでの歴代ボスの中では最弱だったかもしれません。セーブがどこでもできるというわけではなく、最後のセーブポイントからボスまで結構な時間がかかるため、何度もやり直すようなことがなくてホッとしました。本作にはクイックセーブの機能もあるのですが、リセットまでの一時的なものなので私はあまり使わないのです。
 
 思い返せばこれ以外のボスで印象に残ったのは炎のドラゴンくらいですね。常にレベルを余分に上げる私のプレイスタイルのせいかもしれませんが……。
 
 
 ボスを倒して人々を救出し、砂漠に緑が戻ってエンド。そういえばストーカーさん達もエンディングで丸く収まるのですが、もう因果関係超絶無視で、そんなストーカーさんだったら最初から自力でこの騒ぎを止められそうなものですが。
 
 ゲームは全体的に短く、7時間程度でクリア可能でしょう。私は1800円(税別)で購入したからいいのですが、本作は定価12800円(税別)だったようで、当時はコストパフォーマンス的に不満の声も大きかったと想像します。さらに、本作発売からたった3ヶ月後に「イースV エキスパート」が(なぜかコーエーから)発売されたとのこと。エキスパートではバグの修正、難易度の上昇、新要素の追加などの変更点があるそうです。この点もイースVの印象を悪くしたのではないでしょうか。
 
 バグといえば、ケフィンでニーナが捉えられた塔にありました。塔の別のフロアが壁の向こうに表示されてしまっていたのですが、プログラム上でのマップデータの管理具合が垣間見えてなかなか興味深いです。
 
 いろいろと不満点を書いてしまいましたが、最後にもうひとつ不満点があります。本作で採用されている十字メニューが最後まで馴染めませんでした。この十字メニューによってキー操作を少なくできるというのが売りだったはずですが、メニューの並びが固定されていないために、必要な項目をいつもぐるぐると探す羽目になっていました。しかもアドルの位置によってはL字メニューになったりします。したがって指が自動的に必要なメニューを開くということができず、必ず目で確認する必要があったのが煩わしかったですね。
 
 とにかく本作はシリーズの新たなスタンダードを作ろうとしたに違いありません。実際に以降のシリーズでは本作の多くのシステムが基本になっているようです。また、グラフィックはなかなか細かく質感のある描き込みがなされており、従来のゲームっぽい画面とは一線を画しています。音楽については曲数も多く、スーファミ音源ながらオーケストラ調の丁寧な仕上がり。本作ならではの素晴らしい部分もあるのです。
 
 これが旧世代ゲーム機(3D処理がサポートされていない)最後のイースとなりましたが、時間をおいて発売されたイースVIではついに3D化されました。本作で模索したシステムの真価は3Dで発揮できることでしょう。


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