In Concerto/Le Orme | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 

 ItalyのVeneziaで結成され英国のBeat Groupに影響を受けたPsychedelicなPop感覚を持ったバンドだったLe Ormeは鍵盤奏者Antonio(Toni) Pagliucaとベースとギターを演奏しVocalを担当するAldo Tagliapietra、ドラムスのMichi Dei RossiのTrio編成となって71年にアルバム『Collage』をリリースする。以降、彼らの音楽性も変化し、70年代前半にLe Ormeは絶好調ともいえる充実した作品をリリースしていく。映画音楽を手掛けたことでも知られるピアニスト/作曲家/ピアニストGian Piero Reverberiを迎えた74年の『Contrappunti』は彼らのProgressiveでClassicalな方向性が創造性のピークに達した作品である。同年に発表された本作は、そんな全盛期のLe OrmeのLive盤である。この編成はEmerson, Lake & Palmer(以下ELP)と同じで彼らが強くその影響下にあったことは明白である。同時期に英米のみならず欧州では同じ鍵盤Trioのバンドが数多く登場することになったが、彼らは総じてELPの後追い的存在で模倣の域を抜け出られなかった連中も数多かった。しかし、ELPのKeith Emersonのような当時のRock界で圧倒的な技巧を誇るような鍵盤奏者がピアノのみならずOrganやSnthesizerを巧みに組み合わせ、Aggressiveに突き進んでいくスタイルとは、Le Ormeの魅力は異なるところにあった。和みともいえる、どこかマッタリして牧歌的Italyらしい歌心が感じられる部分、特にAldoがVocalを担当する歌モノでの物憂げで切なくなるような繊細なんだけど翳りがあって少々頼りなげで垢抜けないところが何とも憎めない彼らの魅力である。それは彼らのジャケットなどにも反映された幻想的で抒情的なイメージそのものでもある。『包帯の男』と邦題が付けられた72年にリリースされたアルバム『Uomo Di Pezza』のWalter Mac Mazzieriの手によるIllustrationに魅せられて、このバンドを追いかけて以来、アルバムによっては正直期待を裏切られたりガッカリしたりしたこともあったものの、現在でも活動を続けている彼らの最もCreativeだった時代をそのまま伝える本作は貴重だ。正直録音状態も良くはないしStudio盤の綿密さや完成度もないが、その荒削りで勢い任せスカスカの演奏が結構楽しめてしまうのだ。

 

 『In Concerto』はLe Orme74年1月RomaTeatro Brancaccioで演奏した音源を収録したLive Alum。70年代のTrio編成最後の作品である。

アルバム1発目はいきなり現代音楽風のピアノが奏でられ厳かに始まる“Truck Of Fire Part 1”。書下ろしの新曲だろうか。ピアノのみの演奏で引っ張りMoogが登場するとバンドのAggressiveな演奏が始まる。そうなるとHammondが唸りを上げて活躍する。この辺のToniの趣味が個人的にはツボ。Michi Dei Rossiのツーバス連打をバックにしたSynthesizerのソロもカッコイイ。Michiのドタバタしたドラム・ソロもご愛嬌。17分越えの熱演もELPには成りきれていないが、どこか憎めないところがある。

一転して穏やかに始まる“Truck Of Fire Part 2”は彼らお得意の抒情的で幻想的な歌モノ。とはいえ、Vocalは前半だけで、後は演奏部分が殆どを占める。地中海に漂うかの如くゆったりまったりとした演奏が和んだかと思えば、ELPのような攻めの演奏が始まるのが面白い。

転機となったアルバム『Collage』から“Sguardo Verso Il Cielo”。HammondがThemeを奏でる歌モノ。この曲もリズム・チェンジやHammondのソロがモロELPの影響下にあるのだが、AldoのVocalがItalyらしい歌心に満ちイイ味を出している。

Preludio A Era Inverno”は不穏なSynthesizerで始まるが、Classicalな旋律教会音楽的なOrganの響きが個人的にはツボである。最後に高らかに鳴り響くMoogが良い。高い技巧を持たずともToniの鍵盤は独自のセンスを持ち、訴えかけてくる。

再び『Collage』から“Era Inverno”。AldoのギターのArppegio切ない歌声が印象的な歌モノであるが、歌に絡むSynthesizerや圧巻のHammondソロがご機嫌である。

Felona E Sorona』からSynthesizerがウネりまくるRitorno Al Nulla”。

アルバム最後をシメるのは同名アルバムからの代表曲“Collage”。

(Hit-C Fiore)