2020年2月22日土曜日

不図 冬眠を

冬眠しない羆ひぐまが出没するニュースが今冬始めにあった。
冬は、雪に覆われて餌を得ることが困難になる。
冬眠しないということは、エサがあるということ。
ニュースでは、少雪の影響?と書いていた。

クロカンスキーで走っていてふと思う。
冬眠するということは、体温が下がるってこと。
どのくらいの体温になるのだろう?
冬眠についてウォッチしてみた。

寄り道
ふと思うのふととは?
不図と書くのだそうな。
反語は、意図。

これも余り道
北海道に棲む熊は、ひぐま。
緋色の毛になることから緋熊と表現することもある。
江戸時代に北海道のくまをひぐまと呼び本州の熊と区別した。
はひふへほの発音が苦手な江戸っ子がひぐまをシグマと言い、
それなら熊の上に四:しを乗せちまおうか。
で羆となった。
とは、私めの勝手な解釈。


手袋の兎


















ウッチしてみて驚く。
巨大になる
その大きさの計り方には体長と体高がある。
そして体重。

2015年9月紋別市
メタボ体質の羆
コーン畑荒らしの羆画像リンク
体長190cm
体重400kg

メタボ体質の羆
夜間デントコーン畑で食事をして明るくなると寝倉で休む。
畑でそのまま寝てしまう横着にしてかつ大胆な奴もいるそうな。
なるほどメタボ羆が出来上がるはず。
500kg超えの北海太郎と名付けられた巨大なのもいたそうな。
冬眠に備えて自らの身体にエネルギーをため込む熊たち。
その容量は、体重の3割程度という。
すると北海太郎の皮下脂肪は、150kgもあったの?

冬眠してもエネルギーは、要る。
そのエネルギー供給は、二つのタイプがある。
貯食タイプ・脂肪蓄積タイプ。

冬眠の体温。
恒温動物と変温動物がいる。
小学校で習ったなぁと感慨。
どんな違いがあるのだろう?
恒温動物、変温動物という概念は間違いだとWikipediaには書いてある。

要は、外気温を利用する種と
自身で温度を発生させて体温を維持させる種があるということのようだ。

自身で体温を発生維持する種であっても睡眠しているときは体温が下がる。
人の睡眠では、1.5度C~2度Cの低下がある。

冬眠させる方法が研究されている。
宇宙の移動や病気の治療に役立てようという。
冬眠する多数の霊長類がある。
彼等と人間との遺伝子は、97%が同一であるらしい。
依って人間にも冬眠する能力がある、とも考えられている。

実際に近年日本で起きた事故。
山で転倒遭難、24日間後に救助された例。
男性35歳
2006年10月神戸の六甲山。
事故発生10月7日 崖から転倒落下
発見10月31日 仮死状態で救助

転落の二日後9日から31日の間は、失神で給水も給食もしていない。
発見時の体温は、22度Cの極度の低体温。
無論ほとんどの臓器が停止状態。
12月19日退院
養生で社会復帰、後遺症はなし。

他の動物の冬眠体温
シマリス
活動時体温 37度C平均。
冬眠時最低体温 5度C。
リスは、貯食。
で時々目覚める。
5度Cから37度Cに行ったり来たりと忙しい。
が、睡眠をするために冬眠状態から覚醒させることもあるそうな。
とすれば冬眠は、睡眠ではないことになる。

クロカンスキーのコースでは、たまにエゾリスとの遭遇がある。
こやつらも冬眠したり覚醒したりを繰り返している?
と思いきやこの種は、冬眠しないのだそうな。


活動時体温 37度C~39度C
冬眠時体温 31度C~35度C 
比較的小さな月の輪熊から大きなひぐま類まで
思ったよりも体温を下げていない。
その分エネルギー消費が多くなる。
体重の3割を超える皮下脂肪がそのエネルギーを賄っている。
春になるとガリガリのスリムに変身。
ため込んだ脂肪分だけでなく膀胱内の尿からたんぱく質を再利用する機能もあるそうな。

冬眠状態の心臓運動調節。
活動している、いないでの大きな違いは心臓の動き。
体内への血液の量を極端に減らして
臓器や筋肉の活動を低下させ消費エネルギーを落とす。

その心臓活動に関係しているのはCaだという。
通常は、カルシウムが多量に送り込まれて筋肉が収縮。
そして弛緩するときは、Caの流入が止められる。
これをイオンチャンネルという。

冬眠に入るとイオンチャンネルが閉じられたままになる。
しかし、冬眠は死ではない。
極端な低体温であっても心臓は、極緩やかに活動している。
冬眠用は、イオンチャンネルが別誂えされている。
それにより体の機能が衰えずに維持されるという不思議が行われている。

哺乳類の冬眠
分子から生体への展開を探る
と題した論文があった。
発表人 関島 恒夫 ・原 範和 ・大津 敬 ・近藤 宣昭
所属
新潟大学大学院自然科学研究科
神奈川ガンセンター
三菱化学生命科学研究所

冬眠特異的たんぱく質:Hibernation-specific proteins:HPの存在。
冬眠への切り替えを行う指令を出すたんぱく質。

尚、変温動物の中には、氷点下でも生命を維持できる種がある。
北極地リスは、マイナス2度Cまで体温を下げることが出来る。

細胞水分が凍結すると生きていけない。
その時に不凍液を体内で生成する。
凍結耐性という特異な術を使える。
水底や土中で0度C以下にならないところを選んで
冬眠するのだろうと思っていたが
それでも氷点下になる場合も有るってことか。

もう一つ驚く冬眠の仕組みがある。
骨や筋肉低下防止。
5~7ケ月間冬眠する熊。
それだけ安静にしていると、筋肉や骨が衰ないのだろうか?
だが、それがない。
そうしたことも含めて研究が勧められ
人も冬眠を自由に手に入れられる時がくる可能性がある。
その使用方法に議論が交わされることになるだろう。
いずれ権力者と金持ちの延命に役立つのだろうことは察しがつく。

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