Solid Solutionという名のDetroitから登場したこのHarmony Group、名前も一部その筋の方々には有名ではあるが、さほど知名度があるとはいえない上に、ジャケットが冴えない感じで、中身を知らなければ、とても手が出る音盤ではない。ところが、Silver Spoon RecordsというDetroitで設立されたLabelからリリースされている彼ら唯一のこのアルバム、そう、中身は中々のものである。こういう季節に聴きたくなってしまう心の底からジックリと温まってくる作品なのである。Mike WilsonとStanley Greerが中心となってHorace Wilbanks Jr、Kurt Jefferson Sr、Kevin Chapmanという3名のメンバーをAuditionで選び5人編成のHarmony Groupとして結成されたSolid Solution。本盤は、この実力派のVoocal Groupによる、曲良し、歌良し、演奏良しの好盤である。Silver Spoon Recordsを設立したHill Bros.のRobert Leeがベースと鍵盤、Joe Hillがドラムスを担当している。またFlute奏者の才人Harold JonesがStringsとHornのArrangementsを担当している。ギターにはGuy PattersonとProduceも担当するKenny Hollman、鍵盤にはGreg Nichols、FluteにはMarvin Gayeの『What's Going On』はじめMotownの数々の名盤に参加したDayna HartwickにSusan Barna、PercussionにはThe Funk Brothersの一員Jack Ashfordに、Bobby WomackやThe Brides Of Funkenstein、Parliament、Funkadelic、ParletらP-Funkのアルバムに参加しているLarry Fratangeloが参加しているのが興味深い。男気溢れる豪放磊落なVocalと繊細なFalsetto VocalのContrastもお見事だし、Chorusとのかけ合いもバッチリである。演奏陣も蕩けてしまいそうにSweetなBalladから重心の低いFunkまで実に手堅く、StringsやFluteの絡み具合もイイ感じであり、その辺はHarold Jonesの手腕によるところが大きい。MotownにP-Funk、正にDetroitの粋を集めた力作に脱帽である。
『Solid Solution』はSolid Solutionが78年にSilver Spoon Recordsからリリースしたアルバム。
アルバム1発目は軽快なピアノで始まるご機嫌な“Think About it Girl”。弾むようなリズムにのってStringsが心地良く駆け巡り、男くさい野性味タップリのVocalとChorusの掛け合いもバッチリである。
一転してMellowな“L.O.V.E. (Love)”。ここでもHorace Wilbanks Jrの魂入りまくったVocalとFalsettoのかけ合いやChorusの絡みが中々のもの。Slapビシバシのバックの演奏もイイ感じ。
来ましたぞイントロから心を鷲づかみされる泣きのBallad“Once You Fall In Love”。剛毅な男っぽいVocalと繊細なFalsettoの掛け合いはお見事としか言いようがない。
続いても蕩けるような必殺のBallad“Loving You”。甘く切ないFalsettoとChorusとのかけ合いがたまらんす。
B面もメロメロにSweetな“This Must Be Love”でStart。StringsとChorusも煽り、盛り上げ、Vocalも熱く歌い上げていく。この終盤の盛り上げは圧巻である。
小粋な“Don't Ask Me”はFluteやVibraphone、Stringsが熱唱するVocalにCoolに寄り添いつつ洗練されたEnsembleに思わず脱帽。男汁溢れるVocalとバックの演奏のContrastが最高。
重厚なピアノで始まる“If It's Good To You”は重心の低いリズム隊にStringsやChorusが絡むご機嫌なFunk。こういうChorusを聴くと彼らが実力派であることがわかる。
アルバム最後をシメるのは軽快なParty Tune“Spending My Money”。インスト部分がDiscotiqueなノリで中々カッコイイ。
(Hit-C Fiore)