Ian Gomm といえばBrinsley Schwarzのギタリストであり、Nick Loweの名曲“Cruel To Be Kind”の共作者として知られる人物である。Brinsley SchwarzにはAuditionにより選ばれて、3rdアルバム『Silver Pistol』から参加して75年に解散するまで在籍、"Best Rhythm Guitarist"と称されるそれなりの地位は築いたものの、バンドと共にGommの知名度は我が国では非常なまでに低い。解散後のバンドのメンバーは、Brinsley SchwarzとBob AndrewsがGraham Parker & the Rumourに参加、Nick LoweとGommはソロとしての活動を開始していく。GommはWalesに自分のStudioを設立するなど10代からEMI RecordsのSound Engineerとして働いてきた実力を生かしてThe StranglersやAlexis KornerからPeter Hammill、Amon Duulらの録音も手掛けていたが、78年にAlbion Recordsからリリースされた本作でソロ・デビューを飾るのである。それにしても、このジャケットはないよなあ。あまりにもやっつけ、まあ、それも含めてGommらしいといえば、らしいのではるが。鍵盤奏者のChris Parren、ベースに名手Herbie Flowers、ドラムスはBarry De Souzaという充実したリズム隊による演奏は申し分なし。如何にも英国職人気質が反映された、派手さはないが実に渋いツボを抑えた仕上がりとなっている。ところが収録曲の“Hold On”が全米Top 20に入るヒット曲となってしまうのが面白いところである。CountryやRock、Blues、R&BやSoulといった要素を自分なりに消化した英国Pub RockのMisicianの伝統芸ともいうべきGommのSinger-Songwriterとしての才能が感じられる佳作である。Pub Rock好きにはたまらないアルバムであり、70年代後半らしさを感じさせつつ、永遠に錆びつくことのないGommのMelodyを楽しむことが出来る。
『Summer Holiday』は78年にIan Gomm がリリースしたアルバム。
アルバム1発目“Hooked On Love”はBrinsley Schwarzの『Please Don't Ever Change』のアルバム1曲目を飾った勢いのあるナンバーの再演。
“Sad Affair”はHorn Sectionも加わってほんのりとReggae風味が利いた小気味よい仕上がり。
“Black And White”はHorn隊が炸裂するノリノリのRock ´n´ Roll。
Chuck Berryの“Come On”。といえば、Beatlesのあの曲だけど、これまたBluesyなイイ感じに仕上がっている。
上述の“Hpld On”。Saxソロも登場する渋い大人のRock.である。
元気いっぱいの“Airplane”はBrinsley Schwarzの元メンバーらしい曲。
“24 Hour Service”は当時のElvis CostelloやJoe Jacksonにも通ずるPunk以降のBritishなPop感覚が最高。
“That´s The Way I Rock ´n´ Roll”はIan GommらしいR&B感覚と泣きのMelodyがたまらないアルバムで一番お気に入りのナンバー。
“Dirty Lies”は勢いに満ちBrass Sectionも飛び出す弾けるPopなナンバー。
The Beatlesの“You Can´t Do That”。渋い選曲であるが、Flowersのベースで始まり黒っぽさを強調しているのが良い。Slide Guitarのソロもカッコイイ。
“Chicken Run”はMinor Chordで始まる哀感漂うナンバー。Up Tempoになるところなど英国人らしさが漂っている。
アルバム最後をシメるのはAcoustic Guitarの弾き語り“Another Year”。Gentleな語り口で極上のMelodyを楽しませてくれる。Ian Gommの優れたSinger-Songwriterとしての才能が発揮されている。
(Hit-C Fiore)