光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

韓国・ソウル アート巡り その5#2 韓国国立現代美術館果川館、ソウル大公園など

2018年12月15日 | アート 現代美術

韓国国立現代美術館 果川館の続編です。

《MMCA所蔵作品特別展;近代を彩った絵》

韓国国立現代美術館(MMCA)の所蔵作品で、近現代の韓国を代表する作家の傑作150余点

が展示されていました。

余談ですが、観覧料は無料、寄贈作品特別展も無料でした。 韓国の国立美術館や博物館は、無料

のケースが多く、リーズナブルです。 文化興隆の国策の一環でしょうか。




1900年代の初期の作品からいくつかピックアップ。

日本画の雰囲気を感じる作品。 日本の統治の影響が、文化面でも顕れています。

しかし、そのことが、1970~80年代にかけて、韓国美術界において、彩色画が日帝残滓として

排除されていくことになります。 芸術の世界は、そうした遺恨を昇華するところに意義がある

と私は思うのですが。




油彩の作品が出てくるのは、1930年あたりから。





会場光景




ナ・ヘソㇰ 《Dancers》 1940 油彩、キャンバス

 なぜか気になる作品で、キャプションを読むと、韓国で最初の女性西洋画家とある。

今回、ブログを書くにあたって調べてみた。 

ナ・ヘソク(羅蕙錫 1896年~1948年) 

裕福な名家に生まれ、1913年に日本の東京女子美術学校に留学し油絵を学んでいる。 そのとき、雑誌『青鞜』などを読み
平塚らいてうなどの女性解放思想を知る。 一方、在学中に同じ韓国人留学生で詩人の崔承九と恋愛(といっても既婚者で、
1916年に肺病で世を去る)  その頃、民族主義的影響を受ける。
1918年女子美卒業。帰国
1919年独立運動に参加、5ヶ月間投獄された。
1920年 弁護士金雨英と結婚
1918~1921年 新聞、女性雑誌、文芸誌などに絵と文を発表し、活躍
1922~1926年 朝鮮美術展覧会で特選となるなど、画家としての黄金時代。
1927~1929年 3人の幼い子どもを姑に預け、夫と欧米旅行、夫は英、独で勉強、ヘソクはパリの画室へ通い、女性運動も展開。
        韓国天道教指導者で、欧米視察中の崔麟とナソクが恋に落ちる。
1930年 恋沙汰が問題となり、離婚。 子供を置いたまま家を追い出され、崔麟からも棄てられる。
1935年 個展 社会的に冷たい反応。
1937~1945年 お寺(修徳寺)近所の旅館で生活。子供にも会えず、ノイローゼと半身不随で苦しむ。
1945年 知人のはからいで養老院生活、家出
1948年 ソウル私立慈済院無縁者病棟で死亡

 波乱万丈の人生で、晩年は不遇で孤独の中に死去しています。 この絵は、1940年制作。

絵からは、強い個性を感じます。



 


農村の田植えなどの光景が、ゆったり、軽やかに描かれている。 構図も面白い。

 



1950年になると、この年に勃発した朝鮮戦争の影響が出てきます。




イ・ジュンソㇷ゚は、2年前、徳寿宮館で開催された特別展を見ていたので知っていました。

日本人の奥さんと二人の子供を愛していたのですが、戦争の影響で、妻と子供を日本に帰

した後、苦難の生活の中、病死しています。 この絵は、まだ家族と一緒に暮らしていた

時のもの。

 



 


1953年に休戦が成立。 板門店を描いた絵です。 作者は寄贈作品特別展でも紹介したピョン・ウォリョン。





この絵は、捕虜の送還がテーマ。 上の絵と同じ作者ですが、作者は現場にいたのだろうか?




会場光景

    





















美人画のような、劇画イラストのような面白い絵。





写真も当時の状況が反映されています。











上の写真から、抜粋

 


 


水汲みも大変な仕事だった。















千鏡子(チュン・キュンジャ)の1968年の作品。 映画スターのグレタ・ガルボを描いたと

記されています。 

私は、前日、ソウル市立美術館にいって、千鏡子の常設展を見てきました。 日本の女子美大を卒業した方で

強い色彩と強い線、独特な女性の描き方が強く印象に残っています。

この絵も、幻想的な雰囲気と色使いがいい感じです。

ただ、この記事を書くときにWebサイトで調べると、1991年の韓国現代美術館の千鏡子企画展に、作家本人が

贋作だと指摘した美人図の撤去を要請したが、美術館は真作だと言い張り、以来、20数年にわたり、裁判沙汰になり、

2016年に韓国検察当局が真作と判定し、不起訴処分になった事実を知りました。

作家本人が贋作と指摘しているのに、真作と言い張る美術館に驚き。




この美術館では、展示会場の外側・回廊部分の壁面にもいい作品が展示してあります。





日本でも著名なリー・ウーファンの作品






 
















タイトルが上《6月25日以前の金さんの家族》、下《6月25日以後の金さんの家族》

?と思って調べると、6月25日は朝鮮戦争が勃発した日でした。

 




タイトルは《韓国近代史ー金剛》と読めます。

金剛山から、怒りと悲しみと苦難のマグマが流れ落ちているように見えました。 





鑑賞を終えて、今朝コーヒーを飲んだカフェテリアでランチ。 きしめんのようなスパゲティがおいしかった。

 

 



次はソウル市内の三星美術館LEEUMに行くことにし、歩いて地下鉄大公園駅に向かいました。

黄色い制服を着た園児たちの野外授業かな?

 

 



果川貯水池の秋の景色が美しい。

 

 

 

 

 池の周りで、西洋系の子供たちが遊んでいました。

 

 

 

 ソウル市内の地下鉄漢江鎮駅から歩いて、三星美術館LEEUMに行く途中、彫像と紅葉をパシャ。

 

 

 

 三星美術館LEEUMでは館内撮影は禁止ですが、一か所撮影OKな場所で、天井のミラーを利用して自撮り。

オラファー・エリアソン 《重力の階段》2014  の中から

 

 

 

 

 この美術館の古美術、なかでも陶磁器は本当に素晴らしい。 

鑑賞を終えて、デッキテラスを撮影。

 

 

 

夕食は、ソウル初日に行った、乙支路3街の「トンウォンチッ 」へ

 

 

 

 夕5時半頃で、一人で食事をしている客が多かった。

 

 

 

 注文したのはスンデクッ。 豚の腸に詰め物をしたもの。 何を詰めているかは知らない方がいいかも。

 

 

 

 食事を終えて店の外から通りを撮影。  この通りが、もう1時間ほどすると、テーブル席で溢れ、野外居酒屋と化します。

 

 

 

 日中、このあたりは道具屋街のようです。

 

 

 

 

 せっかくなので、ノガリ横丁といわれる、この通りの名物、ノガリ(たらの幼魚の干物)を注文してみました。

私的には、少しパサパサしていて、イマイチでしたが、地元で、小さい時から食べ慣れていると、病みつきに

なる味なのでしょう。

 


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