新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

民主的選挙の考察

2019-12-07 09:47:24 | コラム
2人の大統領を考えると:

文在寅大統領:
このところ、TBSの「報道1930」と「Prime News」では韓国問題を専門家と有識者を集めて、言わば集中的に論じていた。その討論の中で誰一人として明言しなかった点が一つだけあった。私なりにその点を後難を恐れずに指摘してみれば「文在寅大統領の能力には問題がある」という点だと思う。そこをもう少し詳細に論じてみれば「朴槿恵大統領を言わば追い落として出てき彼は、色々な公約をしてはいたが、何一つ実現できていなかったし、国内外に多くの難問題を抱えすぎ、処理できずにいるではないか」と言われていたのと同様な批判が多かったのだったということ。

彼が突き進んだことは「積弊の精算」に見られるような「反日と抗日」であり、特に戦中の半島労務者の大法院の無法な判決と我が国の3品目の輸出管理強化強化発表以後には、それまで以上にその姿勢が鮮明となって「戦後最悪の日韓関係」をもたらしたのだった。一方では、アメリカの一部に“Korea fatigue”などと言われるまでの米韓同盟を蔑ろにする態度まで取ったのだった。特にアメリカの対中国の安全保障策であるTHAAD導入後には中国から邪険にされて、やらずもかなの3項目のコミットまでして(させられて)中国に従う内股膏薬のようなことまでやってのけたのだった。

そこに我が国に対する報復のつもりで公約でもあったそうだったGSOMIAの破棄を言い出して、アメリカ連邦政府の高官を激怒させる失態を犯したのだった。その結果が国内向けだと専門家に指摘された「我が国の態度次第ではGSOMIAを何時でも破棄できる」という弁護士らしからぬ国際条約無視の発表までする始末だった。敢えて言えば「弁護士であるから立派な見識を持っているだろう」と思うのは如何なものかと思わせるだけだった。

そういう視点からではなく文在寅大統領を批判してみれば「進歩派」(と言うか)左派である文在寅氏はこれほど失態が多くても、未だに40%もの支持率があるとの調査結果が出ているといるいうとは「彼を支持する岩盤の左寄りというか親DPRKで反美国派の上に乗っている」だけである。かかる支持層があってこそ、そこからの支持が揺らがない限り君臨していられるという民主的な選挙のコインの裏側がイヤと言うほど出ているのだと思って見ている。来たる総選挙でも保守派が勝利するか否かは見守っているしかないだろうし、中国がそれを黙って見ているか否かではないか。

トランプ大統領:
勿論民主主義の旗頭であるアメリカ合衆国の人民が、民主的な選挙で選んだ大統領である。トランプ大統領はこれまでに公約された通りに前任者のオバマ大統領の実績を「アメリカファースト」と「アメリカを再び偉大に」のスローガンの下にほぼ全て覆してきた。TPPからも離脱したし、「パリ協定からの離脱」も表明した。外交面では中国との関税賦課合戦に始まって鮮明に中国との対峙姿勢を打ち出した。金正恩委員長には“Fell in love”であると言ってのけた。しかしながら、民主党はナンシー・ペローシ下院議長の指揮の下に弾劾に向けて本格的に始動した。

先日のYM氏との懇談の中でも、彼が今でも交流を続け、その会合にも参加しているスタンフォード大学経済学部教授のOB会などのアメリカの知識階層の間では、言うまでもなくトランプ大統領の批判派が多く、特に大統領の前言を翻すような発言というか政策を捉えて「虚言癖」とまで言われていると聞いた。私がここに敢えてそこまで引用したことはトランプ大統領を批判しようという意図ではない。そうではなく、トランプ大統領は40%を超えたとも言われている岩盤の支持層を確保していればこそ当選したのであり、再選を確実視する意見があるという点である。

私はが子供の頃から馴れてきていたし、転進後には22年半も彼らの一員として働いてきたアメリかでは、トランプ大統領の支持層とされているプーアホワイト、労働者階層、ヒスパニックやアフリカ系等が構成する少数派民族の人たちとは、W社の工場の組合員たちを除けば先ず接触は言うに及ばす、交流の機会などなかった。即ち、私が期せずして入っていった多くのアッパーミドル以上の人たちが占める大企業の世界とは無縁の階層の支持さえ取り付ければ、大統領になれるのだという例がトランプ氏だと思って見てきた。

この辺りを捉えて「アメリカの二極分化」と見るのだろうが、私はトランプ氏の巧みな選挙戦略ではなかったかと思って眺めてきた。YM氏とも語り合ったのだが、トランプ大統領の言動は時には乱暴であるし、言葉遣いにも大統領が使う言葉かと思うような表現が出てくる。しかし、それを非難することは当たらないのではないかという点で意見は一致した、即ち、トランプ大統領は彼の支持層向けに、彼らにも解りやすい言葉を使っているだけだということだ。問題は大統領が本当に意識して使い分けているか否かだ。

結び:
民主的選挙では候補者が何れの支持層を狙ってキャンペーンを打つかであって、その狙いとする層が知識階級である必要はないという例がアメリカにあろう。韓国では明らかに思想的に偏向した支持層に立脚しているのが文在寅大統領なのだと思って、私は見ている。我が国はその2人の大統領に挟まっている立場であり、しかもお二人とも国内では難局に直面している。そういう大統領と如何にして上手に付き合って国益を確保するかが以前にも増して重要な課題になってくると思っている。韓国では最早「反日・抗日」は下火で、対中国の方が重大問題となってきたそうだ。



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