光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

「鈴木理策 知覚の感光板」を見て

2019年01月30日 | アート 写真

 

 

2019年1月11日(金)写真展「鈴木理策 知覚の感光板」を見てきました。

展示はもう終了しましたが、概要は次の通りです。

開催日程:2018年11月28日(水)~ 2019年1月16日(水)
開催会場:キヤノンギャラリー S(住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー1階)

鈴木理策氏は、東京オペラシティアートギャラリーでの個展や、横浜美術館の「モネ それから

の100年」などをみて、私の好きな写真作家の一人です。

本展は、芸術家のあるべき姿を「知覚の感光板」と表した画家セザンヌの言葉に感銘を受けた

鈴木氏が、かつて画家達が見たフランスや、アメリカの風景を捉え表現した作品23点を展示し

ていました。

 ■ 作家メッセージ
「知覚の感光板」は画家セザンヌの言葉です。
芸術は自然に照応するひとつの調和であり、そこに芸術家個人の表現意図を持ち込むべきではない。
自分の中にある先入観を忘れ、ただモチーフを見よ。そうすれば、知覚の感光板に全ての風景が刻印
されるだろう、と語るセザンヌは、芸術家の身体を感覚の記録装置とみなし、受け取った全てを画布
に定着させようと試みました。匂いや音など視覚以外の感覚も色彩によって表すことができると信じ、
「目に見える自然」と「感じ取れる自然」が渾然一体となるように描いたセザンヌの絵画は、「何を
描いたか」ではなく「モチーフから感じ取ったもの」そのものを私たちに見せてくれます。

写真の場合、カメラは表現意図を持たず、ただ純粋に対象を知覚します。カメラの機械的な視覚は、
人間の見え方とは大きく異なります。私たちは行動に必要な情報だけを取捨選択してものを見ている
からです。カメラの純粋知覚は私たちが見捨てた世界の細部をも写し出してしまう。 その基本的な
性質にあらがうように、多くの写真家は構図やフォーカシング、シャッタータイミングの選択を駆使
して、画面の中に自らの刻印を残そうとしています。

今回、近代の画家たちがモチーフに選んだ土地を撮影しました。彼らが向き合った風景を訪れると、
その創意を直に感じられるようでした。この旅の中で、レンズの純粋さを信頼し、写真の本性を手に
入れられたらと、改めて強く感じました。

 

 

 

会場内の展示風景。 

 

 

 

 

 

 

 以下は、会場で無料配布していた写真図録の記載順に紹介します。

ただし、作品の撮影地などのデータは、作家の意図でしょうか、一切ありません。


セザンヌがよく描いた、南仏のサント・ヴィクトワール山でしょうか。 

この山の遠景写真は、いろんな本で見た記憶があるのですが、岩肌を近くで撮ったこの

写真、なんのけれんみもなく、いいですね。

 

 

 

 この赤茶けた道、私の貧弱な記憶では、絵画の作品と結びつくものが思い当たりません。

サント・ヴィクトワール山の麓の道なのかな?

 

 

 

ジヴェルニーの草原かな、次の睡蓮の池の作品と並んでいました。




モネの絵から受ける印象と、同じものを感じます。 何枚も描くモネの気持ちがわかります。

 

 

 

 ここからは、アメリカ編だろうか。

 

 



鈴木氏の作品に、人間が写っていることは稀なのですが、この作品には玄関ポーチ下に、メガネをかけた男性がいます。

ま、そんなことはどうでもよくて、全体の雰囲気が気持ちよい。

絵画作品との関連は、ワイエスかなー?

 




四隅が暗くなっていますが、これは、照明のせいで実物は均一な明るさです。

 

 

 


場所はどこかわかりませんが、普通の海岸の砂浜で、珍しいところではないと思います。

夕景の砂浜の風景写真では、もっと強烈に赤く焼けたコントラストの強い写真を一般によく見ますが、

この写真は、ごく自然な淡い夕景を撮っていて、変な雑音を感じません。

 

 

 

 

 私だったら、この場所で、撮影をするかどうか微妙です。 そんな何でもないようなところ

を知覚の感光板に刻み付けるのは、何故?  と、既成概念の脳で見ることをやめ、じーっと

写真をみると、サムシングを感じる。

 

 

 

 

 

 

 



絵画と同じようにこの作品を部屋に飾るとどうだろうか・・・・永く楽しめそうな感じがする

 

 

 


 

 

 

 


 


モネや、クールベなどが多くの作品をのこしたノルマアンディーのエトルタ海岸の風景。

 

 

 


この位置からの絵が、モネなどの絵画にありますが、写真も、実に気持ちがいい。

 

 以上、今回も鈴木理策氏の作品は、楽しませてくれました。

次は何を撮るのか、楽しみな作家です。 


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