先日、山種美術館に友人と行った。
上村松園の絵をたくさん公開していた。
日本画展で、様々な作家の絵の間にあるのと違って、特集となると、連続して同じ人の絵を見るから、
この人はこういう絵、というのがすごく頭に入る。
上村松園の絵の、女性の指先の柔らかさ、ほんのりついた色・・・
毛髪一本一本、筆で描いているっていうのは知られているが、自分には指先がとても印象に残った。
無地の上に、白い柄を入れた襟元など、明るい色に、白を載せるのではなく、ないところに白を入れるというところも、
細かいところにまで行き届いているのを感じさせる。
牡丹雪という作品の、降り出した大粒の雪のほわっとしつつも重さのある形、まばらに空気中に舞う間隔も、絶妙。
縦の掛け軸の絵の中に丁度納まる、暖簾の向こうに立つ女性像など、画面の使い方の斬新さ。
団扇を立体的に目立たせるべったりとした濃い華やかな色。
色使いグラデーションの幅の広いこと。
眉毛に非常にこだわっているのは、納得。だって、眉毛で本当に変わるから。イメージが。
上村松園は、見た人の心が美しくなるほどの究極に美しい美人画を描こうとしていた。
絵に、描く人の心が出る、どういう人かが出る、だから芸術家の心は清くないといけないとし、
かつ、心が汚れた人が見ているうちに心が浄化されるような美しい絵を描きたいと志した。
ものすごい決意と集中力、愛を感じる絵。
そのあと見た絵の中には、なんだか雑だったり、どこまで気持ちが届いているか見て分かるような画があった。
比較してみて、余計に、上村松園の絵の凄さがわかった。
当時、女性ということで嫌がらせも結構受けたらしいが、自分の意思を貫いて、強く生きた上村松園。
優しい美しい絵から、確かに生き方が伝わってくる気がした。