行かなきゃ、当日券売り場へ。
前日の夕刻に明日で公演は終わりと知り、その後仕事が終わったのが遅くて、慌ててホリプロチケットサイトにアクセスしたときにはめぐさん回チケットは完売でした。
渋谷から急いで向かったのですが、既に列が出来ていて、私のところからはファーラムの外に並んでと指示されてしまい不安でしたが、まだチケットは大丈夫そうとのことでした。
DWグリフィスとリリアンギッシュ(晩年の八月の鯨ご覧になった方いらっしゃいますか?映画の創始から亡くなる1993年まで舞台の子役だったときからほぼ生涯が女優さんだったかた)、
ダグラスフェアバンクスとメアリーピックフォード(グロリア・スワンソンと同時代にアメリカの恋人と呼ばれたトーキーの絶対的スター)、
セシルBデミルとグロリア・スワンソン(「サンセット大通り」の彼女を投影したといわれるノーマ・デズモンド役を演じた女優さん)
100年も前の映画界、すぐに組み合せがわかる映画監督と人気女優のセットはそのトーキー時代のふつうだったんだと思います。物語のマックスとノーマはその人達をミックスしたビリーワイルダー(1950年)の作品です。
サンセットブルバードは映画通でなくとも映画人の華やかな豪邸が立ち並ぶ特別な場所だと知られていましたのでLA観光にはスター豪邸ツアーなるものがあったんです。
ハリウッドの賑やかな町の様子は、時代は後年ですが、ブラピとディカプリオの「ワンスアポンアタイムインハリウッド」(タランティーノ)に再現され映っています。この映画、ものすごく映画愛にあふれていて、きらびやかとか華やかさではなく、俳優側のジレンマも描かれているので未見の方は是非おすすめします。
その後スターの豪邸はハリウッドよりもカリフォルニアの海岸地域の高級住宅地に移っていきました。
そしてこのお話の執事マックスとこの館の主ノーマ・デズモンド。
そのふたりのことを知らない観客(私)は不気味な執事と不思議な女優と感じながら、映画界にとってはとるにとらない、才能も野望も半端な(つまり、どちらも足りない)青年(ジョーギリス)の目線で物語が進んでいくんです。
ノーマはセシルBデミルにすがって映画界にもう一度、と夢を妄想を広げるんですが、
このデミル監督は現実でもパラマウントで活躍した監督さんで、この「サンセット大通り」(ビリーワイルダー監督)でも本人役で出演されているのは以前の公演時のブログでも書いた通り。
今回も続投の浜畑賢吉さんの優しく、映画愛に満ちたデミル監督が素晴らしく、昨夜もデミルのシーン沢山拍手してしまいました。
浜畑さんは舞台以外にも劇団四季映放部(ミュージカル劇団になる前は映像で稼ぐ青年座方式が四季にも存在していました)からテレビやラジオなどにもたくさん出演されレギュラー番組なども持っていらしたので、逆に劇団所属を知らないかたも多かったのではないでしょうか。コーラスラインのザックなど演じていらっしゃいましたが、今回のデミルを観て、もっとたくさん演じてほしい、と思いました。年配役が要なことが多いミュージカルで、アンサンブルキャストが役替えで演じる現状をよく見ますが、もちろん、数々のミュージカルでも浜畑さんを拝見していますが、このうまさで浜畑さんの起用がもっと観たい、と。
サロメに固執しためぐノーマが踊るとなんともその真剣さと滑稽さに可笑し味があって、平方さんのジョーの反応も客席のふつうの感覚と通じるところがうまいと感じました。
そして、やっぱりジョーはサロメの持つ銀の盆に乗せられたヨハネの首なんですよね。
ハリウッドの人達を小難しい職業の特殊な感覚の人達、と追いやるのではなく、狂気と恐怖が入り混じり、欲望と老いと現状を受け入れられない人間ドラマが描かれ、2017年版と変わらないのに、更に親しんだサンセットでした。
昨日の舞台はそんな、作品へのいろんな思いがごちゃ混ぜになって、
カーテンコールは熱狂の、もちろん声出しをしちゃいけない時世であることを鑑み、
無言の客席の拍手に包まれました。
熱い思いはもちろん演者からもバンバン発せられていましたが、観る側の思いが充満した瞬間でした。めぐさんの言葉にありましたが、その思いは同じだと。
そして、平方さん、
普段から稽古でよく千秋楽のつもりでといわれても、(実際には)いつも出来なくて?(そんなことないでしょ、とめぐさんにつっこまれ)でも今回はほんとうに公演が出来るのか、始まるのかということで、その思いで演じることができてっていう意味のことを話されて、
劇場に来れたかたも来ない判断をされた方へも含めて、感謝の言葉を述べて、
その話し方がお茶目で客席がほっこりさせられました。
入り口で配られたポストカード。
とーこさん、めぐさんのカードもあったのかな?
カーテンコールの最後に演出の鈴木さん、帽子も被っていたかな?マスク姿で誰だかわからない状態の安蘭さんと松下さんも登場して、めぐさんととーこさん(誰だかわからない状態のまま(^_^;))ふたりで仲良くはけていったのが印象的でした。
東京フォーラムCですが、
取れたチケットは一階の音響さんやスタッフさんの作業する前列、つまり1階の一番後ろでした。
ありがたいことに、とても観やすかったです。
実は22日に観に行った時は前方席だったので、めぐさんの目からこぼれる涙までしっかり見えました。しかし、サイドブロックのそこからは下手側の舞台奥が丸見えで、セットを出すときやはけるときに、早めに脇の幕を大きく広げてしまうので見えてはいけない袖奥の黄色いライトまで煌煌と見えてしまい、気分がそがれてしまうこと度々だったんです。
見切れ席として販売されたものではなくサイドブロックの通路側で既にそんな視界だったんです。だからセンターブロックの最後の一枚が購入出来てラッキーでした。
もちろん来場されること自体をキャンセルされた方も多くて、無人の良席もたくさんありましたがこればかりは仕方がないです。無念の断念をしたかた、行きたくて仕方がなかったかた、沢山いらしたと思うので、
観られたこと、感謝しかないです。
どなたかの書画が展示されてましたので
外は曇っていて、なんだかもあもあ蒸し暑くて、しかもフォーラムは窓が開くような構造ではないので観劇中もずっと暑かったです。冷房入れてもらっても良かったくらいでした。
今日も暑いですが、明日は冷え込むとか?
気温差があり過ぎるので気をつけなければ、です。
追記動画
2020年稽古場での濱めぐ
2015年稽古場から 濱田めぐみ「As If We Never Said Goodbye」
めぐさん、ぶれません。