◆ 色目の階層。パーソナルカラー運用ルール(2)
◆ 色目の階層。パーソナルカラー運用ルール(2)
● 色目と色調
「似合う色」とは、「似合う色調」です。
「緑色だから着る/着ない」ではなくて、「どんな緑色か」に着目。
色目と色調。
とはいえ、この二つ、実はそう簡単に割り切れません。
今日はそのお話。とても大事な部分です。
● 色目の浮上。
色調を構成している要素の一部が、はっきりと認識されて、
社会的認知を受けるようになった場合、
その色調ごと、まとめて色としての名称がつくことがあります。
そうなると、それは、<色目>として浮上してくる可能性があるのです。
● 色目と色調…「赤であるか」と「どんな赤か」
ここで用語の意味を、下記のように設定しておきます。
*色目(色相) 赤、青、黄…といった色目のこと。ざっくりとした色の区分。
*色調 その赤どんな赤か、という、色のニュアンス。
ベースカラー、彩度、明度は、色調を構成する要素です。
※なお用語は、いわゆる色彩理論から借りてきていますが、
似合う色について説明するために便宜上設定しています。
意味内容については、色彩理論上の定義と完全には一致しないことがありますし、
また知見の集積によって拡充されていくことがありえます。
もともと「<色相>と<色調>」と表現していたのを、
今では「<色目>と<色調>」と言うようにしているのですが、
<色相>でも<色目>でも、それは「赤か青か黄か」といった話であり、
<色調>が「どのようなニュアンスの赤か」という話である、という要点は同じです。
色のニュアンスないしトーンのことを「色目」と呼んでいるケースもしばしば見られます。
用語をどう配置するかは便宜的なものなので、「赤か青か…」と「どんな赤か」を区別できればいいです。
● 基本の色目
最も基本的な区分=色目がどれになるかは、時代や地域、
目的によっても捉えられ方が異なり、この先変化していくこともあるでしょう。
ここでは、そうですね…、
赤、青、黄、緑にプラスして、紫とピンク、
オフィシャルな場面に必須の、白、灰、紺、茶は、最上位の区分に入れてよさそうです。
これらにおいてはベースカラー、彩度明度もイメージしやすく、
その色を理由にお買い物やレンタルがされることが多いからです。
※上位区分に、白や黒を入れると「色相」という言葉の語感とズレますね。
それで上位の色区分を「色目」と言うようにしました。
※赤=レッド、青=ブルー、黄=イエロー、緑=グリーン、というふうに
漢字名と、最も一般的なカタカナ語とは、断りのない限り区別していません。
● 上位区分としての色目には、社会的認知があるから
色目を判定もしくは設定⇒色調を吟味
この式を用いるのは、色を整理して扱うためだけでなく、
「色目」には、その性格(イメージ)や役割について社会的認知を受けている
という前提があるからです。
この色目を用いることで、これこれこういうイメージを付着させることができる、
そういう利益が、計算しやすいわけです。
色調を調整することで、その色目と自己とがよりマッチして、
その色目を用いる利益をアップできるという寸法です。
● 色目に入れたい
さて、まだ、基本の<色目>に入れたいもの、ありますよね。
例えば、ベージュは、基本区分に、入れておきたいですね。
定番としてのベージュの社会的性格からすると、
白、黄、灰、茶と並び立つ、基本の色目とした方が収まりがいいですから。
● テーマとしての色目は増えてくる
このように、
色目⇒色調
<色目>はテーマ設定ですから、
「<色目>という項目に入れた方が処理しやすいものがすなわち<色目>だ」、
ということになります。要は便宜。
そうすると、<色調>の領域から繰り上がって<色目>に上がってくるものが、
増えてくるのです。
● 色目の下位カテゴリ
「緑」という色目の中に、黄緑と青緑があります。
パーソナルカラー入門編としては、
イエローベースの色調を持った「緑」が黄緑で、
ブルーベースの色調を持った「緑」が青緑、ということになります。
そこで終わらせることができるでしょうか。
パーソナルカラーに足を踏み込むと、できない、と分かってきます。
● ティールブルー
例えば、青緑色の一部を、ティールブルーと呼称しています。
「あ、ティールブルーだわ、<秋>のブルーね」と思うのは、
まだパーソナルカラーの門をくぐったくらいの段階です。
「ティールブルー」と呼ぶ色の中にも、
彩度や明度その他の色調において、様々のものが実在していますから。
現実に、
<春>の方が綺麗に着られるティールブルー、
<夏>の方が綺麗に着られるティールブルー、
<冬>の方が綺麗に着られるティールブルー
があります。
「ティールブルー」が、<秋>の代表的な青というにとどまらず、
テーマ<色目>として浮上してくるのです。
ティールブルーって、清涼感がありながら、同時にやんわりと温かみを湛えているので、
寒い時期に身につけても、体感温度が下がりにくくて、寒々しい印象にならない。
青・緑の眷属としてアクセントにもなれば、ベーシックな色に準ずる落ち着きもあり、
色合わせもしやすい。
用いる利点があるのです。
お店で見て、これはティールブルーだなと思っても、
<春><夏><冬>は、スルーしてはいけないのです。
「どのようなトーンのティールブルー?」とさらに問わなければなりません。
<秋>であっても、吟味すべきなのは同様です。
「ティールブルー」の一種と見てとれれば安全パイですが、
青み黄みの入り具合、彩度明度は、ものによって違います。
そして、より上質に見える発色のそれと、そうでもないものがありますよね。
ならば、効果が全く同じである道理もありません。
ティールブルーの色調をさらに問うようになって、
ようやく、パーソナルカラーの扉の鍵が開くのです。
● 下位の区分
ティールブルーは、「青」か「緑」に属するのは明らかなので、
「青」「緑」という最上位の<色目>に対して、下位の<色目>と扱います。
これが、色目の階層です。
● ブルーベースの黄緑
ブルーベースの黄緑。という概念はどうでしょう。
あります。
見つけようとして見つけられるほど頻繁にではないですが、
ちょいちょい、見るんですよ。
すると、「黄緑」もまた、<色目>として浮上してきます。
● まだまだ
灰白色(ホワイトグレー)。イエローベースの、あります。前に書きましたね。
芥子色(マスタード)の中でも、さらに色調は様々。
<秋>以外は吟味しなくてよい?(反語)
ゴールドだと判断すれば、絶対にブルーベースはスルー?(反語)
黄みを帯びた地金の色も、実際には様々の色調のものがあります。
橙(オレンジ)も、色調を問うことはブルーベースでも可能。
● 名前があるなら
「これは○○色ね」と、名称が出てくるくらいであれば、
色目と扱って、その色調をさらに調べていく価値があります。
名前がついているなら、一定の色調までは認識されているので、
メカニズムは「知れている」。安定しているけれど一攫千金ではない。
だからさらにその奥へ。
感知しているのに意識の上で認識・処理しきれていない部分。
まだまだ開拓の余地があります。
認識できていない、けれど感知はされている、何か。
意識には上がらず、無意識の中では処理されている、何か。
そこにお宝は眠っている…。
整然と体系づけられている既存のパーソナルカラーは、
めくるめくその世界の、入り口ともいえるでしょう。
● 無意識には感得されている色の要素を探り出す
パーソナルカラーは、色目(赤かどうか)の話ではなく、色調(どんな赤か)の話。
ここでの色調というのは、色を構成している要素のうち、
「感知しているが意識にのぼっていない」(ことが多い)部分。
それを意識的に取り扱えるようにする。
これが本当のパーソナルカラーの妙味だった……!
だからパーソナルカラーを運用していくって、
マジックのネタを考案するのに近いものがあります。
シーズンは、好き嫌いで左右できないけれど、
好きなものを取り込むために、シーズン分けがあるわけなので…
<春>のまま、好みに応じて<夏>にも<秋>にも<冬>にもなってみせたらいいし、
<夏>のまま、必要に応じて<春>にも<秋>にも<冬>にもなってみせたらいいし
…(後半略)。
そういう視点を持つと、シーズンに対する好きだの嫌いだのは、ナンセンスですね。
● 基本
そんな話、今まで聞いたことないよ!?
教えてもらってないよ!?
そんな小難しいこと言われても…
そうでしょうか。
紺に4シーズンあるというのは、ご存知ですよね。
茶色にも4シーズンあるとご存知ですよね。
ワインレッドに、4シーズンあることもご存知ですよね。
<春>灰白色、<夏>の黄緑やオリーブ、<秋>のパステルに、<冬>の海老茶…
そもそも。皮膚は、まあざっくりいえば黄色いです。青色ではありません。
でもパーソナルカラーには、ブルーベースというのがありますよね。
● そもそも皮膚が・・・
「肌は黄色い(ベージュ、オークルetc..)」といって、終わらせたら、違和感が残るでしょう。
黄色やベージュといった言葉一つで語りつくせない何か、
感知されているが意識上で処理されない色あいが、肌にあるから。
(そもそも肌が「黄色」というのも「ピンク」というのと同じくらい言い過ぎですけれどね)
肌色の種類についての単語がどういうものであれ、
それは色目か、ごく一部の色調だけを処理したにすぎません。
似合う色を見出すには、一つの名称で捉えきれない
肌の色調を問う必要があります。
パーソナルカラーが扱うのが、色目ではなくて色調の方だということは、
最初から明らかです。
● 使う=応用する
運用する(=使う)というのは、基本を現実に適用することですから、
応用するということです。
基本が分かっていれば、応用できます。
応用ができないなら、基本から分かっていない。
どのジャンルでも同じですよね。
今日のお話は、応用と言えば応用の話ですが、
基礎知識を運用面から言い直したものでしかないんですよ。
応用をきかせて、もっときかせて、本当にパーソナルなカラーをどうぞ☆
◆ 欄外
今日のお話は、デザインにも言えることですね。「○○タイプだから△△が使えない」ではなくて、
「△△を使うために、○○タイプを活かす」。
不得意科目で得点するのは、相応のコストが必要ですが、非常に気持ちの良いものです。
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