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参院選後の「れいわ新選組」こう見る~市民政党誕生の期待と懸念 小泉雅英(2)

2019年09月01日 16時32分55秒 | 政治

 

参院選後の「れいわ新選組」こう見る~市民政党誕生の期待と懸念 小泉雅英(2)

5.市民政党誕生への期待と懸念
「れい新」は、日本で初めて誕生した市民政党と言えるのではないか。上記の通り市民一人一人が資金を出し、ボランティアを中心にした完全「草の根」運動で、候補者も他の政党のようなプロの政治業者ではなく、それぞれの分野で、何らかの問題に直面して闘っている、まさに当事者のみで構成している。この中で山本太郎は唯一の政治家であり、例外的存在なのだ。今回の参議院選挙では、たった 3 か月という短い期間で、2 名の国会議員を誕生させるまでに急成長した。これだけでもすごいことだが、これは長い闘いの序曲に過ぎない。次にどう展開するのか、これからが、より厳しい闘いとなるに違いない。山本太郎は、最初から、「政権を取りに行く」と宣言している。そのために新組織を立ち上げたのだ。次の衆議院選挙、さらに 3 年後の参議院選挙で、この目標が達成できるかどうか、今、最も考え、準備すべき時であろう。
この 3 か月の運動で結集した全国の支持者たちが、これから本気で、この新しい党を守り、発展させて行けるのか。これまで同様の熱意で運動できれば、目標達成は夢物語ではないだろう。しかし、それはそう簡単ではないとも思える。これから何が起きるか、予断は許されないからだ。現在の政治権力者たちが、「れい新」の勢力拡大を、黙って眺めている筈はないだろう。今後、様々な困難に直面するに違いないが、彼らを既成の権力者たちから守り、私たちの代表として、政治の中心部分を担えるように、育てていければと思う。
以下、現在の課題と思えることについて、少し記しておきたい。
1) 資金
次の衆議院選挙には、全国で最大 100 人の候補者を擁立するとの目標だが、その資金は最低 10 億円から 20 億円は必要と言われる。政党要件を満たしたので、一人当たりの寄付限度額も上がり、個人以外の寄付も可能となった。さらに政党助成金を受取るにしても、基本はこれまでと同じく、個人からの寄付である。さらに大きな資金を、短期間で集める必要があるということだ。連続した高いハードルを越えられるかどうか、これから試される。
2) 人選
今回の参議院選挙では、短い間に山本太郎の他に 9 人の新人を擁立した。いろんな形のネットワークや公募を使って選んだということだが、全員、個性的な、すばらしい人選だった。残念ながら当選には到らなかったが、この人たちの殆どは、次の衆議院選挙でも立つのではないか。100 人を擁立することができれば理想だが、誰を立てるのか、人選は簡単ではないだろう。今回と同じく、多様なネットワークと公募で選択するのだろうが、ふさわしい人が集まることを願っている。
単に議員になりたいという、権力欲を隠した人も入って来るかも知れない。政治的計算から、勢いのある「れい新」に乗っかろうと、プロの政治屋も混入して来るかも知れない。そういう意味で、本来の強みと理念を維持できるかどうか、当然、何らかの共通の確認点は、明確にするのだろうが、慎重な人選が重要だろう。個人的な希望が出せるなら、雨宮処凛さんにも立ってほしい。今回、立民から立候補して落ちた、おしどりマコさんや亀石倫子さんも、合流できないだろうか。新宿の集会で、今後は身体障害者だけではなく、知的障害者や、精神障害者も入るべきだ、と山本太郎は言っていたが、ぜひ実現してほしい。全国各地で、草の根の運動を続けている人たちからも、良い人を見出してほしい。たとえ理念に共通する部分があっても、安倍首相夫妻と携帯電話でつながる三宅洋平氏が参入してくることになれば、多くの批判者が離れるのではないか。
3) 政策
今回の参議院選挙では、「政権とったらすぐやります!」として、消費税廃止、全国一律!最低賃金 1500 円「政府が補償」、奨学金徳政令、公務員増やします、一次産業戸別所得補償、TPP 協定やカジノ法など「トンデモ法」の見直し・廃止、辺野古新基地建設中止、原発即時禁止・被爆させない、という「8 つの緊急政策(緊急八策)」が出されていた。これらを再確認するとともに、次の点を明確にすべきだろう。
一つは憲法問題であり、二つは移民問題である。この二つの内、移民問題は「入管法」として、緊急八策の「トンデモ法」に含まれているが、具体的な説明はない。憲法改正問題については、今回は争点ではないという判断か、「緊急八策」にも記載されていない。しかし、この点は重要なので、次の衆議院選挙では必ず明確にすべきだろう。今回の選挙前に「東京新聞」が掲載した「各党の公約」でも、憲法について、「れい新」は「記載なし」となっているし、重要争点についてのアンケートでも、憲法について「れい新」は「無回答」だった。東京選挙区でも、「憲法改正」に賛成ですか、反対ですか、という簡単な質問にも、野原氏は「無回答」だった。なぜか不明だが、これでは投票しようとする者を、悩ませるのではないか。
憲法問題、移民問題、いずれの問題でも、山本太郎自身は発言している。しかし、少し分かり難い面があり、誤解を生んでいることも確かだ。最近も日本ジャーナリスト協会(JAJ)の記者会見(2019/8/7)で、憲法改正問題について、記者からの質問に答え、翌日の東京新聞に、「専守防衛を徹底するための 9 条改正は必要だ」と報じられた。この小さい記事を見るだけでは、山本太郎は「9 条改正は必要だ」と考えていて、近い将来、少なくとも政権をとった暁には、改憲するのだろう、と思っても不思議ではない。
しかし、実際は、そんな簡単なことではなく、彼は次のように発言しているのだ。(JAJ 動画からの文字起こし:小泉)https://www.youtube.com/watch?v=FHtycn2nZq8
   「安倍政権での改憲は、絶対やってはいけない。」
   「自民党の改憲草案の 4 項目は、「緊急事態」条項が本丸で、他    の項目、例えば自衛隊の明記などは、殆ど意味はない。」
   「とはいえ、憲法は一字一句変えてはいけないもの、とは考えて    いない。それは時期の問題で、少なくともこの国に生きる多くの    人々が、政治に関し、憲法に関し、居酒屋でもレストランでも喫    茶店でも、自分が好きな時に、好きな場所で、政治の話をしても    「浮かない」という社会的空気にならなければ、憲法は改正でき    ない。10年後か何年後か、それは分からない。もちろん、教育の    分野でも、憲法について、子どもたちにも、大人たちにも、しっ    かりとシェアされる、そういう状況があっての話だ。」
   「では、憲法を変えないといけないとすれば、どこなのか。それは    9 条。なぜか。理由は 2015 年の安保法制。これが原因。憲法を    飛び越えた立法がなされた。解釈という力技で行われたというこ    と。このような詐欺的行為が、実際に行われたということ。二度と    このような詐欺的扱いが、できないような条文にする必要がある。    例えば何か。「専守防衛」というように徹底すること。日本の領土・    領空からは出ない、ということを明記すること。そういった 9 条改    正ということが、将来的には必要であろうと。私はそう思っている。」

これは端的に現状では「憲法改悪反対」と明記し、違憲の「安保関連法」は廃止、とすることで、無理な解釈を糺し、解決すべきではないのか。
また、二つ目の移民問題についても、昨年 12 月 7 日の「入管法改正案」を審議する参議院本会議での、山本太郎の発言が波紋を呼んでいる。政府与党(自民、公明、維新)は、野党の反対を押し切って採決を強行したが、野党は審議遅延戦術を繰り広げた。森ゆうこ議員(自由党)は長時間の演説で抵抗し、山本太郎も「牛歩戦術」で抵抗した。その際、彼は、投票直前の演壇から、次のような発言をした。https://m.youtube.com/watch?v=WbEa8a-U8hs 
   「賛成する者は、二度と保守と名乗るな! 保守と名乗るな! 官邸    の下請け! 経団連の下請け! 竹中平蔵の下請け! この国に生きる    人々を、低賃金競争に巻き込むのか? 世界中の低賃金競争に。恥を    知れ! 二度と保守と名乗るな。保身と名乗れ! 保身だ!」
この発言をどう捉えるか。「「魂の叫び」だと思った」という人もいる半面、排外主義の臭いを感じ、批判する人もいることは確かだ。私は、次のように考える。
山本太郎の発言の内、「この国に生きる人々を、低賃金競争に巻き込むのか? 世界中の低賃金競争に」という部分が、波紋の原因だろう。もし、彼がこの論理で入管法の改悪に反対したのであれば、日本人との対立構造を生じさせるものとして、「だから外国人を入れるな」という排外主義を導く論理となり、批判されるべきだろう。しかし、そうだろうか。彼がこれまで外国人に対し見せて来た態度、支援活動などを見れば、そうした排外主義的態度ではとうてい行い得ないと思う。
要請があれば、たとえ選挙運動の最中でも、過密なスケジュールを縫って牛久の入管施設に赴き、長期収容されている外国人の健康問題、人権問題に向き合い、参議院議員の立場を活かし、仮放免を訴えている。これだけでも、彼の姿勢は明らかだが、これまでにも、何度も外国人(「労働者」とは限らない)の人権問題について、国会で追求している。そういう意味でも、この場での彼の発言には、排外主義的な意図はなく、そうした論理で入管法改悪に反対したのではない、と私には思える。
では、この発言が誤解を生じさせたのは、なぜか。それは、彼の発言が、法案への直接の批判ではなく、それを提案し、強行採決しようとする与党議員たちへの批判だったからではないか、と思う。ほんとうは、この法案の問題性を、根本的に批判しなければならなかったが、彼にその場はなく、ようやく「竹中平蔵の下請け!」と怒りをぶちまけることしかできなかった。投票の直前まで「牛歩」で遅らせ、最後の土壇場で、あの絶叫と言える発言となった。こんな悪法を通したら、どうなるのか、火を見るよりも明らかではないか、という怒りを爆発させた。法案そのものへの批判ではなく、「保守」派と目される議員たちの態度と、その「保守」思想を批判したのだった。
それまでの外国人技能実習制度は、どうだったのか。低賃金・長時間の奴隷的労働を強いられ、基本的人権を守られず、数々のハラスメントを受ける中で、堪えきれずに逃亡(「失踪」)する人々が、後を絶たないではないか。その制度を放置し、さらに新しい在留資格を創設して、外国人労働者の受入れを拡大するなど、あり得ないではないか。日本にやって来る外国人が、そうした資本家たちの餌食になることは、目に見えるではないか。それは結局、労働市場での日本人との過当競争を生み、対立を作り出すのではないか。国籍を問わず、労働者の基本的人権をぶち壊すことにつながるのだ。これが「低賃金競争」の予想される結果である。
山本太郎の発言は、短い時間(30 秒!)で、与党の議員たちに対し、政治家としての、その思想を問い質すものだった。彼らへの怒りを、最大限に表明した発言だったのだ。もし、あなたがたが「保守」と言うのであれば、(外国人労働者を措いても)日本人労働者を守るべきではないのか。彼らの状況を悪化させることが明白な法律を、このまま通すのか。日本や、日本人を守るのが「保守」なのではないのか。あなたがたは本当に「保守」なのか。大量に入って来る外国人労働者と日本人労働者が、「低賃金競争」の地獄で、互いに首を絞め合うことを、そうした状況に放り込まれることを、手をこまねいて見ているのか。もし、そうであれば、あなたがたには「保守」と名乗る資格はない。安倍に忖度し、党内の自己利益を守ろうとする、単なる「保身」なのだ。日本を考え、国家を考える志を持った、「保守」などでは断じてない。自らを二度と「保守」と呼ぶな。「保身」と呼べ。この法案を推進して儲けようとする人材会社の、単なる下請けに過ぎないのだ。竹中平蔵の下請けなのだ。 経団連の下請け!竹中平蔵の下請け!恥を知れ! 
この国会での発言の他に、街頭でも、入管法の改悪による外国人労働者の大量入国、それによる日本国内の状況変化について、短く発言しているが、その場合は、聴衆(この国で生活する「皆さん」)に向けて語っている。ここで検討する余裕はないが、この場合は、山本太郎は、「皆さん」の状況が厳しくなることを訴え、そうした状況をもたらす新自由主義を批判しているのだが、誤解を生む危うさは残るだろう。
   「今の自民党の若手は何かと言ったら、働き方がぶっ壊されたり、外    国から大量の外国人、外国人労働者を呼び込めるようになったり、TPP    に賛成したり、この国をぶっ壊されることを次々と賛成し続けているん    ですよ。理由は何? 自分のキャリアを潰したくないから。ここで総理に    反対するなんて言ったら、次、自分に芽がないから。そんな人間にこの    国を救えるのかって。ガチで喧嘩する気力も気概もないのに、どうして    政治の場に来たんだよ、という話なんですよ。」(2019/5/5 九州小倉駅前)    https://youtu.be/Xeya4qBPuck(文字起こし:小泉)
「れい新」の「決意」なる文書には、この党の理念が記されているが、そこにも「私たちのお仕えするのは、この国に生きる全ての人々」とあり、「日本人」などの限定詞はない。したがって、この「全ての人々」には、国籍や在留資格などによる差別もない、と理解している。これは私の解釈だが、違っているだろうか。いずれにせよ、今後、このような誤解を生じさせないように、この「決意」に、次の一句を追記すべきだろう。
「私たちのお仕えするのは、国籍や在留資格を問わず、この国に生きる全ての人々である」と。
さらに、「緊急八策」中の、「全国一律!最低賃金 1500 円「政府が補償」」という項目にも、同様に、「国籍や在留資格を問わず、全国一律!最低賃金 1500 円「政府が補償」」と追記し、「内外人平等原則」を貫くことを明確にすべきではないか。
今後の外国人労働者の受け入れについては、その先進国である韓国から、多くを学ぶことができる筈だ。韓国では「盧武鉱政権が本格的な移民政策に着手し、差別禁止や共生など関連法令を整備。外国人妻や外国人労働者向けの電話相談や語学学校などが無料で提供されている」(「朝日新聞」2019/7/27)。「れい新」は、韓国の人々と連帯し、特別チームを作り、外国人労働者がワンストップで相談を受けられる窓口を、全国に設置するなど、具体的な解決策を教わり、施策として実現していくべきだろう。また、予想される課題も同時に学び、今後の政策に反映させていくべきだろう。
4) 組織
安富歩氏は、選挙を総括し、「れいわ新選組は、無縁者の集まりであり、その無縁のエネルギーが、ガチガチに固まって人間を閉塞させている有縁の世界に、風穴を開けつつある。人々の支持を集めているのは、その風穴から、空気が吹き込んでおり、息ができるようになったからだ」と述べている(「内側から見た「れいわ新選組」」)。
極めて自由度の高い、緩い組織だということは明白だ。このような組織が、政党として、どのような変化を遂げて行くのか、実験そのもののような気がする。今後、多数の人々がこの組織に流入して来る。その際、大きなところで、「れいわ新選組の決意」に同意すれば良い、ということなのかも知れないが、果たしてそれで、十分だろうか。
新宿駅頭での街宣時、入党方法を知りたいという質問があり、山本太郎は「れい新」は、「議員と候補者の組織だ」と答えていた。立候補希望者は公募するので、そこから応募して下さいと。つまり、その他のサポーターは、党員ではなく、あくまでもボランティアなのである。今後、このままの組織形態で良いかどうか、検討する必要はないのか。増え続けるサポーターを、どう位置付けるのか、それも今後の課題だろう。
大事なことは、「れい新」は、生まれたばかりの市民政党だ、ということだ。山本太郎は、街頭で何度も「市民の力で、市民のための政党を、皆でつくろう!」と呼びかけていた。私を含む多くの人が、それに呼応して大きな拍手をしたのだ。「自分たちのコントロールが効く、自分たちの政党」とも言っていた。この初心を忘れないでほしい。この結党の基本理念を活かし、育てていくこと。これが今後の大きな課題である。
市民政党であろうとすれば、「永田町の論理」に基づくやり方を否定し、新しい市民政党の姿を見せてほしい。国会議員の任期を重ねるよりも、交代制を取り入れ、任期が来たら後輩に席を譲り、自らは OB として、新人政治家の指導や、市民の政治教育に当たり、次代の政治家を育成するなどの、新しい党内ルールを作ってほしい。高額な議員報酬(日本の国会議員の報酬は、1 人当り GDP の比較で 5.26 倍。世界第 1 位)も、法が許せば、いったん党に渡し、党の事務局が各議員に応じた適正な給料を計算して支払い、残りは党内でプールするとか、議員会館の事務所は、各種運動体にも使用を認めるとか等々、思いつくことはいろいろあるだろう。
要は、市民が選んだ市民ための議員なのであり、決して特権的な職業ではないことを、名実ともに示して行くことである。理想を言えば、市民の誰もが、希望をすれば党員になれ、政治家への訓練が受けられ、国会議員への道が開かれる、ということである。また、今の「政治家」たちは、お互いを「センセイ」などと呼び合って、喜んでいるようだが、このような永田町の幼稚な風には、決してなじむことがないように、くれぐれも願いたい。この点、山本太郎は、ある質問者に「センセイちゃうで」と、清々しい応答をしていた。
5) 選挙戦(運動方法)
街頭記者会見と称した街宣と SNS による動画の拡散が、これまので方法だった。この推進力は、何と言っても山本太郎個人の表現力だった。彼の言葉の力が決定的だったのだ。他の 9 人の候補者も、それぞれ個性的で、人を惹きつける力はあったのは確かだが、山本太郎に匹敵する方はいない。今回のように、山本太郎一人に大きく依存した形が持続できるのか、これも厳しいのではないか。そうではない形、安富氏の言う「無縁者」の集団としての特長を活かした、これまでにない運動が展開できれば、と願っている。
地域での集会の積み重ねなどを含め、いろんな形を組み合わせ、多くの人に「れい新」の考え方を知ってもらうことが第一の課題だろう。選挙後、たまたま路上で会った旧知の労働者が、「れいわ、すごいね。」と興奮して話していたので少々驚いた。これまで自民党だったが、今度は「れいわ」だなと。TV の影響力がどれほど強いのか、改めて知らされた。今回は、マスメディアは無視したため、このかたのように、選挙後、初めて知った方も多いのではないか。
「出口調査」なるものが、どれだけ信頼できるのか分からないが、一つの目安として使うと、今回の選挙で「れい新」に投票した人の年代は、次のようである。10 代―2%、20 代―10%、30 代―18%、40 代―29%、50 代―20%、60 代―12%、70 代以上―8%(朝日新聞社による調査。2019/8/5 BS TBS「報道 1930」放送)
つまり、最大の投票者は、40 代で、山本太郎と同じ、「ロスジェネ世代」だということだ。やはり、彼らの気持ちに一番、アピールしたということなのだろうか。その前後の世代を合わせ、30 代~60 代で 79%の大多数となり、今回の選挙では 30 代以上の人が「れい新」に投票した、ということなのだ。棄権の殆どを占める 10 代は 2%であり、20 代と併せても 12%でしかなく、彼ら SNS を駆使している筈の若者には、まだまだ浸透していなかった、ということが分かる。今後、彼ら、10 代~20 代に、どのようにリーチしていくのか、とても大きな課題だろう。
6) 野党共闘
選挙後、共産党をはじめ各党が「れい新」との共闘を前向きに進める旨の発言が続いた。これはとても大事なことだ。山本太郎も、野党共闘なしに、政権への近道はないことを何度も発言している。そのためには、「消費税廃止」ではなく、消費税 5%の減税を、最低条件として提起している。共産党、社民党はもちろん、他の野党もこの「5%減税」で足並みを揃え、「れい新」を中心軸に本気の野党共闘を実現し、衆議院選挙に臨みたい。
この点で統一ができなければ、政権交代は遠のくし、改憲派を利する他ない。このような場合は、「れい新」は、独自の動きを強力に進めるのかも知れないが、統一した野党の力で、政権交代を目指してほしい。それは可能なのだ。
7) 選挙制度
日本の公職選挙法の問題点が、多くの方に指摘されている。「入場料だけで、どれだけのお金がかかるのか」と、山本太郎自身も、何度も言っている。「金のないやつは入って来るなと、障壁を設けているのだ」と。まさにその通りで、世界一高い「供託金」の問題や、現在の「小選挙区制」の問題、一票の格差の問題、定住外国人の参政権問題、開票事務に関わる疑惑の問題など、様々な改善すべき課題がある。
「れい新」としては、公職選挙法を改正し、「世界幸福度ランキング」第 1 位~4 位までを占める北欧諸国にならい、比例代表制に転換すべきだろう。今回の参議院選挙のように、99 万票を取った山本太郎が落選したり、たった 18.9%の絶対得票率の自民党が、全議席の半分以上 51.4%を占めるという不公正も、解消できるのだ。投票した一人一人の「民意」を適正に反映できる制度でなければ、議会制民主主義は成立たない。多くの「死票」を生み出し、大政党に有利な「小選挙区制」は、一日も早く終わりにしよう。(参考:紅林進編『変えよう!選挙制度』ロゴス刊)
また、選挙制度の根幹を成す最終的な集計は、民間の1社に委託されている、という問題もある。例えば、投票用紙計数機など選挙に関わる機器一式は、現在、株式会社ムサシが独占している。開票事務は、各自治体の選挙管理委員会が所管しているが、開票作業の実態は、殆どメディアの取材も入らず、闇の中だ。(株)ムサシの社員に丸投げされているようだが、これで良いのか。https://www.musashinet.co.jp/department/election/election_01.html
6. おわりに
「市民の力で、市民のための政党を、皆でつくろう!」このように山本太郎が呼びかけていた時、本当にそんな政党ができれば良いな、と思った。しかしそれは簡単なことではないだろうとも。しかし、今やこの夢の第一歩は踏み出された。私たちは、この生れたばかりの市民政党を、細心の注意を払い、大事に育てて行かなければならない。来るべき衆議院選挙から次の参議院選挙まで、紆余曲折もあるのだろうが、山本太郎には、最後までがんばってもらいたい。私たちは、彼を最大限の力で守りぬき、この市民政党を大きく育てていくべきだろう。
この国の政治は、今、末期症状とも言うべき状態が続いている。福島原発事故後の状況は、どうか。自主避難されている方へも、宿舎から退去を強制するように家賃を倍増請求される状況だ。そもそも放射性廃棄物は処理されたのか。これほどの問題が判っていながら、なぜ再稼働を認めるのか。さらには原発輸出さえしようとしている。敗戦後74 年が過ぎても、沖縄の米軍基地は無くなっていない。むしろ新たな基地を建設しようとし続けているのだ。沖縄の人々がどれほど「もういい加減にしてくれ」と叫び続けても、さらに重圧をかけ、米軍基地、日本軍基地を増やし続けている。外交においても、韓国との、あの植民地宗主国を思わせる態度は何だ。植民地主義がこの国では全く乗り越えられていないことを、改めて示したのではないか。愛知トリエンナーレでの展示中止問題も同様である。
ここまで来た社会の劣化は、現在の安倍政権が続いていることに、大きな原因がある。今はその転換点に立っている。新しい市民政党と共に、新しい政治社会の創造をめざし、先ずは次の選挙で政権交代を実現できるように、共に力を尽くそうではないか!(了) 2019/8/20



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