この時期になると、高校3年生は真剣に将来の職業選択を迫られる。進学か就職の選択の前に自分は将来どんな職業で自立をしてゆくのか考えるのは、大変に重要である。特に児童養護施設で暮らす子どもたちは、家族から退所後の支援を得られないどころか身を寄せるところさえ自分で準備する必要があるからだ。
施設で生活する子どもたちの進学を支援してくれる様々奨学金の申請は、6月ごろから始まる。奨学金の申請書には、将来希望する職業や施設の推薦も必要となるので、ただ何となく進学したいや将来のことを考えるモラトリアム(猶予期間)として進学を選択するということは許されない。
施設で生活する子どもたちの職業のイメージで強いのは、安定している仕事、高収入、カッコいい等だろう。また、身近なところでイメージできる職業としては施設職員であり、保育士を希望する子どもも多い。
これは施設出身の子だけではなく若者全体に言えることだが、せっかく希望するところに就職しても3年で半数が辞めてしまうという。安定や高収入等も職業選択の大切な要素であることは否定しないが、何と言っても自分が好きなことと仕事が重なることが職業選択の大切要素ではないだろうか。
人は日々の糧を得なければならない。しかし、日々の糧のために魂を犠牲にし続けることはできない。その中でやりがいを見出すか、他の仕事を選ぶかの選択をすることになる。
さんあいの子は土と触れ合う機会が多い。でも職業として農業を希望することは少ない。いい仕事なんだけどね(笑)