伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ131

2019-12-11 13:01:04 | ジャコシカ・・・小説

 見るともなく茫と眺めていたら、中から若い二人連れの娘が出てきた。

 

 一人は白いセーターの上からオレンジのカーデガンを羽織り、一人はざっくりとしたコーヒー色

 

のトックリに赤のマフラ―を巻いている。二人とも黒のスラックスだ。

 

 手には布地の大きな買い物袋を下げている。

 

 面立ちは違うが、あやはすぐに姉妹だと思った。

 

 道を開けたあやの前を通り過ぎた二人が、立ち止まってふり返った。

 

 年上のカーデガンの娘が、まじまじとあやを見て言った。

 

 「失礼ですが、もしかして影山さんではありませんか」

 

 返事を待たずに見返す視線に畳みかける。

 

 「あやさんでしょう」

 

 あやの顔に意識が戻った。

 

 「え、まさか清子ちゃん。いや清子ちゃんだ。だったらあなたは千恵ちゃん」

 

 あやは瞳を一杯に見開いて、マフラーの娘を見た。

 

 意識のはずれでちょっとまずいなと思った。

 

 二人の顔に同時に驚きと笑いが弾けた。

 

 「私、清子!」

 

 「あやお姉ちゃんだ」

 

 千恵が恐る恐る言った。

 

 三人ともその後の言葉が出てこない。

 

 ただ茫然と弾けた笑顔のまま、見詰め合っている。

 

 10年振りの再会は、互いに遠く去った時をたぐり寄せ、残る面影を探し合うことから始まった。


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