NHKで現在放映されている朝の連続テレビドラマ「なつぞら」、先週は戦災孤児であった主人公奥原なつが、里子として育ててもらったら北海道十勝の酪農家である柴田家の人々と友人に囲まれて、めでたく結婚式をあげるという話だった。
クライマックスは、里親家族の大黒柱的存在であり、なつの成長に最も影響を与えた祖父の泰樹の言葉である。式の直前、晴れ着姿のなつは、いつものように牛舎で仕事をする泰樹のもとを訪れ、「じいちゃん、ここまで育ててくれてありがとう」と感謝の言葉を告げる。そのなつの言葉にたいして、泰樹は目に溢れるばかり涙をためながら「わしの方こそ、お前に育てられた、ありがとう。」と嗚咽する。
戦後の日本には12万人以上の戦災孤児が、ホームレスとして駅や地下街などで生き延びていた。ドラマ「なつぞら」はその点をリアルには演出していないが、ある一人の孤児にスポットを当て、その子が温かい里親家族に受け入れられ実子とともに成長してゆく様が描かれてゆく。児童福祉の観点から興味深いドラマであり、里子と里親の関係が、「共に育ち、育てられ」という関係で表現されている点に感動を覚える。
誰も生まれながら自然に親になるわけではない。一つ一つの出来事や関係の中で、子どもに親として成長させてもらっているのである。