イスラエル6日目 森林公園〜テルアビブから南東に101km地点 死海の側
目を覚ました直後に近くでスプリンクラーが発動し、朝から水をぶち巻いていた。散水ポイントは公園内の芝生エリアのようで、実は昨夜芝生にテント張ろうか迷ってたんだよね。結果的に土の上で大正解。
夜中は落ち着いてたが、日が昇ると吹き始めるイスラエルの風。嫌がらせしてんじゃないかと思いつつ、それでも出発準備する私は風にもめげずに自転車旅行よ。
地図で見たときから完璧に区画整理された形で「これはユダヤ系の町だろな」と勝手に思っていたのだが、実際には多様な人種が混在してる見た目に不思議な町だった。
先進国の大都市ならそこに多様な人種が入り混じってるのは普通の光景なんだけどさ、こういう観光や大きな都市で多くの人が出入りするワケでない普通の町、つまり他国の人間があまり流入してこないであろう普通の町で全身黒服に黒シルクハット姿のユダヤ人隣を目出し服着た女性イスラム教の人が闊歩してる町なのだ。
それはともかくアラドの町を出たと同時にようやくダウンヒルの開始となる。標高500mから世界一低い場所にある死海の沿岸部まで下がる道は、岩石地帯で南米のアンデス山脈を思い出すような風景だ。
手元の高度計が今まで見たことない数字を叩き出してるのにまだ道が下へ続いてるのは不思議である。途中の見晴台からようやく死海の姿を拝むことが出来たのだが、標高さえ気にしなければ「普通の湖だ」というのが第一印象。
死海の沿岸部まで降りてきて、そのままちょっと北上した場所にある公営ビーチへと向かう。かなりの面積を誇る死海だが、イスラエル側で無料の死海遊泳ができるビーチは私が確認した限りこの周辺2箇所のみ。ケチくさいなイスラエルは。
大喜びで突っ込んでいくが水に入って3歩目にはUターン。というのも水の底には結晶化した塩の塊が沈んでおり裸足で踏むと痛いのだ。死海で泳ぐにはサンダル必須なのだと知る。
塩分濃度が海水の約10倍とされる死海の水は、何というかオイルを混ぜ合わせたようなぬめりを感じる。体を脱力させて横になっても上半分ほどが水面から出るほどの浮力であり、なるほどこんな独特な水に入ったのは初めてだ。
面白いけど5分も浸かってると傷口だとか頭皮がピリピリと痛くなるのであり、長く入ってる場所ではないんだな死海。とにかく全身ヌトヌトだし直ぐにシャワー浴びないと酷いことになりそうではある。
満足したので着替えて先へ。場所によっては潮溜まりになってる死海を横目に整備された自転車道を走らせる。こんな場所まで自転車で来る物好きは多くないと思うのだけど、レンタル自転車でもあるのかな?
向かい風に逆らいながら進むこと20km。左手に聳え立つ崖にへばりつくようにしてビジターセンターが建っている。ここがマサダ山の遺跡群入口なのであり、私はここの写真を見て是非とも訪れたいと思ってたのだ。
しかし死海の脇を通ってる道路からビジターセンターまでは150mほどの上り坂。それだけならまだしもそのビジターセンターから更に200m以上登った山の上に遺跡群は建っていたりする。
ケーブルカーは往復2500円以上するので最初から眼中になし。熱中症対策に水ボトルと帽子を被って登山開始だ。正直相当疲れてて、一瞬遺跡に行かずもう先へ進もうか迷ったりもした。
そうは言っても年中走り回ってる自転車旅行者。途中で2〜30人ほどぶち抜いて40分で山頂到着である。なんだかんだ楽だったな。
なお歴史的には当時のユダヤ教徒がローマ軍から追われて行き着いた最後の場所がこのマサダ要塞であり、彼らは最終的に集団自決したという悲壮な歴史の場所でもある。そんな逸話もありユダヤ教徒的には人生で1度は訪れるべき聖地なのだとか。
そして再び下り坂を40分かけて戻る私。ビジターセンターに戻った時には既に16時を過ぎており、急いで準備しメインロードへと戻るワケですが。
そこから数百m先に雨季には河川となるのか、草木が生え揃ってるポイントがあり自転車突っ込み終了とした。こんな近くで野営地見つかるなら急いで戻ることなかったか。
日が落ちてから実感する低地に来たことによる気温の上昇っぷり。昨夜寝袋使って寝てたのが信じられないくらい暑い。ー400m程度大したことないと思ってたけど、今猛烈に堪能しております。
2019年11月12日(火) 走行距離63km 累計104039km