Imán, Califato Independiente | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

  70年代にEurope各地から登場してきたJazz Rockは、それぞれの国が持つ文化や伝統が反映された音楽的要素が垣間見れるところに面白さや楽しみがあった。これまで何度も書いてきたようにSpainから登場したバンドは、Flamenco Guitarの使用やPalma(手拍子)、高揚感が高まらずにはいられない変拍子を含む特異なRhythmSpanish ScaleなどArabicな旋律、どれをとっても自分には魅力的であった。Gomaに在籍していたギタリストManuel Rodríguezを擁するImán, Califato Independiente(通称Imán)は、74年にソロ・アルバム『Karma』をリリースしていたベース奏者Iñaki Egaña、同作に参加していた米国生まれのDrummer Kiko Guerreroらによって76年にMadridで結成されたバンドが母体となって鍵盤奏者Marcos Manteroが加わってCBSと契約して本作をリリースしている。Manuel RodríguezのLyricalで時にEmotionalに燃え上がるギターやMarcos Manteroの操るArpMini MoogElka RhapsodyMellotronがIñaki EgañaとKiko Guerreroが変幻自在に躍動するリズム隊にのってExoticで夢想的な世界を描き出す。確かに英国のPink FloydやGenesisを思わせる抒情性やSymphpnicな要素も垣間見られたり、Weather RepotCanterburyのバンドのようなジャンル横断的な音楽性も持ち合わせているバンドではある。しかし、やはりImánの魅力はArábigo-Andaluz異国情緒漂う神秘的な音世界にある。それぞれのメンバーの持つ高い演奏技術が、構成力の優れた楽曲スリリングな展開とEnsembleで見事に融合しあって創り上げいく音世界が素晴らしい。ジャケットのような幻想性と抒情を持ちながら、どこか見知らぬ場所へ誘われていくのが個人的にはツボである。ベースがEl KintoにいたUruguay出身の名手Urbano Moraesに交代して80年にリリースされた2ndアルバムとなる『Camino Del Águila』も言うまでもなく名盤である。

 

 『Imán, Califato Independiente』はImán, Califato Independienteが78年にリリースしたアルバム。

A面すべてを使った“Tarantos Del Califato Independiente”という組曲は5つのPartから成り、人々の合唱から始まる“Canto Al Califa”で始まり、“Tarantos”、“Estáte Quieto, Boabdil”、“Paseo Por La Plaza”、“Cuarto Menguante”へと続く。謎めいたSynthesizer、そしてArabicな旋律を紡ぎ出すLyrical異国情緒漂うギターが加わる。ベース・ソロを挟んでEmotionalなJazz Rockへ展開し、ギター・ソロ、そして緩急自在のRhythmにのってビシバシとキメられていくUnisonには思わず手に汗を握る高まりを感じさせる。続いてMinimalなベースがイイ感じのExoticなJazz Rockが始まる。Juan IborraのMarimbaも加わって徐々に高まりをみせつつ、幻想的なScatやChorusに抒情的なギターのArpeggioArp Synthesizerで一旦静かな展開になるが最後はお約束の泣きのギターが炸裂。これは思わずグッときますな。

B面は軽快な“Darshan”でスタート。感傷的なメロディも顔を出すPopな味わいだが、情熱的なギター・ソロに加え途中でLatinなノリも飛び出したりWeather Repotのような味わいも感じさせる(特にSynthesizerとリズム隊)。

Marcos ManteroのピアノとManuel RodríguezのギターによるAcousticで優美なEnsembleで始まる“Cerro Alegre”。しかし例によってArabicな旋律が登場するなど一筋縄でいかないのがImánらしい。

アルバム最後をシメるのはManuel RodríguezのGentleなVocalが雰囲気たっぷりの“Canción De La Oruga”。こちらもArábigo-Andaluzな世界が突如現れるのが素晴らしい。

(Hit-C Fiore)