70年代後半に登場した英国の大好きなバンドCrawler。Bluesyで味わい深い演奏は最高であった。その母体となったのはFreeを脱退したギタリストPaul Kossoffが結成したバンドBack Street Crawler(以下BSC)である。Kossoffの最初の最初のソロ・アルバムから名前を付けたBSCではあるが、鍵盤奏者のMike Montgomeryが脱退してJohn "Rabbit" Bundrickに代わり、主役となるKossoffが急逝した後にバンドは消滅するかと思いきや、Ifの名ギタリストGeoff Whitehornを迎え入れ名前をCrawlerと短くして再出発をしたのだった。話はややこしくなってしまったが、そのBSCでベースを弾いていたTerry Wilson、ドラムスのTony Braunagel、鍵盤のMike Montgomeryの3人がBSC結成前に参加していたバンドがBloontzである。3人以外のメンバーはギターにDavid L. Kealey、Lead VocalにAndy Chapmanという5人組。これがCarawler、BCSに通ずるBluesyで男くさい大人のRockを聴かせてくれるアルバムを残してくれていて、実に素晴らしいのだ。Texas州のHouston,で活動していたThe Bloontz All Star Blues Bandが母体となって生まれたバンドで、やはり根っこにBluesが流れているのだが、何といってもTerry WilsonとTony BraunagelのFunkyで懐の深いリズム隊が最高なのである。Freeの影響を強く受けているのは明白であり、さすがにPaul Rogersには敵わないけれど、Andy ChapmanのVocalも結構健闘しているといえる。興味深いことにKissのメンバーであるGene SimmonsとPaul StanleyがBacking Vocalで参加したことで知られるLyn ChristopherというSingerの唯一のアルバムにBraunagelとWisonとMontgomeryの3人が参加している(Wilsonはベースではなくギターで参加)。
『Bloontz』はBloontzが73年にEvolutionからリリースしたアルバム。
アルバム1発目“The Joke's On You”はAndy ChapmanのSoulfulで魅力的なVocalがFunkyな演奏をバックに映えまくり。Clavinetもイイ感じにキマっている。
“Jason Blue”は後にBSCの1stアルバム『The Band Plays On』で再演しているBluesyなBallad。Eternity's ChildrenのLinda LawleyやSharon Reddらの女性Chorusも盛り上げている。
ピアノがFunkyに跳ねる“You Ain't Your Body”。Kealeyの伸びやかなギター・ソロが気持ち良い。
“Arena”はガッツの入った男気Rock。熱いっす。
“Long Way Down”もBSCで“It's A Long Way Down To The Top”として再演されているFreeを思わせるBluesyなBallad。泣きのギターと女性VocalがVocalを盛り立てる。
“Prodigal”はCountry風味が程よく効いたSoulfulで味わい深いSwampナンバー。ギターも歌っている。
John "Rabbit" Bundrick作の“Sunshine Masquerade”は伸びやかに歌うSoulfulなVocalが映える高揚感に満ちたナンバー。やっぱりRabbitは良い曲を書きますなあ。LyricalなギターのArpeggioもイイ感じだし、Chapmanの歌いっぷりが素晴らしい。
激カッコイイアコギのRiffで始まる“Ramon”。タメの効いたリズム隊が最高に気持ち良い。気持ち良さそうに歌うChapmanのVocalも渋くてカッコイイ。
アルバム最後をシメるのはアコギとSlideが激渋の“Light Up The World”。
(Hit-C Fiore)