歯科研修医・若手歯科医師のための口腔外科マニュアル

歯科研修医・若手歯科医師のための口腔外科マニュアル

歯学部生・歯科研修医向けの口腔外科の小手術に関するコツを紹介します。昔、何もわからなかった時の気持ちや学んだことを記録します。このブログが歯科医師を志す若手の力になれたら嬉しいです。

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1)口腔内のアレルギー性疾患
2)編集後記
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おはようございます。古舘 健です。
今日もご訪問いただき、ありがとうございます!

前回は「唾液腺疾患のまとめ」についてお話ししましたね。
唾液腺疾患は、炎症性疾患を除くと大きく唾液腺腫瘍と唾液腺に対する免疫系疾患に分けられるのでしたね。復習しておいてくださいね!

さて本日は「口腔内のアレルギー性疾患」について一緒に考えていきましょう!
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1)口腔内のアレルギー性疾患

50年以上前、日本にはアレルギーがほとんどなかったと言われています。
しかし、アレルギー疾患は徐々に増加し、厚生労働省の調査(1982-2002)によると、小児のアレルギー性鼻炎は30%増加、気管支喘息は40%増加しているそうです。
*アレルギー疾患対策 現状 - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000016819-att/2r98520000016855.pdf

そもそも、アレルギーとは何でしょうか。

アレルギーは異物(細菌・ウイルス)から身体を守るはずの免疫システムが、内・外の抗原に対し過剰に働いた状態です。

*抗原(Antigen:AG)とは、免疫細胞のレセプターに結合し、免疫反応を引き起こす物質。

アレルギーは免疫的機序によって大きく4つの型に分かれます。

Ⅰ型:IgE抗体による過敏症(口腔アレルギー症候群、喘息、花粉症、蕁麻疹、アナフィラキシーショック)
Ⅱ型:IgG抗体、IgM抗体による細胞障害(天疱瘡・類天疱瘡、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血)
Ⅲ型:抗原・抗体・補体が互いに結合した免疫複合体による過敏症(シェーグレン症候群、ウィルス性肝炎、全身性エリテマトーデ:Systemic Lupus Erythematosus; SLE、関節リウマチ、急性糸球体腎炎)
Ⅳ型:細胞性免疫による過敏症(接触皮膚炎、薬疹、ベーチェット病、サルコイドーシス)

*Igは免疫グロブリン(Immunoglobulin)の略。免疫グロブリンは抗原刺激を受けたB細胞が分化・成熟して産生する特定の分子(抗原)に特異的に結合する抗体(Antibody)で5種類ある。

*5種類(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)の抗体
IgG:血液中に最も多い(全体の80%)。唯一胎盤を通過できる。
IgA:唾液、鼻汁、母乳中(母子免疫)に分布。分泌型IgAは2つのIgAが結合した構造。
IgM:免疫の初期。基本の4本鎖構造が5つ結合した構造。
IgD:B細胞表面に存在し、抗体産生の誘導に関与。
IgE:主に粘液に分泌。抗原に暴露から早期に初期反応がみられる。

では、歯科口腔外科の日常診療において、遭遇する可能性のある注意しなければならないアレルギー関連の疾患にはどのようなものがあるでしょうか。

①ラテックスアレルギー(Latex Allergy)
*ラテックス・フルーツ症候群
*口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome:OAS)
②接触性皮膚炎(Contact Dermatitis)
*金属アレルギー(Metallic Allergy)
③掌蹠膿疱症(Palmoplantar Pustulosis)
④天疱瘡(pemphigus)
⑤類天疱瘡(pemphigoid)
⑥シェーグレン症候群(Sjögren's syndrome)
⑦ミクリクツ病(Mikulicz disease)
⑧全身性エリテマトーデ(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)
⑨薬疹
*スチーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson Syndrome:SJS)
*中毒性表皮壊死(Toxic epidermal necrolysis:TEN)
⑩口腔扁平苔癬(Oral Lichen Planus:OLP)

*自己免疫疾患は、内因性抗原に対し、免疫応答が起こる。

①ラテックスアレルギー(Latex allergy)
ラテックスアレルギーは、天然ゴムに含まれる水溶性タンパク質に対するⅠ型(即時)アレルギーです。

天然ゴム(Natural rubber latex)は医療用のゴム手袋や一部に点滴ルート、尿道バルーンなどの医療器具に使われています。
欧米の医療従事者の有病率 1.1~13.7%。その中でも歯科医師が13.7% と最も割合が高いと報告されています。
http://www.latex.jp/latexallergy.html

注意が必要ですね(><)!

ラテックスにはゴム樹液を原料とする天然ゴムと石油を原料とする合成ゴムがあります。
ゴム樹液から採取される天然ゴムには少量のタンパク質成分が含まれており、このタンパク質が抗原となり、アレルギー反応を引き起こすと考えられています。

ラテックス特異IgE抗体の陽性率は1.4~34.5%
*アトピー体質の人は罹患率高い

過去に蕁麻疹、呼吸困難、ショックの既往がないかは必ず問診します。

予防にはパウダーフリーの製品を使用しましょう!

もし、問診で、果物にアレルギーがある場合は注意が必要です。ラテックス・フルーツ症候群や口腔アレルギー症候群(Oral allergy syndrome:OAS)はアナフィラキシーショックを起こす可能性があるため、果物にアレルギーがある場合は特に注意してください。

*ラテックス・フルーツ症候群
天然ゴムに含まれる少量のアレルゲンが食物(バナナ、トマト、アボガド、パパイヤ、キウイ、栗、ジャガイモ、メロン)と交差反応し、蕁麻疹やアナフィラキシーショックが起こす。

*口腔アレルギー症候群(Oral allergy syndrome:OAS)
口腔内の症状で、原因抗原として果物。花粉症との関連が疑われている。

【アナフィラキーの対応】
アナフィラキシーの兆候が現れる
⇒医薬品の投与や使用を中止!
⇒各種モニター装着、酸素投与、気道確保の準備

呼吸器症状(咳そう、呼吸困難、喘鳴、チアノーゼなど)を認める
⇒0.1%アドレナリンの筋肉注射(通常 0.3~0.5 mL、小児:0.01 mL/kg、最大 0.3 mL)。
⇒筋肉注射後 15 分しても改善しない場合、また途中で悪化する場合などは追加投与。
⇒抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイド薬、気管支拡張薬の投与を考慮する。

②接触性皮膚炎(Contact Dermatitis)
接触性皮膚炎はかぶれ(湿疹)のこと。ゴム製品(化学製品)によるかぶれ(湿疹)はIgEと抗体関係がありません。原因物質によって、刺激性接触性皮膚炎と、Ⅳ型アレルギーによるアレルギー性接触性皮膚炎に大別されます。
刺激性:酸やアルカリに障害される
アレルギー:抗原(アレルゲン)に感作される

*金属アレルギー(Metallic Allergy)
金属アレルギーは金属イオンによる接触性皮膚炎です。
歯科用金属が唾液でイオン化します。粘膜のたんぱく質と交差反応し、Ⅳ型アレルギーを引き起こします。

血液検査では特定できないので、パッチテストを行います。

*パッチテスト検査
約40種類(17種類の金属)の専門検査薬を用い、疑い物質をつけた絆創膏を背中に貼る。2日後に貼った部分に皮膚炎が再現するかどうかを観察する。

リスクが高い金属
↑①ニッケル、コバルト、クロル
|②亜鉛、マンガン、銅
|③銀、プラチナ、金
↓④チタン
リスクが低い

*歯科用金属

(株式会社ジーシの歯科用金属の物理的性質から引用・編集)

③掌蹠膿疱症
膿疱が手掌や足蹠に多発して認められる疾患で、周期的に軽快と増悪を繰り返します。扁桃炎や歯周炎などの病巣感染や歯科金属(パラジウムなど)に対するアレルギーが引き金となり掌蹠膿疱症が発症した事例が報告されています。

④天疱瘡(pemphigus)
口腔粘膜上皮に水疱を形成します。表皮細胞間接着デスモゾームの接着分子であるデスモグレインに対する自己抗体ができます。水疱内には浮遊細胞(棘融解細胞 Tzanck cell)を認めます。
自己抗原は尋常性天疱瘡:デスモグレイン3、落葉状天疱瘡:デスモグレイン1
口腔病理基本画像アトラス
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/chapter4/html4/4_2h_001.html

⑤類天疱瘡(pemphigoid)
表皮下に水疱を形成します。表皮基底膜部抗原(ヘミデスモソーム構成蛋白であるBP180とBP230)に対する自己抗体ができます。
口腔病理基本画像アトラス
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/chapter4/html4/4_2i_001.html

⑥シェーグレン症候群(Sjögren's syndrome)
乾操性角結膜炎(Schirmer試験5mm/5分、 Rose-Bengal染色、fluorescein染色法による証明)、口腔乾操(口腔所見、唾液分泌量測定:ガム試験10ml以下/10分やサクソン テスト2g以下/2分、唾影法などによる証明)、リウマチ性関節炎(アメリカリウマチ協会の診断基準)や血清検査(抗Ro/SS-A抗体、抗Ro/SS- B抗体)など膠原病症状のうち2つ以上。

⑦ミクリクツ病(Mikulicz disease)
シェーグレン症候群と類似した症状を示す。IgG4関連疾患(+両側の唾液腺&リンパ組織の増殖=ミクリクツ症候群)

*シェーグレン症候群とミクリクツ病については「歯科医師国家試験対策メモ ~唾液腺疾患のまとめ~」

⑧全身性エリテマトーデ(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)
多彩な自己抗体が検出されます。病態の中心は二本鎖DNAに対する自己抗体と補体による免疫複合体の組織障害です。組織障害の発生場所は個々の症例によって異なり、腎臓、皮膚、肺、脳など多様な臓器に障害が発生します。

⑨薬疹
どの薬でもアレルギー反応を起こす可能性はあります。また、アレルギー性薬疹の場合、ある薬で薬疹が起きたら、その薬はその後は内服しないほうがいいでそう。。
*スチーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson Syndrome:SJS)
重症な薬疹。ニコススキー(Nikolsky)現象が陽性です。本症の発症には薬剤だけでなく細菌・ウィルス感染(とくに呼吸器に感染するマイコプラズマ)が関与していると考えられています。

*中毒性表皮壊死(Toxic epidermal necrolysis:TEN)
最も重症な薬疹。全身の皮膚に紅斑を認め、ニコススキー(Nikolsky)現象は陽性で、まるでヤケドのようになります。死亡率20~30%。
水泡やびらんなど皮膚が剥がれた面積が身体の10%以下はSJS、それ以上はTEN

【重症薬疹の治療】
まず薬剤の中止!
⇒ステロイド(プレドニン60~100mg/日)内服。
⇒重症の場合1gのプレドニンを1日でするパルス療法

⑩口腔扁平苔癬(Oral Lichen Planus:OLP)
原因は不明です。口腔粘膜の白色レース状、わずかに隆起、時に丘疹状を示す慢性炎症性病変です。
口腔病理基本画像アトラス
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/chapter4/html4/4_2g_001.html
粘膜上皮は鋸歯状で上皮直下にはリンパ球(Tリンパ球)を主体とする帯状の浸潤が見られます。

*口腔扁平苔癬は原因が不明なため、アレルギー関連疾患とは異なります。

いかがでしたか。それぞれの項目について自分なりに整理してみてくださいね。
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2) 編集後記

先日、三菱一号館美術館で開催されていた「ミレー展」を見て来ました。



19世紀のフランスの画家、バルビゾン派のジャン=フランソワ・ミレー(Jean-François Millet)。

ミレーが当時の他の画家と違ったのは、オリジナルの着眼点をもっていたことと時代の流れをつかんだことです。

当時、神話的な作品が主流だったなかで、ミレーは農民に注目しました。当初、農民支持の象徴としてミレーの作品は批判を受けましたが、農民の生活や田園風景をありのままの姿で描かれた作品は人々に強い衝撃を与えました。

それは19世紀の西欧はフランス革命の影響による自由主義とナショナリズムの広がり、ナポレオンの興亡と反動としてウィーン体制、そして社会主義的な運動の広がりがあったことで、ミレーの作品は労働を賛美するものとして時代の流れをつかんだためであると思います。

ちなみにミレーの作品である「種まく人」は株式会社岩波書店のシンボルマークですね。




*1933年(昭和8年)創業者の岩波茂雄氏は「労働は神聖である」との考えからミレーを岩波書店のマークとした(岩波書店ウェブサイトより 一部抜粋し、改編http://www.iwanami.co.jp/company/index.html)。

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「ボストン美術館 ミレー展ー傑作の数々と画家の真実」 三菱一号館美術館
会期:2014年10月17日(金)~2015年1月12日(月・祝)
住所:三菱一号館美術館千代田区丸の内2-6-2
交通:東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口から徒歩3分。JR東京駅丸の内南口・JR有楽町駅国際フォーラム口から徒歩5分。

ジャン=フランソワ・ミレー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AF%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%AC%E3%83%BC

〔画家〕ミレーの絵画作品ギャラリー
http://matome.naver.jp/odai/2128600614919556201
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【参考文献】
アレルギー疾患対策 現状 - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000016819-att/2r98520000016855.pdf

第4章 食物アレルギー
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf

日本ラテックスアレルギー研究会
http://www.latex.jp/latexallergy.html

アナフィラキシー - 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1h01.pdf

口腔扁平苔癬 - 北海道大学歯学部
http://www.den.hokudai.ac.jp/kouge1/case/oralmedicine/oral_lichen_planus.html

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう) - 日本皮膚科学会
Q4金属が悪さをして出ることもあるようですが、ほんとうですか?
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa27/qa04.html

抗体(免疫グロブリン)の種類と構造
http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/koutai.pdf

アレルギー性皮膚炎と皮膚疾患 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター
http://www.tmghig.jp/hospital/shinryou/geka/sub10.php

[PDF]天疱瘡の診断手引き
http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/tenpou3.pdf

口腔病理基本画像アトラス
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/chapter4/html4/4_2h_001.html
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/chapter4/html4/4_2i_001.html
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/chapter4/html4/4_2g_001.html

難病情報センター | 皮膚疾患分野 水疱性類天疱瘡(平成24年度)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/3270

全身性エリテマトーデス (SLE)|大阪大学 免疫アレルギー内科
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/imed3/lab_2/page4/page4-11.html

公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 薬疹
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa18/index.html

1)歯科医師国家試験対策メモ ~唾液腺疾患のまとめ~
2)編集後記
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こんばんは。古舘 健です。
今日もご訪問いただき、ありがとうございます!!

前回は、血液疾患のまとめについてお話ししましたね。
血液疾患は大きく分けると、赤血球系疾患、白血球系疾患、出血性素因の3つでした。細かい検査データを覚えるより、それぞれの特徴的な所見をまとめておくことをオススメいたします。

さて本日は歯科医師国家試験対策メモ「唾液腺疾患のまとめ」について一緒にまとめておきましょう!
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1)歯科医師国家試験対策メモ ~唾液腺疾患のまとめ~

唾液腺疾患は、炎症性疾患を除くと大きく唾液腺腫瘍と唾液腺に対する免疫系疾患に分けられます。

まずは唾液腺腫瘍についてです。その前に唾液腺の発生と解剖は大丈夫ですか?理解を深めるのに役立ちますよ!

1.唾液腺腫瘍
唾液腺腫瘍は、病理組織所見で鑑別できるように良性腫瘍と悪性腫瘍の特徴的な所見をまとめておくことをオススメいたします。唾液腺腫瘍は臨床所見ならびに画像所見では鑑別が難しいことが多いからです。

病理組織所見は、下記サイトで参照することができます。
口腔病理基本画像アトラス
Ⅷ章 唾液腺の病変
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/menu_8.html


【病理組織所見】
1)良性腫瘍
多形腺腫 Pleomorpic adenoma
上皮系(腺上皮、筋上皮)成分と間葉系(線維様、粘液腫様、軟骨様)成分からなる腫瘍。

ワルチン腫瘍(腺リンパ腫) Warthin tumor(adenolymphoma)
乳頭状に増殖した上皮細胞と濾胞形成を伴うリンパ組織からなる腫瘍。
*ほとんどが耳下腺に発症
*耳下腺は腺実質内にリンパ組織が存在するが、顎下腺・舌下腺には少ない。
*唾液腺(Tc)シンチグラフィ
唾液腺には陰イオンを取り込む作用がある。
99mTcO4-(過テクネチウム酸)は静脈内投与後、唾液腺、甲状腺、胃粘膜に特異的に集積。
異常集積(Tc取り込み過剰もしくは排出されない)→ワルチン腫瘍、オンコサイトーマ(oncocytoma)
集積低下(Tc取り込みしない)→シェーグレン(Sjogren)症候群、一般的な唾液腺腫瘍

2)悪性腫瘍
粘表皮癌
粘液産生細胞と扁平上皮細胞(角化性変化)からなる腫瘍
耳下腺、顎下腺に多い。

腺様嚢胞癌
篩状の偽嚢胞腔を認める腫瘍。神経組織への浸潤傾向あり。
*顎下腺、舌下腺に多い。

腺房細胞癌
線維性被膜で包まれ、漿液性腺房様細胞からなる腫瘍細胞
*耳下腺に多い。
*耳下腺は純漿液腺房(明るく丸い核、好塩基性顆粒)、顎下腺、舌下腺は混合腺:漿液性と粘液性(核は基底に圧排され扁平、明るくぬけてみえる細胞質)

次に唾液腺に対する免疫疾患についてです。

2.唾液腺に対する免疫疾患
慢性硬化性顎下線炎(Kuttner's tumor)
片側の顎下腺が徐々に無痛性に腫脹し、硬化する。

シェーグレン症候群
乾操性角結膜炎(Schirmer試験5mm/5分、 Rose-Bengal染色、fluorescein染色法による証明)、口腔乾操(口腔所見、唾液分泌量測定:ガム試験10ml以下/10分やサクソンテスト2g以下/2分、唾影法などによる証明)、リウマチ性関節炎(アメリカリウマチ協会の診断基準)や血清検査(抗Ro/SS-A抗体、抗Ro/SS-B抗体)など膠原病症状のうち2つ以上。

ミクリクツ病
シェーグレン症候群と類似した症状を示す。IgG4関連疾患(+両側の唾液腺&リンパ組織の増殖=ミクリクツ症候群)

④軟部好酸球肉芽腫(木村氏病)
好酸球と血清IgE増加→Ⅰ型アレルギー関連疾患


*流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
ムンプスウイルスは唾液を媒体とした飛沫感染様式(終生免疫)

いかがでしたか。それぞれの項目について自分なりに整理してみてくださいね。
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2)編集後記
2014年12月12日、神田瀧夢(かんだ・ろむ)さんが青森市でトークショーを行いました。




ロムさんは、日本人で初めて全米のゴールデンタイムに自分の番組をもった日本人です。

ロムさんは16年かけて準備をし、アメリカにわたってオファーを出し続けます。しかし160回ものを断られてしまます。

白人の世界であるアメリカで番組をもつことがどれぐらい大変かということを理解するには以下の記事を見ていただければいいかと思います。

アメリカでコメディアンになろうとした欣ちゃんに日本テレビのプロデューサーだった井原高忠さんが忠告する場面です。

2014年12月23日日経新聞「私の履歴書 萩本欽一23」(以下引用)。
「アメリカのショービジネスは厳しいぞ。コメディアンだって世界中から集まって競争している。メジャーになるには骨が折れるよ」。・・・「日本のテレビで欽ちゃんにしか作れない番組をつくるんだ。がんばればできるよ」

日本を代表するコメディアンである欽ちゃんですら諦めた全米で活躍するという夢。

なぜロムさんは160回ものオファーを断られ続けたのに諦めなかったのでしょうか?

「志」とロムさんは言います。

若かりしロムさんが師と仰ぐ人物から「夢が志になっているか。命よりも重いことをやっているのか。」と問われたそうです。

必死に考え続けたロムさんは29歳のときに「日本の素晴らしさを世界に伝える」という志をたてました。それがロムさんの原動力だったのです。

そしてついに161回にしてロムさんは「I Survived A Japanese Game Show」の司会を獲得します。同番組はテレビ界のカンヌと言われるローズドール賞で、最高賞であるゴールデン・ローズ賞を受賞。ハリウッド映画に多数出演し、北野武監督作品には毎回出演しています。

ロムさんが志を立てたのは29歳でした。
年の瀬の今、「自分の命よりも大切な何か」を考えるには絶好の機会ですね。




皆さま、よいお年をお過ごしください。
来年もよろしくお願いいたします。

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【参考文献・サイト】

カラーアトラス サクシンクト 口腔外科学 編集 内山健志,他 学建書院

口腔病理基本画像アトラス
Ⅷ章 唾液腺の病変
http://www2.dent.nihon-u.ac.jp/OralPathologyAtlas/Ver1/menu_8.html

宮崎大学医学部 放射線医学講座<各診療グループ案内>
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/radiolog/group/nuclear6.html


テクネシンチR注-10M テクネシンチR注-20M
http://www.nmp.co.jp/member/inter/pdf/T_Tc.pdf

宿題報告(1)
唾液腺疾患の病態解明と臨床
吉原 俊雄
東京女子医科大学 耳鼻咽喉科 日耳鼻 116―311
http://www.congre.co.jp/jibika2013/yokousyu/files/abstracts_special.pdf

消化器系 - 組織学実習 - 帝京大学解剖学教室
http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~kaibo/soshiki/digestive_system/09.html

北海道大学歯学部
口腔診断内科 診療内容・症例について > 口腔外科疾患 > 唾液腺疾患
http://www.den.hokudai.ac.jp/kouge1/case/oralsurgery/salivary_gland_disease.html


ミクリッツ病と全身性IgG4関連疾患(SIPS) - 札幌医科大学
http://web.sapmed.ac.jp/im1/SubPage/04_Kenkyu/Kaisetsu03.html


軟部好酸球肉芽腫の 1例 - 徳島赤十字病院
http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/hospital/medical/1996pdf/018.pdf

1)歯科医師国家試験対策メモ ~血液疾患のまとめ~
2)編集後記
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こんばんは。古舘 健です。
今日もご訪問いただき、ありがとうございます!!

前回は、先天異常・発育異常のまとめについてお話ししましたね。文章だけでなく、教科書の写真を確認しながら、イメージと疾患を結びつけてみてください。さて本日は歯科医師国家試験対策メモ「血液疾患のまとめ」について一緒にまとめておきましょう!
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1)歯科医師国家試験対策メモ ~血液疾患のまとめ~

今回は血液疾患についてまとめておきます。血液疾患は細かい検査データを覚える必要はありません。大きく分けると以下の3つです。

血液疾患
① 赤血球系疾患
② 白血球系疾患
③ 出血性素因

この中で、それぞれの疾患がどんな病態なのかを整理しておきましょう。当直や救急では以外にも口の出血が止まらないという患者様や、血液疾患のある患者様の抜歯を血液内科から頼まれることもありますよ。

もし血液疾患を発見したら速やかに血液内科専門医と対診しましょうね。

① 赤血球系疾患
小球性低色素性貧血:鉄欠乏性貧血
正球性正色素性貧血:再生不良性貧血、溶血性貧血
大球性高色素性貧血:巨赤芽球性貧血(悪性貧血)

鉄欠乏性貧血 iron deficiency anemia
原因の特定(消化管出血、妊娠・出産、偏食、胃切除)→鉄剤投与2~3ヶ月間
プランマー・ヴィンソン(Plummer-Vinson)症状
舌炎(平滑舌)、口角炎、嚥下障害
スプーン状爪(spoon nail)
味覚変化

再生不良性貧血 aplastic anemia
多能性造血幹細胞に対する自己免疫疾患の1つ。
全て減少。

溶血性貧血 hemolytic anemia
造血能は正常だが、破壊は亢進:脾腫(赤血球の破壊は脾臓で行われる)、黄疸

巨赤芽球性貧血 megaloblastic anemia
ビタミンB12(→悪性貧血)、葉酸の不足による赤芽球の核酸合成阻害
*ビタミンB12の吸収には胃液中の内因子が必要
Moller-Hunter舌炎(舌乳頭の委縮→平滑舌、灼熱感、疼痛)

② 白血球系疾患 
白血病 leukemia
造血幹細胞のがん
初期でがん化すると白血病、リンパ系細胞の段階でがん化すると悪性リンパ腫
骨髄穿刺液:血球の幼若球(芽球)が25%以上で急性白血病、25%未満で悪性リンパ腫

細胞の分化の方向性で骨髄性とリンパ性に分類される。
骨髄性の血液所見:アウエル小体 Auer body (正常骨髄系白血病に存在する顆粒が棒状に変形したもの)、白血病裂孔(多くの芽球が血液中で観察される)

悪性リンパ腫 malignant lymphoma
Hodgkinリンパ腫(ホジキン病):発症率は悪性リンパ巣の10%、5年生存率は病期分類全体で約80%。ABVD療法。
非Hodgkinリンパ腫(Non-Hodgkin lymphoma,NHL):従来、ホジキン病と言われていたものを除いた悪性リンパ腫。病期分類と悪性度で予後が異なる。形態学的に濾胞性 follicularとびまん性 duffuseに、免疫学的にNK/T細胞とB細胞に分類される。CHOP療法。

*1832年 Thomas Hodgkin氏によりホジキン病が報告された。続いて、Dorothy Reed氏ならびにCarl Sternberg氏によってホジキン病に特徴的なReed-Sternberg細胞(2核以上)が報告された。

③ 出血性素因
一次止血:血管が収縮し、血小板が凝集する。
二次止血:凝固因子が血小板の周囲にフィブリンが形成される。

一次止血の異常
特発性血小板減少性紫斑病 idiopathic thrombocytopenic purpura
点状出血や抜歯後出血。ときに感染症状や自己免疫疾患の合併を認める。

血小板無力症 thrombasthenia(Glanzmann病)
常染色体劣性遺伝。出血時間以外の血小板数ならびに血液凝固検査は正常。

*遺伝性出血性末梢性血管拡張症 hereditary hemorrhagic telangiectasis (Osler disease)
常染色体優性遺伝。出血時間の延長。毛細血管抵抗試験の陽性。

*常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝について
常染色体優性遺伝
両親どちらかの特徴が現れやすい形質の遺伝子に変異がある場合、子どもの50%にその症状が出る。

常染色体劣性遺伝
両親のどちらも特徴が現れにくい形質の遺伝子に変異がある場合、子どもの25%にその症状が出る。

*毛細血管抵抗試験について
毛細血管の脆弱性を皮膚に生じた点状出血斑を数えて同定する試験方法。陽圧法はRumpel-Leede法。陰圧法は紫斑計法(加藤・上林法)。

二次止血の異常
血友病A/B hemophilia A/B
伴性劣性遺伝
Aは第8因子、Bは第9因子
発生頻度はA:B=4:1で男性にのみ発症。
内因系凝固因子に関与→APTT延長、PT正常
血小板機能は正常なので、出血時間は正常。

*伴性劣性遺伝について
X性染色体にある遺伝子の変異によって起こるが、1対の性染色体のうち、両方に変異がある場合のみ、その症状が出る。

von Willbrand病 von Willbrand disease
常染色体優性遺伝
von Willbrand因子(vWF)は、血小板凝集補助→出血時間延長、毛細血管抵抗試験陽性
vWFは第8因子に結合し、内因系凝固因子に関与→APTT延長、PT正常

DIC disseminated intravascular coagulation 播種性血管内凝固症候群
基礎疾患によって血管内凝固が生じ、引き続き血小板と凝固因子が消費され、線溶が亢進→臓器不全
減少:血小板、凝固因子→APTT&PT延長、AT
増加:FDP、D-ダイマー、TAT(凝固活性化マーカー)、PIC(線溶活性化マーカー)

いかがでしたか。それぞれの項目について自分なりに整理してみてくださいね。

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2)編集後記

雪が降り続いています。
2014年12月7日の青森県弘前市の最低気温はマイナス3度(-3 ℃)、積雪は32センチ(32 cm)です。




雪景色は好きですが、急に降り積もり過ぎですね。
雪かきを頑張ります(><)

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【参考文献・サイト】
「疾病、傷害及び死因の統計分類」 第11章 消化器系の疾患(K00-K93)
www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/
疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(以下「ICD」と略)」とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。

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遺伝の詳細 東京女子医科大学付属 遺伝子医療センター
http://www.twmu.ac.jp/IMG/about-gene/details-gene.html

毛細血管抵抗試験 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E7%B4%B0%E8%A1%80%E7%AE%A1%E6%8A%B5%E6%8A%97
%E8%A9%A6%E9%A8%93

金沢大学 血液・呼吸器内科
http://www.3nai.jp/

1)歯科医師国家試験対策メモ~先天異常・発育異常のまとめ~
2)編集後記
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こんばんは。古舘 健です。

今日もご訪問いただき、ありがとうございます!!

前回は、ビスホスホネート内服患者の抜歯の際の注意事項についてお話ししましたね。現時点で明確なエビデンスはでていませんので、最新の情報は口腔外科学会やThe American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons(AAOMS)で入手して下さいね。

さて本日は歯科医師国家試験対策メモ「先天異常・発育異常」について一緒にまとめておきましょう!
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1)歯科医師国家試験対策メモ~先天異常・発育異常のまとめ~

国家試験が終わりしばらくすると、せっかく覚えたはずの知識がどんどんなくなっていきます。

実際、臨床に必要な知識と、歯科医師として覚えておかなければならない知識とのギャップなのでしょうか。

せっかく時間と労力をかけて覚えた知識です。まだ国家試験対策の記憶があるうちに、知識を整理しておくことをオススメします。

では早速、いきましょう。

先天異常・発育異常とはなんでしたっけ?

まずは先天異常・発育異常を定義しましょう。

ここでは、下記のように定義します。

先天異常とは、胎生期に生じた形態的・機能的異常のこと。
発育異常とは、出生後、成長発育に伴い明らかになった異常のこと。

このように疾患を定義しておくことは、疾患についての理解を深める上で私は大切だと私は思います。また、試験勉強では、同じ分野の過去問を数年分解くよりも、その分野をA4、1枚にまとめた方が効率的です。

なぜなら、過去問と全く同じ問題は二度と出題されませんので、関連知識を深く学んでおいた方が、様々な切り口の問題にも対応できると思うからです。個人的な意見ですが、今後の参考にしていただければ嬉しいです。

それでは、歯科医師国家試験出題基準を見てみましょう。

歯科医師国家試験出題基準(平成26年版)厚生労働省医政局歯科保健課によると、歯科医学各論の各論Ⅱ成長発育に関連した疾患・病態は約19%出題されます。

各論Ⅱ成長発育に関連した疾患・病態の大項目は、下記の6つです。

1 歯・口腔・顎・顔面の発育を障害する先天異常

2 顎口腔領域の発育異常

3 歯の異常

4 歯・口腔・顎疾患

5 歯の外傷

6 歯列・咬合異常の予防

この中で、「1 歯・口腔・顎・顔面の発育を障害する先天異常」の中項目を抜きだし、それぞれの特徴をまとめておきます!勉強や復習する時の参考にしてみてください。

自分が勉強したことを余白に書き込んでいってもいくのもオススメです!

ア 口唇・口蓋裂
胎生8週までの胎芽期における発育異常。
Calnanの3徴:粘膜下口蓋裂(不完全口蓋裂)、口蓋垂裂、硬口蓋後端の骨欠損
アジア人600人に1人、口蓋裂単独のみ女が多い(口蓋突起拳上時期が女は遅いため)
口唇裂・唇顎口蓋裂は片側で左が多い。
一次手術:口唇形成術は生後3~5ヶ月、口蓋形成術は生後1歳6ヶ月
3つの障害:鼻咽腔閉鎖不全(口蓋帆挙筋)による口蓋裂言語(開鼻声と伴う構音異常)、不正咬合と顎顔面変形、口蓋の残遺孔(鼻口蓋瘻)

イ 顔面裂

ウ 鎖骨頭蓋骨異形成症
常染色体優性遺伝
鎖骨の形成不全、頭蓋骨縫合骨化遅延、歯の萌出遅延

エ 骨形成不全症

オ Treacher Collins症候群(下顎顔面異骨症:Mandibulofacial dysostosis, 別名はフランチェスケッティ症候群:Franceschetti-Klein症候群)
*第一・第二鰓弓由来器官(耳と下顎部)の形成不全

カ Crouzon症候群(頭蓋顔面異骨症)
常染色体優性遺伝
胎生期における頭蓋縫合骨性癒合

キ Aprt症候群(尖頭合指症)

ク 軟骨無形成症

サ 第一第二鰓弓症候群(眼耳脊椎異形成症:Oculo-auriculo-vertebral spectrum)
+眼球上類皮種=Goldenar症候群
*片側の発育異常→片側顔面矮小症(Hemifacial microsomia)

シ Tuner症候群
低身長、性腺機能不全、外表奇形(翼状頸、外反肘)の3主徴とする女の先天異常(X染色体異常)

ス Beckwith-Wiedemann症候群(EMG症候群)
常染色体優性遺伝
Exomphalos(臍帯ヘルニア)-Macroglossia(巨舌症)-Gigantism(巨人症)症候群

セ Robinシークエンス(Pieere Robin症候群)
*胎生9週以前の下顎の発生における異常→先天性小下顎

ソ エナメル質形成不全

タ 象牙質形成不全症

チ 象牙質異形成症

ツ 先天性表皮水泡症

テ 先天性外胚葉形成不全(先天性外胚葉異形成症)

ト 先天性色素失調症

ナ 低フォスファターゼ症

ニ Papillon-Lefevre症候群
常染色体劣性遺伝
手掌、足蹠角化症、重度歯周病。

ヌ 先天性好中球機能不全症

ネ Down症候群(21トリソミー症候群、21トリソミー)

ノ Klinefelter症候群
四肢細長、思春期来発遅延、精巣委縮を主徴とする男の先天異常(X染色体異常)

ハ 18トリソミー症候群(Edwards症候群)

ヒ 猫鳴き症候群(5p-症候群)

フ その他の先天異常・遺伝性疾患

Marfan症候群
骨格(四肢細長)、眼、心血管、口腔内(高口蓋、歯列狭窄)

Silver-Russell症候群(Russell-Silver症候群)
カフェオレ斑、小人症、顔面骨の発育不全

Peutz-Jeghers症候群
常染色体劣性遺伝
カフェオレ斑、消化管多発ポリープ

Gardner症候群
常染色体優性遺伝
多発性大腸ポリポ-シス、多発性骨腫、軟組織腫瘍

Gorin症候群(基底細胞母斑症候群、Gorin and Goltz症候群)
顎骨に多発する角化嚢胞性歯原性腫瘍、2分肋骨、異所性骨化(大脳鎌)
  
いかがでしたか。
国家試験の勉強で必至に勉強した知識も少しずつ失われていきます。
これを機会に復習しておいてくださいね。


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2)編集後記
青森は夜がめっきり冷える季節となりました。
冬に備えて、タイヤ交換をしてきました。

タイヤを取りに実家に戻ると、父が手料理を作ってくれました。




父の作ってくれた馬肉鍋を食べながらの一杯はたまらなく美味かったです!
母の料理もとても美味しいのですが、父の料理はまた違った意味で最高でした。



自分も手料理ができる男になりたいです!!

今週も頑張っていきましょう!!


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【参考文献・サイト】
「疾病、傷害及び死因の統計分類」 第11章 消化器系の疾患(K00-K93)
www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/
疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(以下「ICD」と略)」とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。

カラーアトラス サクシンクト口腔外科学 第2版 学院書院

第1・第2鰓弓症候群 - 日本形成外科学会
http://www.jsprs.or.jp/member/disease/congenital_anomaly/congenital_anomaly_10.html

Turner 症候群(PDF 268kB) - 日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/PDF/61/6111-573.pdf

Papillon-Lefevre症候群 - OralStudio
www.oralstudio.net/stepup/jisho/sakuin/E3838F/00707_06.php

Russell-Silver症候群 - OralStudio
http://www.oralstudio.net/stepup/jisho/sakuin/EFBCB2/40199_03.php

Gardner症候群 - OralStudio
http://www.oralstudio.net/stepup/jisho/sakuin/E382AB/00357_02.php

難病情報センター | クラインフェルター症候群(KS)(平成21年度)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/639

(3) Peutz-Jeghers 症候群 - 日本メディカルセンター
http://www.nmckk.jp/pdf.php?mode=puball&category=CLGA&vol=23&no=9&d1=3&d2=3&d3=0

1)ビスホスホネート内服患者の抜歯の際の注意
2)編集後記

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おはようございます。古舘 健です。

今日もご訪問いただき、ありがとうございます!!

前回は、骨粗鬆症とはどんな病気なのか。主治医に頼診の手紙とMRONJ発症のリスクに対して、インフォームドコンセントについてお話ししましたね。

さて本日は「ビスホスホネート内服患者の抜歯の際の注意」について一緒に考えていきましょう!

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1)ビスホスホネート内服患者の抜歯の際の注意

現時点で明確なエビデンスはでていませんが、観血的処置の際は、個人的に以下のようにしています。

口腔外科学会The American Association of Oral and Maxillofacial SurgeonsAAOMS HPや関連する文献で最新の情報を参照してくださいね。


1)術前1日前もしくは2日前から予防的抗菌薬の投与を考慮する。
*患者の病態とリスクファクターの有無によって判断する。


2)処置の直前ポピドンヨード(イソジン)で含漱をする。

3)最小限の粘膜骨膜弁を形成し、愛護的に抜歯を行う。

4)抜歯窩の感染性肉芽組織を掻把する。

5)抜歯窩の骨鋭縁を骨整形し、生理食塩水で十分に洗浄する。

6)抜歯後の骨露出をなくすため、骨膜に減張切開を加え、完全閉創する。

7)処置の直後にポピドンヨード(イソジン)で含漱をする。

術後の創傷治癒期間中は十分な予防的抗菌薬の投与を行い、術後2ヶ月間は、1日2回ポピドンヨード(イソジン)で含漱を指導しましょう。

*米国のポピドンヨード(イソジン)ではなく、ポジションペーパーではクロルヘキシジン含有洗口液が推奨されています。

いかがでしょうか。

ポイントは、2つです。
1つは感染源となる感性性肉芽組織を残さないことです。
もう1つは治癒を促進させるため、完全閉創することです。

最後に日本国内で販売されているBP系製剤:一般名(製 品 名)を覚えておきましょう。

〈経口〉
●エチドロン酸(ダイドロネル)

●アレンドロン酸(フォサマック・ボナロン)

●リセドロン酸(ベネット・アクトネル)

〈注射〉
●パミドロン酸(アレディア)

●アレンドロン酸(オンクラスト・テイロック)

●インカドロン酸(ビスフォナール)

●ゾレドロン酸(ゾメタ)

BP製剤以外に注意すべき薬剤:一般名(製 品 名)にも一度、目を通しておきましょう
●デノスマブ(プラリア・ランマーク)RANKLを標的としたヒト型モノクローナル抗体製剤、分子標的治療薬(皮下注)。

●スニチニブ(スーテント)消化管間質腫瘍(GIST)と腎臓がんを対象とした抗がん剤。

●ソラフェニブ(ネクサバール)腎臓がんを対象とした抗がん剤。

●ベバシズマブ(アバスチン)血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の働きを阻害する。他の抗がん剤と併用する。

●シロリムス(ラパマイシン)免疫抑制剤。哺乳類ラパマイシン標的蛋白質/mammalian target of rapamycinの阻害。

しつこいかもしれませんが、一番大切なのは術前、術後の口腔管理です。そのことを念頭においてくださいね!


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2)編集後記

宇都宮で開催された小児口腔外科学会に参加してきました。





小児口腔外科学会は弘前大学の木村教授が理事長をされています。

 

学会では、小児の発達発育や小児の口腔に特有の疾患について学ぶことができました。

 

今回、私は20041月から201312月に当科で加療した1438人小児患者10年間の統計を発表させていただきました。



 

もちろん!餃子をたくさん食べてきましたよ(^0^)!



 

I had attended a medical conference under the Japanese Society of Pediatric Oral and Maxillofacial Surgery in Utunomiya, Tochigi, Japan.

My professor Dr. Kimura is the chairman in this Society.

 

I learned about the developmental stage of a child and pediatric diseases in the oral and maxillofacial region.

 

I performed a presentation about a clinical study which is analyzing pediatric patients with oral and maxillofacial diseases over the past ten years. From January 2004 to December 2013, there are a total number of 1438 child patients with oral and maxillofacial diseases in our department.

 

Of course, I had many Gyouzas which are popular food in Utunomiya. Those were delicious!!


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【参考サイト】

抗がん剤の種類と副作用

http://www.anticancer-drug.net/

 

ラパマイシン - Wikipedia

ja.wikipedia.org/wiki/ラパマイシン

 

Position Paper - The American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons

Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw 2014 Update

http://www.aaoms.org/docs/position_papers/mronj_position_paper.pdf?pdf=MRONJ-Position-Paper

 

ビスホスホネート系製剤と顎骨壊死ー口腔外科学会

http://www.jsoms.or.jp/pdf2/bone_bisphos.pdf

 

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー(改訂追補2012年版)

http://jsbmr.umin.jp/guide/pdf/bronjpositionpaper2012.pdf