私が好きだったり尊敬してる自転車旅行者は紙の地図が好きな人が多い印象にある。個人的な解釈だがこれは自分の判断を重視するという面が強いことの裏付けではないかと思っている。

 Googleマップに代表される電子地図は確かに便利ではあるのだが、あのテの地図って「目的地へたどり着く」ことを主として作られた代物だと思うのだ。少なくとも経路検索って機能があり距離やれ所要時間が表される以上、それが主要な用途であることは間違いないだろう。

 これに対して紙地図というのはそもそもの用途を利用者に預けている節があり、そこに記されてる情報を基に色々と想像をする余地があるのが強みだと思う。

 ある目標地点を定めれば最適な経路をコンピューターが教えてくれるのは単純な移動ならば利点だが、こと自転車旅行という点からすると決して良いことばかりと言えないのも事実。というか個人的には旅行の魅力を削ぐ機能だとすら思いもする。

 何故ならコンピューターは「面白さ」という曖昧模糊な点を考慮してはくれないからだ。距離走れて早く到着できるだけの道を走って世界1周がしたいのならば、私はとうに自転車世界1周を達成している。

 ナビという存在はどうしても個人の判断力を奪うというか、機械が示した指示に従って動くことになるため自分で考える割合が低くなる。これは別にナビだけじゃなくてガイドでも他者の情報でも同様なんだけどさ。

 移動という存在をどう捉えるかは個人の自由であろうが、その過程をキチンと体験して記憶に留めていられるのは圧倒的に紙地図派だ。だって自分で道順覚えないとゴールにたどり着けないもん。

 よく言われることだけど「カーナビに頼って運転するドライバーって道を覚えない」って話に通じるものがある気がする。目的地というゴールだけを見ていると、その道中という過程に意識が向かなくなるのは仕方がない。

 要するに移動という存在を極力自分の意思で判断して選択したいタイプであるほど、この傾向が強くなるのだと思う。こう考えるとそもそも自力で移動完結せざるを得ない自転車旅行者に紙地図好きが多いことも納得できるじゃないか。


 余談だが私はそういう旅行意識が強いので基本「A地点から○○km進めば水場があって、その先に廃墟があるので野営ができる!」・・・みたいな形の情報は残さないし好まない。

 宝石の道みたいな走破難易度が高い場所だとまぁ気持ち分からんでもないが、事前に与えられた情報に沿って課題をクリアしていく移動は私にとって「面白い旅行」ではないのだ。これが探検や冒険ってなるとまた考え方は違ってくるが。

 そんなワケで私は自分で色々考える余地のある紙地図が好きだ。決して電子機器の扱いが不慣れだからとかそういう理由ではない。