The Alchemist/Home | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Homeは、Wishbone AshへギタリストTed Turnerの後任として加入したLaurie Wisefieldが在籍していたバンド。なんとAC/DCに加入するベーシストCliff Williamsも在籍していたのだ。濃厚な英国の香りをふりまいてきたWishbone Ashが米国志向へと転換期を迎えた時期に加入したLaurieは、従来のファンからは決して温かく迎え入れられたわけではなかったようだ。それはBanjoなども弾きCountry Rockな技巧も持ち合わせたLaurieがAshの作風の変化を導いた張本人とみなされたからでもあった。しかしLaurieが参加した最初のアルバム『There's The Rub』は、英国音楽と米国音楽が絶妙にBlendされ、彼らの音楽性の幅が拡がり多彩な魅力に満ちた名作といえる。また、以降の米国市場を狙ったと言われる作品も個人的には決して嫌いではない。そして、その米国音楽への傾倒も実はLaurieが加入していない前作からその萌芽がみられたものであったのだ。いずれにしてもLaurieの繊細かつ多彩なギター・ワーク英国的な翳りとCountryやFunkyな要素を含んだ米国音楽の良さが同居した魅力がある。それはHomeの3作目となる本作でも十分に堪能出来る。このジャケットも結構お気に入りだが、中身も中々のものだ。英国人らしい声質を持ったVocalのMick Stubbs12弦ギターなどギタリストとして演奏し、時にLaurieとAshさながらツイン・ギターで楽しませてくれるのも良い。また、錬金術師をThemeにしたConcept Albumというのも英国らしくて面白い。後に大好きなバンドGroundhogsに加入するドラムスのMike Cookのドラミングもイイ感じ。ゲストで鍵盤奏者のJimmy Andersonが参加してピアノやSynthesizerMellotronを弾いて彩りを添えている。正しく英国の中の亜米利加として、この時代にしか生まれ得ない名作に仕上がっている。

 

 『The Alchemist』はHome73年CBSからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目“Schooldays”はLaurie優美なArpeggioから始まり、Mick StubbsのVocalがChorusを伴い雰囲気たっぷりに物語の始まりを告げる。

The Old Man Dying”も英国の香り漂うギターとVocalが素晴らしい。ピアノをFeatureしつつBritish TradArpeggioHardなギター色彩感豊かに盛り上げる。

Time Passes By”は短いながらも美しくLyricalなインスト

The Old Man Calling (Save The People)”はHomeらしいCountry Tasteが発揮されつつBritishな憂いが上手く調和している。

The Disaster”は一癖あるギターのフレーズSynthesizerChorusProgressiveな構成を持った楽曲に独特の雰囲気を与えている。

The Sun’s Revenge”はWishbone Ashを思わせるツイン・ギターのRiffChotusが興味深いナンバー。British Hardな路線ながら抒情的で透明感に溢れたナンバー。

淀みない流麗なArpeggioで始まる“A Secret To Keep”。Vocalはアメリカンながらバンドの高い演奏力による英国らしい繊細で綿密なEnsembleが楽しめる。

The Brass Band Played”はタイトル通り、Brass Band風の演奏にベックに人々の話し声や拍手のSEなども入っている。

ギターのRiffが激カッコイイ“Rejoicing”。ツイン・ギターも最高。これもAshっぽい。

The Disaster Returns (Devastation)”もカッコ良すぎるギターのRiffから展開し、動と静の見事な場面転換をみせる。Laurieがギター・ソロで弾きまくっている。

Effectをかけたギターの不穏な響きで始まる“The Death Of The Alchemist”。この曲も全体にAbstractな仕上がりではあるがHardな部分抒情的な部分が入り混じっている。

アルバム最後をシメるのはタイトル曲“The Alchemist”。美しいArpeggioで始まりMick Stubbsの表現力のあるVocalが生かされた最後を飾るにふさわしい英国の重みも感じさせてくれるナンバー。

(Hit-C Fiore)