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《 しりとり名曲大全集 》 ( 第4回 ) 「ゴー・ウエスト 」(ヴィレッジ・ピープル) Text by ハウリン・メガネ

2020-09-24 12:22:01 | 編集長と副編集長の名曲紹介「しりとり名曲大全集」

※筆者註
今回の話はセクシャリティに関する話題を含みますが
LGBTの方々を貶める意図ではないことをご理解ください。

 

「ゴ」?
ゴ……ゴ……?
ゴ……ゴー……
ゴー・アヘッド……
ゴー・ストレート……!
「ゴー・ウエスト!」

はい!
というわけでなんだかマンガの擬音みたいな
イントロダクションになってしまったが
今回の名曲しりとりは「ゴ」ということで
ヴィレッジ・ピープルの「ゴー・ウエスト」!

日本では「ヤングマン」(西城秀樹)の原曲
としてお馴染みの「YMCA」や
筋トレ野郎どものテーマソングとなった
「マッチョマン」などで有名な彼らだが、
曲は知っていても彼らについて語る人は
今やなかなかいないでしょう!

1977年、フランス出身のプロデューサー、
ジャック・モラリによってニューヨークで結成。
メンバー全員ゲイ受けするファッション
(警官、軍人、バイカー、カウボーイ、工事士にインディアン…
インディアンファッションってゲイ受けするのかしら?)
に身を包み世に出たヴィレッジピープル。

そう、その格好からお察しの通り、
彼らはゲイ・カルチャーをテーマにした楽曲、
そしてステージングで世に出たのである!
当初はゲイクラブを主戦場として売り出された彼らだったが
当のゲイ・シーンにおいては
「ゲイを馬鹿にしている」という評価を下されてしまう。

(ただ、彼らの場合ファッションゲイというわけではなく、
メンバーの大半がリアルゲイであり、
この評価はジャックとゲイシーンの価値観の相違が原因
だったのではないかと推測する)

ところがここで挫けなかったジャック。
逆にメインストリームに向けて彼らを売り出したところ
これが全米で大ウケの大ヒット!
歌詞を聴けば分かるがパッと聴きは
普通(?)のポップス的歌詞。

しかし、その筋の人が聴けばゲイ・カルチャーの歌だと
すぐわかるという二重構造になっており、
この歌をゲイ・ファッションに身を包んだ彼らが歌うことで
一般大衆に受け入れられる良質なディスコソングでありながら
シッカリとしたゲイ・ソング!
そんなウルトラCの離れ技を
彼らは見事にやってのけたわけだ。

今回ご紹介する曲「ゴー・ウエスト」は
そんな彼らの全盛期にシングルカットされた一曲であります
(写真のベスト盤にもちゃんと入ってます)。

色眼鏡で見られがちだが、
彼らの音楽性は見事なまでに正統派のディスコミュージック!
その中でも特徴的なのはやはりメインボーカルである
ヴィクター・ウィリスを含む野郎6人による野太いコーラス!
(こういう野太いコーラスの音楽って実は少ないのだ)

「ゴー・ウエスト」でのバックは歌のないパートでこそ
派手なホーンやゴージャスなピアノがアースばりに入るが、
ヴァースに入った途端にこれらがスッと下がり、
きっちり歌(コーラス)を主役に仕立てており、
これがサビに入った際の「ゴ~ウエ~スト」という
野郎コーラスの力強さに繋がるのである…

ちなみにこの曲で歌われる「西へ行こう」というテーマ、
これが何を示しているかお分かりだろうか。
アメリカの西といえば?そう!ロサンゼルス!…
じゃない!シスコ!
そう!サンフランシスコである!

デッドをはじめとする
一連のサイケデリックミュージックの街
として有名なシスコだが、
当時のアメリカでは東海岸よりもゲイに寛容な街
としても有名だったのだ。
この歌で歌われている
「西へ行こう、ピースフルで開放的なあの場所へ」
というのは抑圧を抱えたゲイ・シーンへの
強烈なメッセージでもあったのだ。

「LGBT文化」のさきがけとも言える彼ら。
色物と言われても仕方がない一面は確かにある!
だが、確かな実力に裏付けされた彼らの音楽を
真摯に聴いてみてほしい。
彼らがそこに込めたメッセージはゲイじゃなくても
ちゃんと感じられるはずだ。

というわけで……
編集長!次回は「ト」!
「ト」です!
さあ何を出してくるかしらん……

乞うご期待!

《 ハウリンメガネ 筆 》



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