今回は2019年は7年連続Bクラスに沈んだが、投打ともに成績は向上。2020年はAクラス入り、リーグ優勝を目指す中日ドラゴンズ編です。
2019年チーム成績
順位 セリーグ5位
勝敗 68勝73敗2分 勝率.482
打率 .262 (リーグ1位)
本塁打 90 (リーグ6位)
得点 563 (リーグ5位)
盗塁 63 (リーグ4位)
犠打 108 (リーグ2位)
防御率 3.72 (リーグ3位)
失策 45 (リーグ1位)
2019年は、新たに与田剛監督が就任。前年のドラフトでは根尾昂を1位指名するなど大きな注目を集めていた。
しかしキャンプ中から怪我人が続出し、松坂大輔が右肩を故障。注目されていた根尾も肉離れを起こすなど不安が残る中でシーズン開幕を迎えた。
開幕3連戦となったDeNA戦を1勝2敗の負け越しスタートとはなったが、徐々に調子を戻すと一時は首位争いをするなど善戦していた。しかし笠原祥太郎、平田良介、福田永将、ソイロ・アルモンテといった主力選手たちが怪我や不調などで相次いで離脱すると、一転借金9にまで膨れ上がるなど苦しんだ。
5月には高橋周平がNPBタイ記録となる月間8度の猛打賞を達成。6月の交流戦では柳裕也が防御率1.17を記録し、日本生命賞を受賞したが、2か月続けて得点力不足に喘ぐ時期が続いた。
しかし7月に入ると、7月7日から18日かけて8連勝を達成し、一時順位を2位にまで引き上げた。しかし好調だった高橋周平やアルモンテが故障で離脱した事で7月19日から27日にかけて8連敗と大幅に失速し、再度5位に転落。
9月14日には大野雄大がノーヒットノーランを達成するなど、リーグ戦上位球団相手に善戦を見せ、自力でのCS進出の可能性も残っていたが、9月24日DeNA戦で敗れ、7年連続のBクラスが確定し、5位でシーズンを終えた。
オフには松坂大輔、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得したジョエリー・ロドリゲスが米球界へ復帰し、退団した。
ドラフト会議では地元東邦高校出身の石川昂弥を1位指名するなど、育成を含めて7名の新人選手を獲得。また新外国人としてセットアッパー候補のルイス・ゴンサレス、育成選手としてメジャーやメキシカンリーグで豊富な経験を持つモイセ・シエラを獲得した。
2020年は7年連続Bクラスからの脱却が第一目標となるが、投打ともに数字の向上、若手選手の台頭が目立っているだけに、そういった状況を更に引き上げれるかが、大きなカギとなりそうだ。
投手陣予想
【投手陣寸評】
先発投手では、開幕投手に内定している大野、昨年11勝の柳が当確。昨年後半以降好投が続いた小笠原、山本もローテ入りは有力。
残り2枠の争いには1軍では現時点で4名がいる状況だ。
ただ当初の構想から変化も生じており、開幕ローテ入り有力と見られていたロメロが左肩を負傷。左肩の手術を受けるために既に帰国し、前半戦での復帰は絶望的だ。また昨年4勝をマークした梅津も状態が上がらず、ローテからは外れる見通しだ。
そんな争いの中で評価を高めているのが、ドラ3ルーキーの岡野。大学、社会人を経ているという事もあり、投球には安定感があり、即戦力として1軍で勝負できる印象だ。
中継ぎ陣では、守護神のマルティネス、昨年中継ぎ陣を支えた岡田、藤嶋、新外国人のゴンサレスが当確。昨年ワンポイントとして飛躍した福も1軍入り有力だ。
本来マルティネスは東京五輪野球競技アメリカ大陸予選のキューバ代表に召集されるため、開幕には間に合わなかったが開幕延期が発表された事で、合流できる可能性が高くなっている。
中継ぎ陣ではドラ2ルーキーの橋本が評価を挙げてきていて、このまま好投が続けば、開幕1軍は有力と言えそうだ。
投手陣全体を見ると、先発陣がいかに固まるかという点に尽きる。昨年も大野、柳、ロメロとその他ではイニング数に大きな差がある事が分かり、既にロメロが前半戦は怪我で不在が決まっている。
こういった点を踏まえても若手の先発候補がどこまでイニング数を積み重ねれるかが課題となりそうだ。
野手陣予想
【野手陣寸評】
野手陣では、ビシエド、阿部、高橋、京田、平田、大島、福田と捕手を除いたポジションでほぼレギュラーが確定的と言える選手がいる状況となっている。
そしてレギュラー争いが熾烈なのは、捕手だ。昨年92試合出場の加藤がキャンプ終盤に2軍落ち。それ以降は木下拓、大野奨に加えて、2年目の石橋、ドラ4ルーキーの郡司が競っている。
昨年の実績を考えると木下拓が筆頭候補ではあるが、郡司がここにきて評価を高めており、開幕スタメンの可能性も十分あり得る位置に来ている。
昨年Bクラスながらも野手陣の数字自体は向上していて、レギュラーがなかなか定まらなかった二塁で阿部、三塁で高橋がそれぞれ主力としてきっちりハマった事が大きい。
昨年も怪我や不調でメンバーが流動的になった際には脆さがあっただけに、メンバーが不動のものになればリーグ戦でも十分な戦いができる可能性がありそうだ。
今シーズンのキーマン
京田陽太
不動のショートとして欠かせぬ存在となって迎えた2019年。しかしオープン戦では打撃面で苦しんだことで開幕スタメンの座を逃すという厳しい状況からのスタートとなった。
一時は打撃不振に陥り、スタメンから外されるという試合も目立ったが、徐々に復調の兆しを見せ始めると、積極的な打撃スタイルゆえに少なかった四球数も増加し、出塁率も向上を見せた。
そして年々安定感を増した守備も抜群の数値を叩き出し、主要な守備指標ではリーグトップの数値をマークするなど、守備では球界屈指の実力者の域に達しつつある。
2020年からは選手会長に就任するなど、チームリーダーとしての役割を期待されているが、今季の実戦でも打ちに行きながらボールを見逃すなど、選球眼の向上が去年から更に進んでいる状況で、打撃面でも大きな飛躍を迎えるかもしれない。
今季は自身初のゴールデングラブ賞受賞を目指すとともに、チームの低迷打破の使命を果たす。
2020年シーズン注目の若手選手
山本拓実
2018年は高卒1年目ながら1軍マウンドを経験し、高い素質で注目を集めた右腕は2019年は飛躍への土台を固めるシーズンとなった。
2軍で13試合2勝6敗、防御率3.34をマークすると7月24日広島戦で1軍初先発のマウンドに上がると、同月31日の阪神戦では6回1失点の好投でプロ初勝利をマーク。
後半戦以降は先発ローテーションの一角を担い、9試合3勝3敗、防御率2.98と大きな経験を積む事に成功した。
オフも精力的に動き、年俸の1割以上に相当する自費を投じて、「ドライブライン・ベースボール」の出張セミナーに参加。またスライダーとカットボール両方の性質をもつ「スラッター」の習得に着手し、キャンプ中の実戦やオープン戦でも成果を発揮している。
3年目の今季は大野雄大、柳裕也に次ぐ柱となる投手が求められる中で、山本がその柱になるかどうか注目したい。