伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ146

2020-06-13 12:52:52 | ジャコシカ・・・小説

 気にしないでくれ。いいかげんに応えているのでも、悪気がある分けでもないんだ。

 

 あまり人と話すことがないもので、言葉の使い方に自信がない。

 

 だから千恵さんが分からなくなるのは当然なんだ。気にしないでくれ。

 

 これからはできるだけちゃんと考えて話すようにするから」

 

 「いいのよそんなに気にしないで。私だって子供じゃないから、言葉は分からなくても意味は感

 

じることはできるから。

 

 それで漁師の話しは理解できました」

 

 「よかった。私千恵がまた喧嘩始めるんじゃないかと心配した。この娘は本当に気が短くて、誰

 

にでも突っかかる癖があるから」

 

 「大丈夫よ、全然そんな気分じゃないし、それに今日はとても楽しい日だし」

 

 千恵はいつもなら噛みつく妹の言葉にも逆わない。

 

 煎餅を食べ終わり、一服がいささか堅い気分になったところで、四人は腰を上げた。

 

 最初に腰を上げた高志はのんびりと、確かめるように言った。

 

 「今日はいい日だ」

 

 二人の娘達も笑顔を交わしながら腰を上げた。

 

 

 帰りの道は来た時よりも短く感じる。

 

 景色は目まぐるしく変化をしながら過ぎていく。

 

 目星を付けた蕨の場所では、皆で採る量を両手で掴める一束だけと決め、その後は一番入江の家

 

に近い蕗の場所に向かった。

 

 木の間越しに入江を斜め、全方位に海原が開けるその場所は、急な斜面だった。

 

 崖ではないが足を取られたら、途中の木にでも引っ掛からない限り、どこまで落ちるか分からない場所だ。


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