伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ151

2020-07-11 12:10:02 | ジャコシカ・・・小説

高志はしめくくって最後の大岩を廻った。

 

 入江が現れ家から走り出てくる、清子と鉄さんの姿が見えた。

 

 やがて息を荒げて近付いた鉄さんが、慌てて高志の背から下りた千恵を見た。

 

 「大丈夫かい」

 

 「平気、でも失敗しちやった」

 

 「鉄さん上の畑の方にいて、見付けるのに時間かかってしまった。ごめんなさい高志さん重かっ

 

たでしょう」

 

 清子はすまなそうに高志を見た。

 

 「いや、ちよっと蕗と蕨を採り過ぎたような気分になったけれど、なあに欲張りだから沢底に棄

 

ててしまおうなんて気は起こさなかったよ」

 

 「よかったね沢に投げられなくて、それこそ羆のお食事にされちゃうものね」

 

 あやはからかいながら腰を落として、千恵の足首に触れて様子を見た。

 

 鉄さんも膝を折って靴紐を緩めて触れ眼を凝らした。

 

 「大分膨れているな。急いだ方がいい。このまま真直ぐ船に乗って貰おう」

 

 高志は再び知恵を背負って、船着場に急いだ。

 

 家にはあやだけを残して、四人が乗った。

 

 陽はまだ高く、海はおだやかだったが、船先に座った高志は波しぶきを受けた。

 

 鉄さんは高志が初めて経験する速度で、船を進めていた。

 

 港からは漁協職員が車を出してくれた。

 

 町で一番大きな病院では直ぐにレントゲンが撮られ、診療を受けている間に、猛さんとトキさん

 

が駆け着けた。

 


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