曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

衆参ダブル選前提に消費税減税同盟結成を

2019年04月24日 19時17分53秒 | 政治

                                

                     「植草一秀の『知られざる真実』」
                                   2019/04/24
衆参ダブル選前提に消費税減税同盟結成を
             第2314号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019042413573454043 ──────────────────────────────────── 安倍首相は消費税増税延期の判断を固めた模様である。
2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた。
この増税に連動して日本経済は2014年1月から2016年5月にかけて景 気後退に陥っている。
ところが、政府はこの景気後退を認定していない。
「偽造、ねつ造、安倍晋三」
と言われるが、景気後退を景気拡大と偽造・ねつ造してきた。
この点については、
拙著『国家はいつも嘘をつく ――日本国民を欺く9のペテン』(祥伝社新書) https://amzn.to/2KtGR6k
にも詳述している。
日本経済は消費税増税で景気後退に陥ったのだ。
2019年10月に消費税増税を強行実施すれば、今回はより深刻な不況に陥 ると考えられる。
消費税を引き上げる前の現時点において、すでに景気後退の兆候が鮮明に表れ ているのだ。
安倍内閣は本年に移行するまでは消費税増税実施についてニュートラルな姿勢 を示していた。
日本経済についても、根拠の乏しい楽観論を意図的に明示していたと見られ る。
しかし、経済統計の改ざん疑惑を指摘され始めたころから、スタンスが変化し た。

それまで、安倍首相は経済政策運営について自画自賛の見解を示し続けた。
有効求人倍率が上がった、
就職内定率が上がった、
企業収益が増えた、
株価が上がった、
などのフレーズを繰り返してきた。
しかし、経済運営のパフォーマンスを評価する二大尺度でアベノミクスが成功 していないことは明らかだった。
経済成長率の実績が民主党政権時代よりも大幅に劣る。
前期比年率実質GDP成長率の単純平均値は1.2%で、民主党時代の1.7 %を大幅に下回る。
もっとも重大であるのが実質賃金の減少だ。
第2次安倍内閣が発足してから一人当たり実質賃金が5%も減少した。
この批判が、安倍内閣にとってもっともこたえるものだった。
そこで、安倍内閣は統計数値の改ざんに突き進んだ。
不正な手法で2018年の一人当たり実質賃金伸び率をプラスに引き上げた。
しかし、不正な工作が明るみに出て、賃金増加を主張することが困難になっ た。

このまま消費税増税に突き進めば日本経済は確実に崩落する。
衆議院任期は2021年10月まであるが、逆に言えば、いまから2年半の間 に必ず衆院総選挙がある。
消費税増税を強行すれば日本経済は崩落する。
そうなれば、衆院解散のタイミングを見出すことが極めて困難になる。
増税によって景気後退を招いた責任を衆院総選挙で問われることになる。
結局、選択肢は消費税増税の延期しかないことになる。
安倍首相は消費税増税延期の方針を固め、その準備作業に着手したと見られ る。
だからこそ、景気悪化情報がメディアによって積極的に流布されることになっ たのだ。
この場合、焦点は、衆院解散のタイミングである。
増税延期発表から時間を空けない時期が衆院解散のタイミングということにな る。
選挙へのプラス効果が時間を空ければ消えてしまうからだ。
参院選前に増税延期を発表して、夏から秋の臨時国会で衆院解散を打つという こともあり得ないわけではないが、2019年の立て込む重要日程を踏まえる と日程設定が極めて窮屈になる。
このことから、衆参ダブル選に突き進む可能性が高いと見られる。
ダブル選が実施される日程は国会会期の延長有無にも依存するが、6月30日 から8月25日までの幅がある。
最も早いケースでは6月30日投開票、もっとも遅いケースでは8月25日投 開票となる。
いずれにせよ、衆参ダブル選を前提に対応を急ぐ必要がある。

財務省は消費税増税断行に向けて抵抗を拡大させている。
財務省はOECDやIMFを利用して、日本の消費税増税を国際機関から発信 させているが、これらの提言の発信源が日本の財務省であることは、事情を知 る者であれば誰でも分かる。
効果は極めて限定的だ。
財務省は消費税増税のための情報工作を展開してきているが、私の情報開示に より、かなり知られるようになってきた。
財務省の情報工作活動は「TPR(TaxのPR)」という名称で、
マスメディア 御用学者 御用経済人 御用コメンテーター
の活用が軸になる。
この活動が多くの場面で確認されている。
しかし、安倍首相が最終的に判断を固めれば太刀打ちはできない。

財務省は森友疑惑で安倍首相夫妻を最後まで擁護した。
安倍首相が消費税増税延期に踏み切れば、森友疑惑の核心情報を暴露する可能 性はある。
安倍首相が消費税増税延期を決断し、財務省が森友核心情報を暴露すれば、こ れが日本の主権者にとって、もっとも利益の大きい結果をもたらすものにな る。
財務省は消費税増税延期が決断された場合には、森友疑惑の真実を情報開示す るべきだ。

そもそも、問題の核心に消費税増税に正当性がないという事実がある。
1.消費税が極めて強い逆進性を有すること、
2.消費税増税の税収すべてが法人税減税と所得税減税に充当されてきた事実 が存在すること、
の二点が重大だ。
さらに、消費税増税を価格に転嫁できない中小零細事業者が、消費者が負担す るはずの消費税を肩代わり負担させられてしまうことも重大な問題だ。
他方で輸出事業者は下請けをどれほど叩いて消費税増税負担を圧縮していて も、輸出販売代金に消費税率を乗じた金額を国から還付される。
消費税は矛盾の塊なのだ。

TAGという名称の日米FTA協議が始まったが、米国が日本の消費税増税に 反対の意向を表明した模様である。
輸出企業に対する消費税分の還付を問題視していると伝えられている。
4月末と5月末に日米首脳会談が予定されている。
トランプ大統領が消費税増税反対を表明し、安倍首相が消費税増税見送りを伝 える可能性が高い。
日本経済がすでに景気後退初期に移行していることも消費税増税延期を支える 要因だ。

消費税の名称は「消費懲罰税」に変更するべきだ。
消費すると消費金額の一定比率の納税が強要される。
消費に対して罰金という懲罰が課されるものだ、
消費が抑制されるのは当然のことだ。
税率が10%になれば、負担の重みは半端でなくなる。
法人税、所得税も足並みを揃えて負担が強化されているなら、消費者もまだ堪 えられるが、法人税と所得税に対しては大型減税が実施されてきているのだか ら、主権者は納得できない。
消費に充てる資金は「課税後所得」だ。
汗水流して働いた収入から所得税が徴収されている。
この「課税後」の可処分所得を使って消費をすると、消費金額の一定比率の金 額を「消費税」として、さらに強制徴収される。
完全な「二重課税」なのだ。

消費税増税に突き進めば、消費の劇的な減退が発生して、深刻な消費税増税不 況が発生する。
これは間違いないだろう。
安倍政治を終焉させようとする主権者と政治勢力は、一歩踏み込んで、消費税 減税、消費税廃止の旗を掲げるべきだ。
その結束が、想定される衆参ダブル選の結果を左右することになる。

 



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