Country Roads & Other Places/Gary Burton Quartet | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

  Gary Burton絡みで一番好きなアルバムが本盤である。『Good Vibes』や『Lofty Fake Anagram』も大好きだが、今の自分にとっては本作がダントツである。いずれにしても自分にとってはこの3枚がBurtonのAll Time Bestなのである。また、名作と言われる『Duster』や『Alone At Last』も好きではあるのだが、本作や『Throb』のようなJazzやCountyやRockがイイ塩梅でごった煮され、技巧的すぎず脱力した感じがモロに自分のツボなのである。66年に録音された『Tennessee Firebird』ではNashvilleのChet AtkinsやBuddy Emmons、Kenny Buttrey、 Charlie McCoyらと組んでCountry色を前面に出しているが、本作では再びRoy Haynesがドラムスを担当し、ギターにはJerry Hahnを起用しアルバム・タイトル通りCountry色を強めている。ギタリストがLarry Coryellだった時代もJazzやRock、CountryにFolkPopsが入り混じったジャンル越境の音楽ではあったが、よりスリリングでAggressiveな上述の『Duster』を頂点に、徐々に力が抜けていって、Summer Of Loveという宴の後のチョッと気怠いAfter Hoursな雰囲気も漂う本作に感じられるAmericanaごった煮感が実に素晴らしい。Coryell時代に比較して圧倒的に評価の低いJerry Harn時代のGary Burton Quartetであるが、もっと再評価されても良いのではないだろうか。CountryのみならずMaurice Ravelも飛び出す非African-Americanな世界でJazzとRockが心地良く共存しているのが面白い。それはJimmy GiuffreやGeorge Russell、Paul Bleyといった個性的な面々と共演してきた、技巧とSound Designerとしてのセンスを兼ね備えたベース奏者Steve Swallowがいたからこそ描き出すことができた世界である。本作からSwallowはElectric Bassに持ち替え、さらにPick弾きするようになるのだが、流石にわかってらっしゃるというか、Grateful DeadPhil Leshのような浮遊感も漂わせたベースが気持ち良すぎである。

 

 『Country Roads & Other Places』はGary Burton Quartetが69年にRCAからリリースしたアルバム。

アルバム1発目はBurtonとSteve Swallowの共作となる、ゆったりまったりしたTempoの“Country Roads”。脱力しながらも快感のツボを突くようなSwallowのベース・ラインも最高だが、Jerry Hahnのギターも素晴らしい。

Swallow単独作の“The Green Mountains”もベースとVibraphoneが奏でるイントロの爽やかなRiffがイイ感じ。ここでもHahnのギターが素晴らしい。

Roy Haynesのドラム・ソロがFeatureされた“True Or False”。Pastoralで涼し気なThemeもイイ感じ。こちらもSwallowの作品。

Funkyなリズム隊が冴えるLaidd-BackしたJazz RockGone, But Forgotten”。Swallowのピック弾きが極上のラインを紡ぎ出すベース・ソロが最高。Mike GibbsとBurtonの共作。

Baroqueの香り現代的な感覚で蘇る“Ravel Prelude (Le Tombeau De Couperin: Prelude)”はGentle Giantを思わせる。このMaurice Ravelの楽曲が正に新世紀の音楽のように響くのが面白い。

Mike Gibbs作の“And On The Third Day”はマッタリしたギターのカッティングをバックにBurtonのVobraphoneが心地良く響いていく。音数を最小限にした選び抜かれた独自のラインを奏でるSwallowのベースも素晴らしい。

Burton単独作の“A Singing Song”は12/16拍子小気味良いナンバー。再びRoy Haynesのドラム・ソロがFeatureされている。

ギタリストJerry Hahnとの共作で2人のみの演奏となる“Wichita Breakdown”。技巧的でスリリングなイントロで始まり、仄かにCountryの香りが漂うところが良い。

Standardの“My Foolish Heart”はBurtonのみの独奏。ひたすら美しい

アルバム最後をシメるのはRoy Haynesの小気味良いドラミングとSwallowのしなやかに動き回るベースにのってVibraphoneとギターが歌いまくるA Family Joy”。軽やかにステップを刻むかのように躍動するリズム隊が極楽気分である。Mike Gibbs作。

(Hit-C Fiore)