昨年『Unattended Luggage』というタイトルでPink FloydのDrummerであるNick Masonのソロ作品3作が3枚組のCD Box SetでReisueされた。そこに収録されたMasonの1stソロ『Fictitious Sports』は以前にもCD化されており、個人的にも大好きな作品ではあるし、以前取り上げた『Profiles』も10ccのギタリストRick Fennと組んだお気に入りのアルバムだ。しかし、このRemasterされた3枚組を手に入れた本当の理由は、CDでおそらく初お目見えとなるDonald Cammell監督による87年公開のThriller映画l『White of the Eye』のSoundtrackである本作であった。この映画は未見ではあるが、上述の『Profiles』同様Nick Mason + Rick Fenn名義でリリースされている。前作は David GilmourとMaggie ReillyがFeatureされたヒット曲“Lie For A Lie”やDanny Peyronelが歌う“Israel”という2曲の歌モノを含んでいたが、こちらは全てインスト曲で構成されている。Rick Fennの流麗なギターが全面的にFaetureされているが、Soundtrackということもあって、内容はそれ以上でもそれ以下でもない。ここにPink Floydや10ccを期待するのは野暮というものだ。Rick Fennはギター以外に鍵盤やベースも演奏する所謂するMulti-Instrumentalistであるが、本作でも、その才能が発揮されている。さすが仕事人Rick Fennということで完成度の高いSoundtrackに仕上がっている。一方でNick Masonの影が薄いのは仕方ないのかもしれない。あのPink FloydでもNickの独特のタイム感を持ったドラミングは大切な要素の一つであることは変わりはないが、本作では打ち込み風のDigital Beatに支配され、あのNick Masonらしい生ドラムは登場しないのであるから。それにしてもRick Fennという人はAcoustickもエレキも本当にギターが上手いし、BluesyなBottleneck GuitarやFunkyなカッティングも含めてギターのSoundを美しく心地良く響かせることに関しては超一流であろう。例えば初夏の夜なんかに心地良く聞き流すには最高のアルバムではある。
『White of the Eye』はNick Mason + Rick Fennが音楽を担当したSoundtrack。
アルバム1発目の“Goldwaters”はDigitalなBeatにのってRick Fennのギターが伸びやかに弾きまくり。とはいっても所謂速弾き一辺倒ではなく、時にBluesyにMelodiousに歌うギターはPink FloydのDavid Gilmourのよう。
“Remember Mike?”もRick FennのギターのFunkyなカッティングや流麗なArpeggioが堪能できる。こうやって聴くとRickのギターは本当に上手い。
Bottleneck Guitarが渋い“Where are you Joany?”。ある意味Ry Cooder路線のこういうナンバーは個人的には一番の好み。
FnkyなギターのRiffがご機嫌な“Dry Junk”。ここでもBluesyなBottleneck Guitarが最高。
“Present”は80代後半らしいSynthesizerが前面に出てはいるが、安直なEasy Listeningに終わらず、Mysteriousな香りが漂うところがイイ感じ。
Saxが活躍する“Thrift Store”。
未来感漂う“Pt 1 Prelude Pt 2 Ritual”。Rickの繊細なAcoustic Guitarと泣きのギターが美しい。
“Globe”は哀感漂うStringsと何とも物悲しげに響くSynthesizerの旋律が絡み合う。
BluesyなSlide Guitarが幽玄な世界を描き出すのが実に気持ち良い“Discovery & Recoil”。
TablaとSynthesizerが未国籍風に響く“Anne Mason”。
Rickのギターが咽び泣く“Mendoza”はOrganがイイ感じ。
Rickの泣きのギターが味わい深い“World Of Appearances”。
始まり方が重厚な“Sacrifice Dance”。
アルバム最後をシメるのはタイトル曲“White of the Eye”。Rickの優美なAcoustic Guitarと泣きのギターが堪能できる。
(Hit-C Fiore)