グロリア(1980)  監督:ジョン・カサヴェテス 主演:ジーナ・ローランズ

マフィアに命を狙われる少年フィルとグロリア

 

シェーン死亡説に続き、グロリア死亡説について。

グロリアは1980年代にテレビの洋画劇場で観たのが最初で、その時は気付かなかったけど、何やら違和感を感じた。何故か悲しいハッピーエンドだなと思ったな。

10年程前DVDを購入し再見して、当時感じた違和感の正体に気付いた。

ラストはマッチ売りの少女と同じだと思った。キーワードはマッチではなくタクシーだけど。

二人は生きて再会を果たせなかった。

意味ありげなシーンや伏線に気付かない或いは無視すれば二人が生きて再会したという解釈も成り立つ。

 

組織に命を狙われた二人にとってこの世に安住の地など無い。

 

 

ラストシーンへの伏線

 

100ドル札数十枚をフィルに渡し靴下に隠すように言うグロリア。 伏線

 

グロリアの乗ったエレベーターが上から銃撃される。とても助かるとは思えない。

エレベーターがゆっくり下降していく。棺が埋葬されるのをイメージさせる。グロリアの死を暗示している。

これはシェーン(1953)での1コマ 埋葬シーン。このイメージ。

 

伏線の回収

 


フィルが祈りを捧げている時、エンジンを掛け動き出すタクシーをカメラが捉える。

 


フィルの目の前を通り走り去るタクシーをカメラが追い続ける。

 

待つように指示したタクシーがフィルを置き去りにする。それをただ黙って見送るフィル。睨み付けている様に見える。

ここからは完全にフィルの夢の世界

何かに気付き振り返るフィル

 

1台の黒いリムジンが現れ人が降りてくる。

 

喪服を着た老婦人の正体は死んだと思われたグロリアであった。

驚きの表情でグロリアを見つめホッとして涙を流すフィル。

グロリアの元へ駆けて行くフィル。ここからずっとスローモーション。

現実の出来事ではないという表現方法。

 

再会を喜び抱擁する二人。

 

グロリアの帽子とカツラを取って投げ捨てるフィル。

画面下方に暗幕が現れる。

そこに下から上へとエンドロールが流れ始める。BGMが悲痛な曲調に変わる。

暫くすると暗幕が上がって行き抱擁する二人の姿が下から消えていく。

フィルの意識が薄れて行くのを表現している。

やがて二人の姿が完全に消える。観客はフィルの命が燃え尽きる瞬間を目撃したのである。

 

名作です。

 

 

グロリアとフィルはマフィアに命を狙われている訳だけど、グロリアがエレベーターで射殺されたのは誰でもわかる。

ではフィルは?ピッツバーグ駅で声を掛けてきた男がマフィアの可能性はあるが、伏線からしてタクシー運転手に殺されたと考えるのが妥当。大した意味も無くタクシーをカメラが映し続ける事など一流監督の映画としてありえないのだから。

グロリアはフィルに「子供が大金を持っているのを知られたらお金だけではなく命まで奪われる。殺されて盗まれるんだ。」ともっときつく言うべきだった。フィルはグロリアの真似をして金を見せてタクシーを待たせる。タクシー運転手に金を奪われるなどと想像もしないのだろう。

墓地で墓を探すフィルの姿は彷徨う魂のようだ。

祈りを捧げている時にフィルは襲われ、薄れゆく意識の中でエンジンを掛け動き出すタクシーの音を聞く。自分を置き去りにして行くタクシーをただ黙って見送る事しかできない。実際にはフィルの目にはもう何も見えてはいないだろう。

たった一人で墓地に取り残され心細い、グロリアに会いたい、遠ざかるタクシーの音から連想されたリムジンが現れ中からグロリアが登場する。グロリアと抱擁を交わし安心感に包まれたままフィルは息絶える。

 

・死んだと思われた主人公がその後無傷で登場しその事に対し一切言及されぬまま映画が終わるなどありえない。

生きていたとすればどうやってここまで来れたのかという説明が必要。それが幻であれば言及する必要は無い訳だ。

・二人は何度もタクシーに乗り助けられるが最後はタクシーによって命を奪われる。しかし走り去るタクシーの音を媒介としてグロリアと再会する。最後のタクシーは、タクシードライバー(1976)で主人公トラヴィスが乗るオーソドックスなイエローキャブというところがまたいい。タクシーが重要な役割を果たしていると印象付けるのに一役買っている。

・グロリアがエレベーターで射殺されたのは誰でもわかる。と書いたが今の観客は、エレベーターが1階に到着しドアが開くとグロリアが血まみれで倒れている姿でも見せないと納得できないのかもしれない。
 

 

カサヴェテス監督といえばシネフィル御用達。しかし、彼らのグロリアの評価は不当に低い。

曰く、カサヴェテスの商業映画。ラストのスローモーションが抒情的すぎる。BGMが過剰。取って付けた様なハッピーエンド。

夢の中で走るとスローモーションになるというベタな演出、BGMで単なるハッピーエンドではないと感じさせ、グロリアがおばあさんに扮する事でマッチ売りの少女と同じだとヒントを与えているのに彼らは全く気付かないのである。

カサヴェテスも草葉の陰で泣いているだろう。いや寧ろほくそ笑んでいるかな。

 

若い人は、レオン(1994)の元ネタという程度の認識しかないだろうが、リメイク版のグロリア(1999)と間違えないようにして欲しいね。

シャロン・ストーンがグロリアを演じたかったのは分かるが、シドニー・ルメットが監督であれはない。まさかとは思うが二人ともオリジナルを理解出来て無かったのかね?

小手先の変更をしてもオリジナルを越えられないのは分かっているのだから、あえてオリジナルに忠実にして、エンドロール後にワンシーン付け足す。

抱擁する二人~エンドロール~墓の前で倒れている少年の姿が映し出される。その表情は穏やかな笑みを湛えていた。 THE END

グロリアのラストはマッチ売りの少女のラストと同じであるとリメイク版で明かせばよかったのに。

こんな傑作が正しく理解されず埋もれてしまって良い訳がない。

 

フィル役の子の演技力を問題視する声があるけれど全く問題ない。あれでいい。

ラストシーンで、フィルがカメラを見るんだよね。意図せず見てしまったんだろうけど、DVDで再見してその表情を見た時、スゴイなと思った。 

というのは何度も言うようだけどマッチ売りの少女と同じ幕切れ、少女はおばあさんに抱き上げられ天に昇っていく。翌朝、少女は冷たくなって発見される。読者には分かっているけれど、少女は自分が死ぬとは思っていない。

ところがフィルは「わかってる。これは夢なんだ。ぼくはもうすぐ死ぬ。ちゃんとわかってるよ。」と俺に目で訴えかけてきたんだよ。スゴイでしょ?

で、もう一度見直してみたら・・・そうでもなかった(^^;

 

それはともかくこれを超えるラストシーンはそうそう無い。

稀代の名作と言っていいと思う。

 

 

 

 

 

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許されざる者(1992)

クリント・イーストウッドの許されざる者(1992)はシェーン(1953)のその後のようにも思える。

怪我の手当てもせず去って行ったガンファイターは行き倒れになる。偶然そこを通りかかった若く美しい娘に助けられる。二度と拳銃を使わないと誓った男はやがてその娘と結婚し二人の子供に恵まれるが、幼い子供を残し妻は先立ってしまう・・・。

ちなみに、ウィリアム・マニー(クリント・イーストウッド)の息子ウィリアム・マニーJr役の男の子の名はシェーン・メイア(Shane Meier)・・・シェーンの名を持つ少年。・・・オーディションにて、「シェーン・メイアです。よろしくお願いします」 イーストウッド「君が俺の息子だ。よろしくシェーン」 なんてやり取りがあったかもしれない・・・と妄想するのであった。

ジーン・ハックマン、リチャード・ハリス夢の競演。

クリント・イーストウッドも含め3人とも1930年生まれ。

 

 

 

シェーン(1953)、真昼の決闘(1952)の主人公が、殺しが静かにやって来る(1968)の主人公と同じ運命を辿ったとしたら・・・。

 

ペイルライダー(1985)は、シェーン(1953)のifの世界。 

もし、ライカーの手下が待ち構えていて一斉射撃されていたとしたら・・・。

亡霊となったガンファイターが街へ戻り復讐を遂げ去って行く。

 

荒野のストレンジャー(1972)は、真昼の決闘(1952)のifの世界。

もし、孤立無援の保安官がならず者に嬲り殺しにされていたとしたら・・・。

亡霊となった保安官が街へ戻り復讐を遂げ去って行く。


・・・クリント・イーストウッド恐るべし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Shane(1953)  

昔ポスター等でよく使われていた写真

 

シェーン死亡説というデタラメが広まったのは、交渉人(1998)の劇中でシェーン死亡説が語られた事で多くの映画ファンの知るところとなり、インターネットの時代になってシェーン死亡説を真に受けた人たちがブログやレビューサイトに書き込んだ為に更に広まって現在に至ると。

ただし、それ以前、劇場公開当時から一部の映画ファンの間ではシェーン死亡説が囁かれていたらしい。しかし、映画を観る限りに於いてはシェーンが死ぬとは感じられない。何故シェーンが死ぬと思ったのか?原作を読んだんだろうな。原作ではシェーンは腹を撃たれて去って行き生死は不明。

では当時原作を読む事ができたのか?シェーンの日本公開が1953年10月、原作の日本語版が早川書房から出版されたのが1953年9月。
原作と映画は別物であるという事は映画ファンなら当然分かっているので「原作では」と言ったところで、「それは原作でしょ?」で終わり。シェーン死亡説が信じられる事はない。あくまでも原作ではという但し書き付きでしか語られない。

つまり、原作を読んだ人が意図的かどうかはともかく原作を読んだとは言わずに「シェーンは死ぬのではないかと思う」と言ったんだろう。そしてその場に原作を読んだ人が他にいなかった。

映画ではシェーンが撃たれる部位を腹から左腕に変更してあるにも関わらずそれに気付いた人が殆どいないというのが全て。

それは作り手のせいではなく日本の観客に鑑賞力が無かったからだ。

ウィキペディア日本語版「シェーン」では、2019年1月31日現在『しかし、シェーンもまた脇腹を撃たれていた。』などと書かれている。

英語版では、腹を撃たれていた等というデタラメな記述はない。 

 

映画会社は基本的にヒーローである主人公を死なせたくはないんだよ。

それにシェーンには死ぬ必然性がない。ただその場を去ればいいだけだ。

映画を観ただけでもシェーンが死なないのは分かるが、原作と比べれば制作者の意図は明白だ。

馬に跨ったシェーンがジョーイの頭を撫でているポスターなどにも使われた有名なシーン。実は原作には存在しない。

原作では頭を撫でようと手を伸ばした瞬間、撃たれた腹に激痛が走りその手で腹を押さえる。

映画化するにあたり作り手はシェーンにジョーイの頭を撫でさせたかったんだろう。

シェーンが撃たれる部位を腹から腕に変更することでその必然性を持たせた。

シェーンが撃たれたのが左腕でありジョーイの頭を力強く撫でる事で命にかかわるような怪我ではないという事をジョーイに理解させ観客にも伝えている訳だよ。

@シェーンが撃たれたのは左腕。 だからシェーン死亡説はデタラメ@

これだけ言えば終わる話なんだけどね。

 

結局、シェーン死亡説というデタラメが広まってしまったのは日本にはまともな鑑賞力を持った映画評論家がいなかったという事だね。

 

 

 

4コマ映画 ライカー君とシェーン君

これでも喰らえ!

ヒョイっと避ける

パカ~ン!

あっ!!

 

 

 

 

 

 

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シェーン(1953)  監督:ジョージ・スティーヴンス 主演:アラン・ラッド

結論から先に言うと、シェーン死亡説はデタラメです。

シェーンは1970年代にテレビの洋画劇場で観たのが最初で、数回テレビで観ている程度。

シェーン死亡説を知ったのは今から約20年前、交渉人(1998)の劇中でケヴィン・スペイシー演ずる交渉人が「シェーンは最後に死ぬんだ」とかなんとか言うシーンがあり、そんな風に思った事はないが、そんなもんかな~と特にシェーンに対して思い入れがなかったので確認してみることは無かった。

昨年か一昨年だったかな?シェーン死ぬのか~ホントかな?と思いながら観てみたけれど、シェーンの死の暗示など一切ありませんでした。

 

シェーン死亡説の根拠とされるもの 

1.シェーンは決闘で撃たれている。

2.ジョーイ少年の必死の呼びかけに反応しなかった。

3.シェーンの左腕が力なくダラリ(ダラーン)と垂れ下がっている。

4.シェーンが最後にいる場所が墓地である。

 

1.どこを撃たれたかが問題で、殆どの人が気付いていないがシェーンが撃たれたのは左腕である。その左腕でジョーイの頭を力強く撫でている。したがって映画というものが分かっている人ならばシェーン死亡説がデタラメだという事が分かるはず。

 

ジョーイの頭を撫でようとするシェーン 

服の左腕部分に血の跡が付いている 

 

2.そもそも根拠にならない。別れは済んでいるのでシェーンは決して振り返ったりしない。

シェーンという人を理解出来ていないとは残念。

 

3.これに関しては、ほぼ10人中10人が腕がダラリ(ダラーン)としていたなどと言っているが、俺の目には左腕を庇っているようにしか見えない。乗馬姿勢からして到底死ぬとは思えない。

 

左腕を身体から離している 

しっかり馬を操っている

 

シェーン死亡説を知って再見した時、決闘シーンでどこを撃たれたのか分からず、このラストシーンを観てアラン・ラッドが左腕を庇っている演技をしているのが分かり、決闘シーンから見直してみるとラッドは左の肩辺りを撃たれた演技をしていた。そのあと注意深く観ていたらジョーイの頭を撫でようとしたシェーンの左腕の血痕に気付いたという流れです。

 

4.ガンマンの時代の終焉を表している。シェーンは墓地の向こうへ去って行くのであり、死に場所を求めて墓地へ行ったなどと考えるのは笑止。もっともシェーンが怪我の手当てもせず去って行くことからシェーンのガンマンとしての死と捉えることは可能。

 

シェーンとジョーイの会話シーン、ラストシーンのBGMを聴いてシェーンが死ぬと感じる人はいないだろう。

作り手がシェーンの死など意図していないのは明白。

シェーンが死ぬと感じるという人は感覚がおかしいか嘘つきかどちらかだ。

Low Down Yankee Liar. と言われても仕方ない。

 

 

 

 

 

 

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シェーン(1953)

シェーンは左手の薬指に指輪をしています。

左手薬指に指輪をしているという事は既婚者の証と考えてシェーンには実は妻がいる或いはかつていたと考える人がいるようです。

が、結論から言えば深読みのし過ぎです。映画を観る限りそのようには読み取れません。

この大きく目立つ指輪は結婚指輪には見えない。では何なのか?

当時、どんな役柄でも結婚指輪は外さないと誓っていたハリウッドスター(エリザベス・テイラー、ローレン・バコール等)がいたらしいです。

シェーン役のアラン・ラッドも結婚指輪をカバーするリングを作って付けていたというのが真相のようです。

 

スティーブ・マックイーンも結婚指輪をカバーするリングをしているのが幾つもの映画で確認できます。

マックイーンの絶対の危機(ピンチ)(1958) 


マックイーン初主演作でティーンエイジャー役

 

荒野の七人(1960)

 

大脱走(1963)

 

というわけで、シェーンの指輪の謎が解明されました。

 

次回は、シェーン死亡説について。

結論だけ先に書くとシェーン死亡説・・・デタラメです。指輪と同様 深読みし過ぎ

 

 

 

 

 

 

その2本とはシェーン(1953)とグロリア(1980)

理由は後日

 

シェーン(1953)

↑見せ場が全て映っているので、未見でネタバレネタバレ騒ぐ人は見ない方がいいかも。

全て昼間に撮影し夜のシーンはフィルムを暗く加工し夜に見せかける。予告編は加工前。

0:23~1:09は昼、それ以外は全て夜のシーンなので映画本編では暗く加工してある。

 

グロリア(1980)

鑑賞力が試される。未見の人はネタバレに触れる前に観るべき。

 

後日完全解説予定。

 

 

 

 

 

 

 

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