ギターアンプ修理の日々 | とれすけのブログ

とれすけのブログ

IT、Mac、音楽、ひとり旅、メイカーズ、その他ゆるゆると。
Slackでバンドサポート

 とうとうアンプに手を出してしまいました。今の環境ではまともに音を出せないのでギターアンプはあっても仕方がないと割り切っておりましたが、あるYouTubeの動画でフェンダーアンプの設定みたいなのをやっているのを見ていて、やはり実際に自分でいじれないと音作りが仕上がらないなと思ったのと、後々音の出せる環境になりそうなので、ヤフオクなどを見ておりました。

 

 そこで見つけたのがフェンダーのSideKick Tube 10Rというアンプ。もともとそんな大きなのを探してなかったので、せいぜい20Wクラスまでと思っていましたが、これは10Wながらプリアンプに真空管を使っており、3ボリューム、3トーンにリバーブまで付いているというなかなか使えそうなミニアンプです。残念ながらチャンネル切り替えまではないのですが、見た目もフェンダーらしいモデルで特段異常もなさそうなので、まずは第一候補。

 他にもフェンダーではSideKickシリーズで何台か出品されていて、価格も安いのですが、リバーブがなかったり、故障品だったりでどうしてもという感じにはなりません。やはりせっかくだからプリだけでもチューブの音が欲しいとなって、なんとかSideKick Tube 10R落札しました。

 

 さて、商品到着して試奏してみると、つまみ類はガリもなく、音もちゃんと出ます。ところが、せっかくのリバーブの効きが悪い。最大にしてようやくかかったかなという程度。元からこんなものなのか、フェンダーなのにリバーブがこんなにしょぼいのか、疑惑がムクムクと。

 

 それなりの汚れもあり、コンデンサー類も劣化の可能性はあります。まずは綺麗に拭き掃除、はずせるものははずして洗剤で洗います。スピーカーにはけっこうな埃。

 アンプユニットも取り外して、埃をはらいます。で、問題のリバーブユニット、はずしてみました。

 とりあえず配線は大丈夫。ゆらすと音がするので受け側は大丈夫そう。問題はドライバの方らしいとあたりはつけたのですが、回路的にはあまり問題はなさそう。ユニットまわりをアルコールで拭いていて、どうもコイルの巻きついているコア部分がサビサビらしいのを発見。

 このリバーブユニットはコイルが金属製の板を何枚も重ねたコア状のものに巻き付いていて、電流が流れて磁力が発生するとそのコアの中を通っているスプリングの端っこの磁石を振動させるという構造で、このコアが真っ赤に錆びついているので十分に動作しないように見えました。

 こうなるともうリバーブユニットも解体して金属板も全部洗浄します。磨きでは追いつかないので今回はクエン酸で洗浄して重曹で中和。でも濡れたままだとすぐ錆びついてきます。さらにピカールで磨いてサビは完全に落としました。

 ただ、薄い板なので曲がっちゃうんですね。コアがばらけていたら磁力も弱くなりそうなので、仕方なく結束バンドでまとめます。

 あとは、このコアを止めるビスの締め付け加減を、別なオーディオアンプにつないで鳴らしながら振動が最大になる点にします。

 受け側は形状もちょっと違うのですが、基本構造は同じなので、同じようにします。元どおりに組み立て直して完了です。

 

 さて、リバーブは直ったでしょうか。たしかに効果はありました。ただ、どうも完全ではないようです。ツマミを6くらいにしないとかかった感がないですね。最初よりはぜんぜんいいですが、ツインリバーブのイメージからは程遠い感じです。まあ、ユニットが小型ですからそもそもそんなにかかるものではないような気もしますが、ちょっと残念。

 

 真空管はこの12AX7というのが1本。エレハモですがロシア製ですね。12AX7というのもいくつか種類があって、管によって多少音が変わります。一応、このアンプはここまでで一旦作業終了。

 

 続いて登場するのがヤマハのギターアンプF-20です。ジャンク品が1,000円とかで出ていたので、思わず落札してしまいました。電源は入るが音が出ない、ノイズがでるという症状で、直せるかどうかはわかりませんが、ダメ元で落札してしまいました。

往年のヤマハのFシリーズ、本当は100Wとか使いたいですけど、さすがに大き過ぎますね。このF-20は20Wで、元々のFシリーズからはだいぶ経っての製品のようです。音色はちょっと違うというような記事もありました。ただね、ルックスです。あの今見るととてもダサく見えるあのルックスは、使った人だけが分かる哀愁を誘います。

 私がギターを始めた頃は近所のスタジオのアンプはヤマハのFシリーズでした。このアンプは今聞くと案外ウォームですが、とにかくフラットな音というイメージで、トーンコントロールもオーディオ感覚に近い感じでした。これに慣れてしまってからJCとか使うと音作りがかなりボロボロになります。少なくとも私はそれでした。今回あらためてアンプとして検証してみたいという欲望に駆られてしまった次第です。

 

 さて、到着したF-20、さっそく音出しを、と電源スイッチを入れた途端ブーーという結構な音が。ボリュームも何も効きません。これはかなりはずれです。音の感じからおそらく電源周りから電流がリークしているというのが見立てです。

 清掃ついでにアンプユニットを外してみます。

基板一枚の割合シンプルな構成です。コンデンサも特別膨らんだり液が漏れたりしてるのはなさそうなので、基板もはずしてみます。パターンも特段異常はありません。とりあえず接触が疑われるところはちょっと削ったり、ボリュームも付け替えたりして試しましたが、変化なく。

 ということで、作戦としては電源周りの大きな電解コンデンサ2つ、ブリッジダイオード、パワーアンプICを取り替えることに決定。一応電解コンデンサは全部仕様を調べて取り替えられるように購入しました。

 電解コンデンサはともかく、パワーアンプICもブリッジダイオードもまったく同じ型番の製品はなく、パワーアンプIC TDA2030とブリッジダイオードD2SBA20はTDA2030LとD2SB60Aという製品に。TDA2030LのLは鉛フリーのことらしいので大丈夫、ブリッジダイオードの20と60の違いは電流量の上限違いで、60の方が大きいから大丈夫と。大きさも同じです。

 

 電源周りのコンデンサーの交換とかは正直ものの分かった人以外はやらない方がいいです。場合によるとかなり危険です。とにかく電源抜いてからしばらくおいて、完全に放電させてから作業です。今回は2200μF程度なんでたいしたことはないですが、アンプによっては半端ないのがありますし。

 

 はずしてみたパワーアンプICは新品と比べると導通がないところがあって、やはり壊れていたようです。さて、組み立て直してギターをつないで電源スイッチを入れます。

 来ましたね。無事に直りました。

F-20はA,Bの2チャンネル仕様で、Aはボリューム一つ、Bは2ボリュームという構成で、切り替えて使うのですが、Aチャンネルはいい感じですが、Bチャンネルはちょっと音がギラついています。そこで念のため、Bチャンネルの電解コンデンサーも交換。でも変わらないですね。Bチャンネルで歪みも作れますが、あまり使える気はしないですね。やはりクリーントーンで勝負という感じでしょうか。

 

 F-20は3トーンちゃんとあって、あとリバーブさえあれば完璧なんですけど、そこだけは残念ですね。ただ、基板にはパターンがありました。

 音は、なんとも言えないですね。フェンダーとはまた違った味があります。トーンコントロールもよほど極端な設定にしない限り音が破綻しないというか、アバウトでもそこそこいい音になっちゃう安心感があります。

 残念ながら私はJCがダメなのです。低音出すぎるし、パワーありすぎるし、高音は抜けないでパキパキしちゃうしみたいな感じで。ギターがヤマハだからかな?

 

 小型アンプ2台で何やるのとかありますけど、ヤマハのアンプは最近買ったベースで使うのもありだし、フェンダーとクリーンとドライブで使い分けてもいいし、特性は違うけどステレオで出してもいいし、場合によったらキーボードアンプがわりにもなりそう。家の中だったら持ち運びも容易なので、持っていて損はないかなと思います。

 

 まずはアンプの音作りの勉強です。今まで所有したことのあるアンプは2トーンのやつばかりだったので、改めて3トーンでの音作りを極めてみたいと思ってます。先日はちょっと場所を借りて音出しとレコーディング。

 

 最後に、アンプの修理とか基本的にはやらないのが正しいです。なにがあっても自己責任になりますから。物好きの物語として読んで下されば幸いです。このクラスなら新品でも安いですから、新品を買うのが賢明かと。