いかにもHipgnosisらしいジャケットが印象的なAlan Bownのアルバム。Alan Bownは文字通りBerkshire生まれのTrumpet奏者Alan Bownが率いていたバンドである。The John Barry Sevenに参加したBownは同僚の鍵盤奏者Jeff BannisterらとThe Alan Bown Setを結成。バンドはその後、The Alan Bown!、そして Alan Bownと短くなっていくがModな連中にはVocalistのJess Rodenが在籍していたThe Alan Bown Set時代の“Emergency 999”が良く知られたところであろう。それにしてもRodenやRobert Palmerという2名の優れたBlue-Eyed Soul Singerをバンドに起用したAlan Bownは素晴らしい。本作ではBownとBannisterに、後にSupertrampに参加するMultii管楽器奏者John Anthony Helliwell、ドラムスのVic Sweeney、ギターのTony CatchpoleというThe Alan Bown Set時代からのメンバーが中心となり、前作から参加したSoulfulで塩辛声を持つVocalのGordon Nevilleに、新たにベースはStan Haldaneに代わってAndy Brownが参加して本作をリリースする。曲作りは2曲を除きBownとBannister共作で固め、英国的抒情も感じさせるSoulfulなBrass Rockという中々個性的な音を出している。BownのTrumpetやBrass Ensemble、BanniserのOrganとピアノ、そしてBrownのゴリゴリとしたピック弾きのベースが強く印象に残る。また、NevilleのVocalも偉大な前任者2人に比較すると流石に分が悪いが、中々健闘していると言ってよいだろう。
『Stretching Out』はAlan Bownが71年にIslandからリリースしたアルバム。
アルバム1曲目の“The Messenger”はJeff BannisterのFunkyなピアノで始まる。BownのBrassがAndy BrownのゴリゴリしたベースにGordon Nevilleの塩辛Vocalがイイ感じ。曲調が次々に変わりながらも英国調の捻りのきいたPopなメロディが印象的。BannisterのOrganソロもカッコイイ。
“Find A Melody”もBannisterのLyricalなピアノで始まる。こちらは英国的な翳りが前面に出てTony Catchpoleの荒ぶるギター・ソロもカッコイイ。
Richie Havensの“Up Above My Hobby Horse's”はFolkyでCountryの要素が硬質のリズム隊に絶妙のコントラストを描き、NevilleのVocalも大健闘。
イントロのキメがカッコイイJohn Anthony Helliwell作の“Turning Point”。リズムが刻々と変化する緩急自在の展開も堂に入っている。BownのTrumpetソロもキマっている。
“Build Me A Stage”は英国的詩情に満ちた優美なWaltz。BannisterのLyricalなピアノとFluteが素晴らしい。
アルバム・タイトル曲“Stretching Out”。MinimalなOrganのフレーズに遠くでかすかに響くTrumpetによるイントロが絶品。SoulfulなVocalを生かしたナンバー。
(Hit-C Fiore)