2019年9月30日〜10月6日
 走行日数7日間
 累計走行距離332km(101338km〜101670km)

◎道路
 基本的に良くない。のだが、ど田舎だとそもそもの交通量が少ないためかアスファルトもガタガタになっておらず結構走りやすい。感じとしては首都のキシナウへ近づけば近づくほど路面が悪く、車両の数は増えて走りづらくなる。
 都市部における自転車への配慮はほぼ皆無といった感じで、車道は危ないし歩道は毎回段差があって乗り越えが手間だし、路面はボコボコで危険だしと褒めるべき点が見つからない。自転車の人気ないんだろうなぁ、ヨーロッパなのに・・・とか思ってちょっと悲しくなったぞ私。
 入国初日の印象が非常に良かっただけに、その後どんどん悪くなってく路面に私の評価も右肩下がりですよ。悲しいことに未承認国家である沿ドニエストルの方がよっぽど良い道路である。

◎治安
 良い。沿ドニエストル共和国とか「勝手に独立宣言した危険な未承認国家」と行った論調の情報もあったが、私の感想としては軍人の数はやや多いけれども人は緩やかで夜間も歩行者の数が多く、そんな危険な雰囲気を感じたりはしなかった。
 首都のキシナウもそんな嫌な雰囲気なかったし、これが田舎となると言わずもがな。旅行者として基本的な緊張感と変な場所に首を突っ込まない良識があればトラブルに巻き込まれることはまず無いと思う。

◎ビザ・出入国
 日本人なら90日までノービザ滞在が可能。国土的に考えてもこの期間を超えてモルドバに滞在する旅行者はまずいないだろう。出入国手続きもモルドバ(ルーマニア)語答えられなかったら普通に英語で質問してきたし問題なし。
 なお沿ドニエストル共和国は一応国と銘打ってるので出入国の審査がある。入国時に何日間滞在するか聞かれ、それに応じてドニエストル内の滞在期間を記した用紙を渡してくれた。なおパスポートにスタンプは押されない。

◎交通事情
 そこそこ良い。というか田舎は交通量が少ないので交通事情を気にして走る必要が薄い。そんじゃあ首都のキシナウはどうか?とするならば、クラックション鳴らしてくるドライバーこそいないものの、自転車のすぐ脇を抜いてったりする車がいたりとあんまり良い印象はないかな。ただこれは道路のインフラ悪いことの方に原因がある感じでそんなにモルドバ人ドライバーを責める気にはならないけど。歩道とか普通に道を譲ってくれるドライバー多かったし。
 ちなみに信号ある交差点の右折(日本で言うところの左折)は赤信号でも曲がって良い国みたいで信号の最前列で停車してると後ろから来た車が自転車捲るように追い越していくので注意しといたほうが良い。

◎特徴
 国の東部地域を沿ドニエストル共和国という未承認国家が実効支配している。このためウクライナからモルドバに入国しようとする場合、北か南のドニエストル領土外からのモルドバ入国でないと手続きで面倒なことになるらしい。
 なお沿ドニエストルはその設立背景でモルドバとは違うロシア的な雰囲気を感じる地域だが、別に入国に際して面倒な手続きは必要ない。少なくとも現代では普通に観光も宿泊も旅行者がすることは可能。
 注意点として、使用通貨がドニエストル・ルーブルなのだが、これはモルドバ含めた他国に入ると両替えが一切できない独自通貨状態なので、ドニエストル内で必要な分だけ両替して出国前に使い切る必要がある。私の場合は1500円くらい両替してホステル1泊と夕食材料(ビール含む)で事足りた。参考までに。

◎気候
 キシナウで雨に降られる前まで最高気温が28度とかあってやたら暑いと思ってたのだが、翌日から気温15度とかに下がってしまい、これじゃどっちが今の時期における正しい気温なのか分からんな。
 地形的に風邪を遮る障害物が少ないからか、やたら強風が吹きまくってるモルドバ。しかも一定方向からでなく日によって全然別方向から吹いてきたりするので運次第ではやたら走るの苦労することになる。

◎言語
 使用されてるモルドバ語だが、実際には隣国ルーマニア語と同じ言語だとか何とか。使用文字がアルファベット(ラテン文字)なので何となく読めるのは有難い。これが沿ドニエストルだとキリル文字になってしまうので困ったもんだ。多分使用言語もロシア語メインになってるっぽい。
 英語の通用率はウクライナよりは高いかな。キシナウのホステルは両方ともスタッフが英語喋れてたし都市部での通用度は高いと思われる。その割にはど田舎のガソスタでも案外英語通じたりしたが。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 多分ホステル形態の安宿はキシナウとティラスポリの2都市にしか無いと思う。値段も安くて設備も整ってはいるが、ウクライナと比較するとどちらもやや見劣りしてしまう。キシナウだと1泊が1000円弱くらいで、ティラスポリの宿は多分1000円強くらいだった。なおキシナウ2つ目のホステルは綺麗で広かった反面、キッチンにコンロがないため簡単な料理しかできない系ホステルだった。
 ネット環境はほぼ問題なし。大きなガソスタではFreeWi-Fi飛んでたし、国土が小さいこともありそれなり規模の町が自転車移動でも頻繁に通貨できるのでどうにでもなる。速度もストレスない程度に速かったけど、そういや1つ目のホステルWi-FiがPCからだと一部のサイトが表示できないタイプで困ったな。エロとかでない普通のヤツなんだけど。そしてスマホからだと普通にアクセスできるというね。何がしたいのかよく分からん。

◎動物
 そういや全然見なかったな。ウクライナに比べてヤギの数が多いのだが、こいつら全部家畜だったし。ウクライナでよく見た野良犬はグッと数が減ったというか、そもそも犬自体それほど姿を見なかった。

◎自転車店
 ティラスポリの周辺で1店舗だけ見かけた。キシナウの市内にはGIANT等のロゴが入った自転車スタンドが各地に設置されていたことからも、それなり程度に需要があるのかもしれないがショップ自体は見ていない。ローディの姿も2〜3回見たんだけどね。

◎物価・食事
 ウクライナと並んでヨーロッパ最貧国と言われてる国だが、少なくとも物価に関してはウクライナより1段階高いです。いやそこと比較しないで評すれば「物価安い」という評価になるけどさ。
 ある程度の規模誇る町じゃないとレストラン自体が少ないようで、外食でレストランを利用というスタイルが自転車旅行だと取りづらいという物価以前に根本的問題としてある。んで仕方なくガソスタの売店とかを利用するのだが、こうしたコンビニ系の店は概して割高の価格設定なのであり、そうした場所で大きめのサンドイッチ2つとかで3〜400円くらいのイメージ。キシナウの日本食屋がランチメニュー60レウ(約360円)だったけど、これはかなり頑張ってる値段設定だと思う。
 なおビールに関してはウクライナと勝負しても負けないほど安く飲める。やっぱりモルドバでも大型ペットボトルタイプのビールが販売されており、安いのだと2ℓタイプで200円以下とかその程度。ワインも買ったけど1回だけだしあんまり相場知らないから何とも言えない。でも500円しない安ワインとは思えないほど美味かったのであり、「ヨーロッパのワインといったらモルドバ」というのが私の中にインプットされた。

◎総括
 結構厳しいことも書いてる気がするが、ヨーロッパ内で滞在期限を気にせずのんびり過ごすという意味では非常に優秀な国だと思う。物価は安いし治安も良いしで長逗留するのに適しているが、調べても特に興味をそそる観光ポイントとかそういうのはなかったが。
 あと滞在するということになると、安宿の存在的に実質首都のキシナウしか選べないのがちょっと残念。まぁ観光に力を入れてないというのは、田舎を回ると外国人スレしてない人が多くて気軽に声をかけてくれる楽しさもあるので表裏一体ではあるのだが。実際モルドバの田舎ではやたら多くの人から応援されたり声かけられたりした。そういう意味で人との交流が面白かった国ともいえるかな。