理系院卒のネットワークなブログ

意外なところに「つながり」ってありますよね

アークナイツはタワーディフェンスを突き詰めた良い作品だと思う

 アークナイツというスマホゲームがとても良いゲームだなあと思ったので、その理由をざっと書いておこうと思います。

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https://play.google.com/store/apps/details?id=com.YoStarJP.Arknights&hl=jaより

 

 アークナイツのジャンルはタワーディフェンスです。出現した敵キャラが自陣に向かって侵攻してくるので、自キャラを配置して防衛します。防衛地点を突破されたら減点され、規定数以上減点されると負けです。

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 とてもシンプルなルールの、オーソドックスなタワーディフェンスなんですよね。使い古されたフォーマットじゃないですか。目新しさが重視されるゲーム業界において、あえてこの方式で勝負をしようと思ったその度胸がまずはすごい。

 ソーシャルゲームを作るにあたって、大事になる要素はいろいろあります。簡単に遊べること、派手な爽快感があること、仲間と協力できること、ガチャを回したくなること、、、などなど。アークナイツもそれらの要素は入っていますが、タワーディフェンスをいかに楽しく遊んでもらうかというゲームの根幹部分がとてもよく考えられているのが素晴らしいなと思いました。

戦力の拮抗

 タワーディフェンスゲームの面白いポイントはなんだろうと考えると、ギリギリの勝負に紙一重で勝ったときの快感にあるのかなと個人的に思うのです。自陣の奥深くまで攻め込まれ、最終防衛線のキャラの体力が危うくなってくる。先に倒れるのは自キャラか敵キャラか…。手に汗握る攻防の果ての勝利は、心の底からの喜びを呼び起こします。

 重要になってくるのが難易度調整でしょう。彼我の戦力が拮抗していることが大事だと思うのです。

 自軍が強すぎる場合、深く考えずに自キャラを配置して、放置しておけば勝ってしまいます。簡単に勝てるゲームにはなりますが面白くないですよね。

 逆に敵軍が強すぎる場合、ライトなユーザは勝てないから面白くなくて、すぐにゲームから離れてしまいます。コアなゲーマーにとっても、敵が強いと解法が限られてくるので面白くないんですよね。もしも1つしかない最適解を探すしかないとなると、ネットで攻略法を見たらおしまいなのです。

 アークナイツは見事に難易度が調整されています。ゲーマーである僕からしても、歯ごたえを感じられる設計になっています。自分の手持ちキャラの性能をじっくり吟味し、何度も試行錯誤を行っていくと、勝つための道筋が見えてくる。このプロセスがとても楽しいのです。

 開発陣の泥臭い難易度調整の痕跡がたまに垣間見えるんですよね。敵キャラがふと同じマスに立ち止まるようにセットされているときがあって、「ここは簡単にするために待ってくれているのだな」と優しさを感じたりします。

工夫されたチュートリアル

 タワーディフェンスゲームにはいろいろなテクニックがあります。僕自身、この手のゲームをやりこんだ経験はなかったので、アークナイツで初めて知ったテクニックがたくさんあります。

 テクニックを知ってもらうために、難易度調整と同じぐらい大事になるのがチュートリアルです。近接キャラは敵の侵攻をブロックし、遠距離キャラはダメージを受けることなく敵を安全地点から狙撃できます。では、どういうふうに配置すると効率が良いでしょう。敵の侵攻ルートと地形から適切な防衛地点を見極め、集中的に自キャラを配置する必要がありますよね。そういう知識を実戦形式で教えてくれます。

 ゲームを開始したときにチュートリアルを一気に行うゲームが多いですが、アークナイツはタワーディフェンスゲームとしてのテクニックを、ストーリーの中でゆっくりと時間をかけて教えてくれる構成になっています。練習したあとに実践を行い、テクニックがプレイヤーの血肉となっていくのをサポートしてくれます。

 タワーディフェンスはこんなに奥深いのだなと感動さえしました。マス目で区切られたステージだけをみると、そんなに自由度は高くないのかなと思うのですが、「いつ」「どの地点に」「誰を」配置するのかを突き詰めていくと、思いもよらない有効な一手があったりするのです。

ガチャとスタミナ

 基本プレイ無料のソーシャルゲームは、どこかで上手にプレイヤーから課金をしてもらう必要があります。この点はアークナイツに大きな発明はなく、キャラをゲットするためのガチャと、ステージを遊ぶためのスタミナに依存しているように思います。ただ、そこもタワーディフェンスというゲーム性にフィットする形で設計されているのが好印象です。

 特定のキャラがいないとクリアできないステージを作ることは簡単です。ガチャを回させる圧を高めることができます。しかし今のところ、このキャラがいないからクリアできないというステージにぶつかったことはありません。

 解法にバリエーションがあるというタワーディフェンスゲームの面白さを開発元がきちんと理解しているのでしょう。様々な攻略方法があるから、特定のキャラ依存にはならず、ステージを進めていくうえでの必須キャラというものが生まれてきません。キャラ間のバランスが崩れていてもバリエーションにはつながらないので、レアリティが高いキャラはコストが高かったりと、上手く調整されています。

 スタミナのシステムについても同様にタワーディフェンスをちゃんと楽しく遊んでもらおうという意図が感じられます。クリアできないステージにぶつかったとき、「最初に配置するキャラを変えたらどうだろう」「配置場所をひとマスずらしたらどうだろう」と試行錯誤を行いますよね。そのたびにスタミナが消費されていたら、そういう試行錯誤が億劫になってしまいます。

 アークナイツでは途中撤退したときはスタミナが1しか消費されないようになっています。スタミナ1は5分ぐらいで回復するので、あーでもないこーでもないと考えているうちに、元通りになってしまいます。安心して試行錯誤ができるのです。

 

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 いろいろと書いてきたように、タワーディフェンスゲームの面白さはなんだろうと、ゲーム性にきちんと向き合う姿勢が端々から感じられるのが素敵なゲームです。もちろん、世界観設定が魅力的だったり、一風変わった協力機能があったりするのも面白いのですが、そういうところは二の次だと思うんですよね。まずはゲームが面白くないと。

 アークナイツはHyperGryphという中国の開発会社が作ったゲームをYostarという会社が日本向けにローカライズしたゲームです。中国のゲーム会社はもともと圧倒的な人材の潤沢さを武器にして物量で戦うイメージがありましたが、アークナイツのようにゲーム性をしっかりと考えたものが作れるようになってくると、どんどんヒット作を生み出せるでしょう。

 中国国内の熾烈な戦いを勝ち抜いた選りすぐりのゲームが日本に入ってくるわけですから、クオリティは必然的に高くなるでしょう。今後も中国産ソシャゲには注目したいと思っています。

 

 

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そのほか面白かったゲームの話。そういえばドラクエビルダーズ2もタワーディフェンスの要素が入っていましたね。

ytera22.hatenablog.com

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