観るのが怖いような、
勇気がいるような気がしたのですが、
どっち側にも立たない視点で、その比重がどちらかに揺れない潔さが見えて、面白かったです。
宇宙の気の入った水だとか、冷静な立場に居たならば、どう考えたってまがいものなんだけれど、信じる人にとっては全く逆の価値観。
科学的に何の根拠もないと示せばわかりやすいと思ってしまいますが、
そもそも信じるきっかけになったものは、医学ではなく偶然とはいえ、そのオカシナ水が救ってくれた、と実感してしまった事実があるからこそ、なんですよね。
それが結果的に教団への高額な終わることのないお布施に繋がって、世間的にまともな生活が送れていないんです。
家族や親戚関係も崩壊してゆくのに、信じることを疑わない。
どうにかこの現実社会に引き戻したい兄家族や世間は、信者から見れば話の分からない気の毒な人達にしか見えないんでしょうね。
それを本気で信じている人達にとって「タダの水道水と変わらない」なんて、そんな言葉に意味はなくて、純粋に信じているからそれ以外の考えは入り込む思考がたぶん、なくて、
このようなカルト教団は消えることなく蔓延ってゆくのも現実で。
良いも悪いも何も結論づけるような描き方はしていなくて、シンプル。
その中で主人公のちひろ(芦田愛菜)と姉のまーちゃん(蒔田彩珠)や信者ではない親友のなべちゃん(新音)とのつながりが、見捨てない、偏見のないあたたかさが本当の意味での救いでもあって。
役者の上手さと、映像表現の上手さと、アニメーションも効果的で、映画だからこその提起が見事です。
出演:
芦田愛菜
岡田将生
原田知世
永瀬正敏
大友康平
高良健吾
黒木華