Alexis Kornerは英国音楽、特にBritish Blues/British Blues Rockを語る時には外せない音楽家である。Kornerの軌跡を追いかけていくと"A Founding Father of British Blues"と称されただけでなく、その周辺でJazzやR&B、Soul、Popsの境界線を越えて、たまらなく英国的な多様性を持った音楽が生まれていったのがわかる。そこには勿論、Korner独自の音楽性によるものもあっただろうが、当時の英国の音楽界自体が、そういったジャンル越境の音楽を生み育てていく土壌があって、60~70年代にかけて個性的で創造性豊かな英国音楽が数多く生まれていったということもあるだろう。とはいえ、PentangleやColosseum、The Graham Bond Organisation、McGuinness Flint、そしてRolling StonesやFree、Cream、Led Zeppelinを結成するメンバーたちがこのAlexis Kornerとかかわり合いを持ち、影響を受け、芳醇で個性的なBritish Music Sceneが形成されていったという事実は興味深い。Alexis Korner's Blues Incorporatedの62年作『R&B from the Marquee』や72年リリースの編集盤『Bootleg Him!』など聴いてはいたのだが、当時の自分にとっては、その英国音楽における功績は認めた上で、渋くて何となく掴みどころのない印象のあったKornerの音楽が初めて響いてきたのがCCS (Collective Consciousness Society)名義となる本作である。いってしまえばBritish Brass Rock。KornerがDonovanやCilla Blackらとの仕事で知られるComposer/ArrangerのJohn CameronやThe AnimalsやThe YardbirdsのProducerとして知られるMickie Mostと組んでJazzやRockの境界を越えて、当時の英国の腕利きSession Musisianを起用したProjectがCCSである。その豪華なメンツ、特にBritish Jazzの猛者が集結しているのには驚かされるが、過度な期待は禁物。Mostの意向か、あくまでも楽曲も演奏もあくまでもPopsとしての仕上がりを重視した作品となっている。
『CCS』はCCSが72年にリリースしたアルバム。70年にリリースされた1stアルバム 『C.C.S.』に続く本作でもBlue Minkからベースの名手Herbie Flowers、Jazz界からもTony Carr、Harold McNair、Harry Beckett、 Henry Lowtherといった超一流の腕利きMusicianが引き続き参加している。VocalのPeter Thorupも同様。
アルバム1発目“Brother”はPercussionが心地良く鳴り響く中、ピアノがRiffを奏で、Fluteが浮遊し、Brassが派手に炸裂していく。
Led Zeppelinの“Black Dog”。これはカッコイイっす。スリリングなインプロがあるわけでもないし、ドラムスもバタバタしているのだが、HeavyなギターのRiffとHorn隊の絡みが素晴らしい。
なんとJackson 5の“I Want You Back”。塩辛Vocalで歌われるところが面白い。
“Running Out Of Sky (Sky Diver)”はFluteがFeatureされた5拍子のナンバー。次々と展開が変わり、短いながらもHarold McNairのSaxソロがカッコイイ。
“Whole Lotta Rock 'n' Roll”というタイトルを付けられたMedley。Led Zeppelinの“Whole Lotta Love”から始まりChuck Berryの“School Day”そしてVocalが入って“Lucille”、再び“School Day”がJazzで演奏され、“Whole Lotta Love”のRiffが鳴り響き“Long Tall Sally”ときて最後は“Whole Lotta Love”のRiffでシメ。
“Chaos: Can't We Ever Get It Back”はスリリングなインスト“Chaos”とVocalが熱唱する“Can't We Ever Get It Back”から成る組曲。
アコギがジャンジャカの弾き語り“This Is My Life”。そしてBrassが加わるとド迫力。
イントロのエレピがイイ感じの哀感漂うBritish Pop“Misunderstood”。
“Maggie's Song”も英国的な抒情が沁みるナンバー。
アルバム最後をシメるのは“City”。情感こもったKornerの濁声がこれまたイイ感じ。
(Hit-C Fiore)