閑静な住宅街、いかにもな立派な建物が並ぶ高級住宅街の一角にあります。緑豊かな境内には、この地が発祥との説もある可愛らしい招き猫が数多く置かれ、心癒される空間となっています。小田急線の豪徳寺駅からだと、最寄り駅である東急世田谷線の宮の坂駅からよりも歩くことにはなりますが、改札で大きな招き猫に出迎えてもらうことができ、駅からのビル商店街でも、数多くの猫さんたちに出会うことができます。

 

中世の武蔵吉良氏が居館とし、1590年(天正18年)の小田原征伐で廃城となった世田谷城の主要部だった土地とされています。

 

1480年(文明12年)、世田谷城主吉良政忠が伯母で頼高の娘である弘徳院のために"弘徳院"と称する庵を結びました。当初は臨済宗でしたが、1684年(天正12年)に曹洞宗に転じます。

 

1633年(寛永10年)、彦根藩主、井伊直孝が井伊家の菩提寺として伽藍を創建し整備しました。直孝の戒名"久昌院殿豪徳天英居士"から豪徳寺と称されるようになります。

 

また、一説では、招き猫の発祥地とも伝えられています。(他にも浅草の今戸神社、落合南長崎の自性院を招き猫の発症とする説があります。)井伊直孝が、猫により門内に招き入れられたことで、雷雨を避け、和尚の法談を聴くことができたことから、井伊家菩提所としたと伝えられています。豪徳寺には"招福猫児(まねぎねこ)"と称し、招猫観音(招福観世音菩薩:招福猫児はその眷属に当たる)を奉る"招猫殿"が置かれています。招猫殿の横には、祈願成就の御礼として数多くの招福猫児が奉納されています。招福猫児は、右手を上げ、小判などを持たない白い猫です。滋賀県彦根市のゆるキャラ"ひこにゃん"は、彦根藩主だった井伊家にちなみ、豪徳寺の招福猫児がモデルになっているのだとか。同じように招福猫児をモデルにした豪徳寺商店街のゆるキャラ"たまにゃん"とも似ています。

 

2006年(平成18年)に猫の彫り物が施された三重塔が新たに建立されました。その一層目の四面には、十二支の彫刻が施されているのですが、ネズミのところには、2匹のネズミに挟まれた中央に猫が彫られています。ネズミさんたちは、かなり怖い思いをしているのではないかと...。

 

墓所には、猫に招かれた井伊直孝の他、井伊家代々の当主や正室、係累が葬られていて、桜田門外の変で暗殺された15代当主で江戸幕府で大老も務めた井伊直弼のお墓も建てられています。

 

 

御朱印

2016年(平成28年)6月26日拝受

 

 

大谿山(だいけいざん) 豪徳寺(ごうとくじ)

宗旨:曹洞宗

本尊:釈迦如来

所在地:東京都世田谷区豪徳寺2丁目24番7号

アクセス:宮の坂駅(東急世田谷線)徒歩5分

      豪徳寺駅(小田急線)徒歩10分

開門時間:6:00~18:00

寺務所受付時間:9:00~16:30

 

世田谷区公式サイト内の豪徳寺紹介ページ

https://www.city.setagaya.lg.jp/theme/kanko/002/003/002/d00006127.html