緑のカーテンとゴルわんこ

愛犬ラム(ゴールデンレトリバー)との日々のあれこれと自然や植物、
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「マイ・ディアミスター 私のおじさん」

2020年09月06日 | 韓国ドラマ

コロナウイルスの感染拡大と比例するように、私の韓国ドラマ視聴の割合が広がっています。

外出できない自粛生活が続き、ネットフリックスでの韓国ドラマ視聴が止まらなくなってきました。

社会現象的になっている評判のドラマ「愛の不時着」に始まり、こてこて復讐ドラマ「梨泰院クラス」へと突入して、続いて「マイ・ディアミスター 私のおじさん」とドラマ視聴が続いています。

「愛の不時着」の北朝鮮の中尉役だったヒョンビン・ロスから、今はなんと『おじさんロス』、こちらのほうがヒョンビン・ロスより重症な感じがします。

「私のおじさん」の魅力を一言で説明するのは難しいのですが、全16話を見終わってまず思うのは、後味がいいということでしょうか。

韓国ドラマに特有なハラハラドキドキさせる場面もあることもあるのですが、とってもしっとりして穏やかな雰囲気の作品でした。大事に大事にしておきたい小さな宝物を見せてもらったような思いです。

大手建設会社で建物の構造診断の仕事をしている40代の男性パク・ドンフン(映画「パラサイト 半地下の家族」で金持ち社長をやったイ・ソンギュンが渋い声を生かして演じています)は、男三人兄弟の真ん中、次男坊です。長男は人はいいのですが、勤めていた会社でリストラされ無職になり、幼馴染の奥さんからは離婚を迫られています。三男坊はかつて期待された新進映画監督だったのに、ある大根役者の新人女優を起用したことをきっかけで仕事をほされ、今は母親のもとで無為無職の生活をしています。三人もの息子を女手一人で育て上げ、大学まで出してあげたのに、今収入のあるのは結婚した次男坊一人、出戻ってきた長男と仕事のない三男坊、40男が二人も家で働きもせずごろごろしているのに母親は「この高学歴のバカ息子たち」と愚痴をこぼしています。

一家の唯一の稼ぎ頭、一流企業で部長になっている次男坊のドンフンは、奥さんは美人の弁護士、息子はアメリカ留学中と恵まれた境遇のはずなのに、なぜかあまり幸せそうに見えません。重い心と体を奮い立たせ、やっと会社のデスクについている様子です。もともとは建築設計の優秀な社員だったのに、新しい若い社長が大学の後輩、なにかと仕事がやりづらくなり、左遷されて構造診断3チームの部長に収まっているのです。独立したい思いがあれど、収入のない兄弟たち、年老いた母親、自分の勝手はできない環境です。

そんなドンフンがある事件に巻き込まれます。ある日、差出人不明の荷物が届き、開けてみると心当たりのない5000万ウォンの商品券、びっくりして思わずデスクの引き出しにしまってしまいます。その様子を見ていたのが、派遣社員のイ・ジアン(アイドル歌手のIUがノーメークで好演しています)、そのことをきっかけに上司であるドンフンと悲惨な境遇で笑顔を忘れている派遣社員のジアンとの不思議な付き合いが始まります。「黙っていることを条件で、一か月間私に夕飯をおごって」というジアンの申し出に従うドンフンです。

ジアンは、耳の不自由な祖母との二人暮らし、介護施設に入っていた祖母を費用が払えず自分のアパートに連れ帰ります。親はなく、頼る相手はだれもいないジアン、二十歳そこそこの若さなのに、年齢を聞かれると「3万歳」と答えています。それくらい大変な思いをして暮らしてきたジアンは、ある意味ドンフンより大人なのかもしれません。

ドンフンに「世界でいちばんかわいそうな子」と言われるジアン、背負っている傷は誰にも癒すことができないほどのものですが、ドンフンとその周りの人々と触れ合ううちに少しずつ心の氷が解けていきます。

ドンフンは5000万ウォンの商品券送付事件から、意図せずに社内の権力闘争に巻き込まれていきます。大学の後輩なのに社長の権威を振り回す嫌味な若社長役を、なんと「愛の不時着」の北朝鮮の盗聴屋、耳野郎ことキム・ヨンミンが演じています。

このドラマでは、「愛の不時着」と同様に盗聴という行為がすごく大きな意味を持っています。そして、聞こえない祖母がいる孫でもあるジアンはその使える聴力を自分を守る武器にして、最大限に利用してスマホアプリによる盗聴を続けます。

また、このドラマでは、家族のつながりもとても大きな意味をもっています。ドンフン三兄弟とその母親との関係、ジアンと聞こえない祖母との関係、時には温かいだけではなく自分を縛る錘にもなる家族、「こんな三兄弟はもう嫌なんだ」と嘆く末っ子三男坊の言葉にも実感がわきます。

ドンフンの人柄の良さや優しさを知ったジアンの祖母が、手話でジアンに語り掛ける場面が秀逸です。韓国の手話は、日本の手話とすごく似ているので、ほとんど私でも読み取れます。日本が朝鮮を占領していた時代に、日本式の教育で聾学校も作ったのでこんなにも手話が似ているのでしょうか。

ドンフンのようないい人との縁がつながったことに感謝し、自分が幸せになることがその人への恩返しになるのだと孫娘に語り掛けるお祖母さんの手話は温かく美しい手話でした。

最初はたんたんと静かに地味に始まったこのドラマは、途中から涙腺崩壊覚悟の感動作になり、語り掛けられる言葉の一つひとつが深い意味を持ち、見る者の心に響いてきました。

三兄弟も素晴らしいし、ソウル市内の架空の街である後渓(フゲ)に住む人たちがみな優しくて暖かくて、実際に会いに行きたくなりました。みんなと一緒に飲んだり、食べたりしたくなりました。チャミスル、飲みたい‼ そして、あなたたちみんなは、私の思い出だ!

それにしても、イ・ソンギュンの素晴らしい声、まさにキラーボイスです。ジアンではないけど、「おじさんの声が好きです」と言いたくなりました。アジョシ、チェゴ💛


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