R. M. Točak/R. M. Točak | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Balkan名物、畳みかける変拍子が躍動するアルバム1発目で見事に心を撃ち抜かれてしまった。Serbiaが世界に誇るGuitar Virtuosoにして同国を代表する技巧集団Smakを率いるBandleader R. M. TočakことRadomir Mihailović Točakのソロ・アルバム1作目。SmakのベーシストZoran Milanović、ドラムスのSlobodan Stojanović Kepa、鍵盤奏者のLaza Ristovskiがバックをつとめている。この4人は75年のデビュー・アルバム発表時のVocalを除いたメンツであり、鍵盤奏者のLazaが参加しているところがポイントだ。SmakはWheelを意味する "Točak"という愛称で呼ばれるギタリストRadomir Mihailovićを中心に71年に結成されている。彼らはBoris AranđelovićというHigh ToneのVocalistを擁し、HardFunkyでありながら切れ味鋭く異国情緒漂うRockで旧Yugoslaviaで人気を集めた。メンバー全員が優れた演奏技術を持っているが、1stアルバムでバンド名義の1曲を含む全ての楽曲を書き、JazzBlues民族音楽Funkの要素を取り入れたギター・プレイで魅了するTočakはずば抜けている。抜群のリズム感で繰り出されるキレキレのFunkyなギターだけでなくClassicalなAcoustic Guitarもお手の物だが、特に東欧独特のExoticismに溢れるフレーズが飛び出したりするところがたまらない。あの偉大なるAreaやMauro Paganiの1stアルバム『Mauro Pagani』を思い起こさずにはいられない本作の1曲目を聴けば、Točakの才能をわかっていただけるだろう。全曲インストでAggressiveに突っ走る爽快感が良い。旧Yugoslavia(現在のMacedonia)から登場したLeb I SolのギタリストVlatko Stefanovskiと並ぶ旧Yugoslaviaが生んだGuitar Virtuosoにして優れたMusicianであるTočakのギターを思う存分味わえる名盤である。

 

 『R. M. Točak』はR. M. Točak76年にリリースした1stソロ・アルバム。

アルバム1発目は上述の“Oro”。ArpeggioをまじえたTočakの激カッコイイRiffで始まり疾走感生命感に満ち溢れためくるめくBalkan変拍子Areaを思わせる。Slobodan Stojanović Kepaバタバタしながらも生命感に満ち溢れたドラミングにのってArabicな旋律が暴れまくるのが気持ち良すぎ。Zoran Milanovićのベースも気持良くウネっている。

一転してキレキレFunkyなギターのRiffで始まる“Aria Daimond”は途中から雄大な泣きのギターが炸裂。跳ねるリズム隊をバックにTočakのギターがキレの良い技を連発し、後半はこれでもかと暴発するリズム隊にのって怒涛の弾き倒しになるところはお約束とはいえ、たまらないものがある。

いきなり超絶的なドラムスのFill Inで始まりFunkyなキメが炸裂するJazz Funk“Svrabež (Boom '76)”。後半はTočakのギター独演でRock魂に満ちたソロが熱い。

Neki Paraziti”もFunkなギターが気持ち良すぎ。ドラムスもベースも負けじと応酬。うねりまくるZoran MilanovićのベースにLaza Ristovskiの鍵盤さばきも良し。

Organizam Blues”は所謂6/8拍子のRocka Ballad。文字通りBluesyな哀感漂うナンバーでツイン・ギターでハモるところなど、日本字好みの泣きも披露されているのが良い。

アルバム最後をシメるのはJazz FunkModifans”。躍動するキレキレのリズム隊にのってTočakが怒涛の弾き倒し

(Hit-C Fiore)