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宝塚雪組「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」東京 [観劇感想(宝塚)]

宝塚雪組「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」東京
2020年2月24日(月祝)13時30分

東京でも見ることができました。
やっぱり素晴らしい!この世界観、好き。哀愁背負ったかっこいい男たちが語る物語の深さに惚れ惚れする。大劇場で見た後に原作映画も見た。長かった。私には宝塚版のほうが分かりやすい。マックスの描き方が全然違うことに衝撃を受けたけど、あとは宝塚のほうが好きだわ。小池先生の潤色は私の趣味に合う。

望海さんのスーツ姿は絶品で、宝塚史上指折りのマフィアスーツが似合う男役だと思う。歌声も指折りの絶品!CD全部そろえたい。真彩さんの歌もまた絶品。セリフ声も良いし、私は真彩さんの芝居が合うのか、とても心理が伝わってくるので共感できる。
彩風さんもスーツが似合う超絶スタイルで、やっぱりカッコいいし、朝美さんは歌声に哀愁があり気だるい美女に似合いすぎて、こういう娘役トップがいればいいのに、とまで思う。娘役がトップスターになるなら、この人しかいないと思える。あんなかっこいい男役さんなのにごめんなさい。でも今回の役をみて、そう思った。
彩凪さんの眉間の皺もまた必見。真那さんのコックアイが片目なのにも気づき(遅い)、パッツィの能天気な男らしい笑顔に惚れる。橘さん→奏乃さんのファット・モーの、生涯を通した「いい人」オーラはこの哀れな男たちの「救い」ですね。
フィナーレもかっこよかった。空手の稽古みたいな場面もあるけど、全体にダンディで素敵。やっぱりこの作品好き。雪組万歳って気分です。

20200224雪東京.jpg

今更ですが、ネタばれ満載です。



「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」
潤色演出 小池修一郎

東京で見て、「書くの忘れてた!」という部分を中心に書きます。


<コインロッカーのカギ>
鍵は銀行襲撃事件の直後に、モーがヌードルスに渡していたんですね。その後25年間、ヌードルスは大事に持っていた。ヌードルスの鍵、マックスの懐中時計、モーの大時計。みんな物持ちいいねえ。コックアイのハーモニカ、デボラの紅薔薇も入れて、みんな「象徴するモノ」があるのも素敵。それを思うだけで、胸が締め付けられる小物たちだ。
ところで。ロッカーのお金は、マックスが使い込んでたんですね。ヌードルスも、コックアイもパッツィも、いい子だったんだね。ちゃんと仲間を信じていたんだから。マックスだけが信じてなかった。マックスの不動産投資が成功していたら、また違った未来があったのに。マックスはヌードルス以上に日の当たる場所に這い上がりたかったんだなあ。切ないな。

<デボラの舞台衣装>
ショー場面でのデボラの衣装。あれは「1789」のマリーアントワネット登場のドレスや、大昔の花組のショーの月影瞳さんの大階段衣装と張りますね。すごいインパクトある衣装。月影さんの衣装も階段いっぱいだったので、これを思い出した。

<デボラとベイリー長官>
ラストのサナトリウムでの会話。ヌードルスに問われ、デボラはベイリーの愛人であることを否定してない。マックス=ベイリーとは10 年前から愛人なのね。何も知らずにデボラの訪問を喜んでいるキャロルが哀れになって、とても切ない。多分この時点でベイリーの正体を察しているヌードルスも感じていると思う。彼は親友マックスと最愛の女デボラも失っているので、もっと切ない。原作映画よりずっとずっと切ない。さすが小池先生、さすが望海さん。
マックスの生存とその後の行動、デボラとマックスの関係、マックスの結末を知って、ヌードルスが去っていくラストシーン。銀橋を渡り切るとすっきりした表情になるヌードルスが、とてもとても切なくて。息するのを忘れてしまう。なんて重い物語だろうって、ラストシーンが胸に迫るのだ。映画より私の好みだった。小池先生ありがとう。

<マックスって・・・>
原作のマックスは超がつくほど頭が良くて、そして冷酷で非情だ。最初からヌードルスたちに心を開いてない。最初から最後まで一人。コックアイとパッツィを犠牲にして、自分を殺し別人になることを密かに周到に計画している。そしてヌードルスに対する執着。ほとんど変質者レベルの執着を感じる。
でも彩風さんのマックスは違う。もっといい奴で仲間は仲間として愛しているのが感じられる。ヌードルスのことも好きだけど、友情の範囲内だ。性格が良くなった半面、ちょっと間抜けなラッキーボーイになってしまったけれど、宝塚だからこれでいい。そのせいで、ラストシーンがジムに嵌められた風に見えるのが、原作との大きな相違だと気付いた。マックスが一番の改編だったんですね。
ということは、ジムも変わってたのかな。彩凪さんのジムは、「自分の手は汚さない主義」と言い放つところからして、手の汚れることはいっぱいしているのに、「自分の」手を汚さないなんて、悪人の上を行く悪人ではないか!宝塚版では一番の極悪人がジムになってしまう。もしかしたら、銀行強盗をそそのかしたのもジム?!と思えるほどだ。(だから傷を負って追い詰められたマックスが頼ったのがジムだった?後の対応も迷いなく素早いしね)
マックスは商務長官になれる才能があった。ジムは見抜いていたから支援した? アカポリプスの4騎士のなかで、最初からマックスだけに深い話を持ち掛けている。

そしてマックスはジムの支援の下、デボラの願い通り、日の当たる場所での成功者となった。この経緯を、ヌードルスは察した。だからヌードルスはマックスの愛人となったデボラを責めないのね。二人の友情の象徴である懐中時計を返してもらい、友情は終わる。日の当たる場所に出られたのはどっちなのか。ヌードルスはマックスだと思い、マックスはヌードルスだと思ったのかもしれない。虚無感漂う場面です。あまりの緊迫感に、息をしていけない気分になって、また息が止まる。

デボラとマックスは自分の幸せを追求した。他人を蹴落とし気にかけない強さがあった。そうして心が満身創痍となっても、二人とも日の当たる場所へ出た。他人(愛する人)のことを考えて動いたヌードルスとキャロルは悲惨な人生。やりきれないアメリカンドリームだわ。
この後過去を吹っ切れたヌードルスが、カンサスの田舎町で穏やかで素朴な優しい女性と結婚して(可愛い連れ子あり)、平凡な幸せを手に入れることを切に願う。彼の余生が幸せでありますように。


<ラインダンス>
初めて気づいた。パッツィが弾けすぎ~女装して踊ってる!!というほど、漂うオカマ感。なぜあんなに男らしいガタイと顔の縣さんにラインダンスをさせようと思ったのか、なぜロケットボーイではなく、フリフリのラインダンス衣装を着せようと思ったのか、決めた人を問い詰めたい。

<フィナーレ>
彩凪さんと朝美さんが男役二人で歌う銀橋から始まる。ああ朝美さん男に戻ったのね~男でも女でも同じ顔なのに美形やわ~と見とれる。望海さんが娘役さんに囲まれる。潤花さんはお芝居の間はほとんど記憶にないけど、ここでは可愛くて目立つ。ショーの人なのね。そして一番目立つ舞咲さんと早花さんという退団される重役お姉さまを両手に、望海さん。気がつくと大階段に男役が座っている。座り方が個性に合わせてバラバラですが、かっこいい。
その次の場面は男役が激しく踊るのですが、途中空手の練習みたいな振り付けがある。まず2人組、つぎに3人組で乱取り!みたいな。大変激しいのだが、動きが激しすぎて、みんな違う動きすぎて目がついていかない。わからないなりに、目に入ってくるので、途中で上手と下手のメンバーを入れ替えてくれる親切設計が嬉しい。
デュエットダンスでは、リフトも見事で、大拍手。黒系の衣装がお似合い。エトワールは舞咲さん。早花さんは歌無しでセンター降り。大羽根は望海さんだけ。一本ものだけど、衣装がスーツ(さらに劇中ではみんなタキシードとドレスで正装してる)なので、キャロル以外は劇中衣装だと気がつかない感じ。キャロルが指標なのだ。あの緑のドレス素敵。


<1列目から見える世界>
1列目での観劇は、私の人生の大半を占める数十年に及ぶタカラヅカファン歴を通しても、片手に収まる回数だ。今回その幸運に恵まれたので、幸せも記録しておく。
圧が凄いの!!!特に銀橋。近いから、生声も聞こえるし、顔も視線もばっちり見える。だから舞台からの圧力を、物理的に感じるのだ。あまりの圧に、息が止まる場面もある。(お年寄なら危ないのでは?と危惧するほど。いや年齢を重ねると耐性がつくのか、強くなるのかもしれない。)
特に芝居の入っていないフィナーレのパレード。銀橋にずらりと並ばれると目が足りない状態で、目の前の人を見つつも、気になる人を見ようとあがいてしまう(慣れないもんで、挙動不審やね)。するとだ、ちょうど私の真ん前にいた彩凪さんから、「余所見するなよ?」というメッセージを載せた強烈なウィンクが飛ばされてきました。。。。撃墜されました。その前後のことは記憶にありません。これがプロのジェンヌ(?)の攻撃力なのね!と感動のあまりまた息が止まってしまった。寿命が延びたのか縮んだのかわからない。
冒頭に書いたように、1列目ではひたすら銀橋をうっとり見上げ続けた。宝塚大劇場で見ているのでストーリーは頭に入っていたので、1列目を堪能するため、銀橋はただひたすらうっとりとジェンヌさんを見上げることに徹したのだ。おかげでコンタクトが乾いてしまって目が痛かった(瞬きも忘れたようだ)。望海さん、朝美さん、彩凪さんほんっとに綺麗な造形だ。朝美キャロルみたいな顔だったら、人生全く違っただろうというのが感想まとめ。そこに彩風さんのスタイルだったら(以下同文)。
一列目、堪能しました。次の幸運はいつでしょう・・・。心臓鍛えて待ってます。



能天気に書いている間に、世の中は刻一刻と状況が深刻になっているようですね。
そういえば、帰りの新幹線がガラガラだったなあ。早く能天気に観劇できる状況に戻ってほしいですね。と手元にあるチケットを眺めつつ・・・

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東京宝塚劇場ロビーに飾ってあったお雛様



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サクラとすみれ

えりあさん。東京も観られたんですね!
私もギリギリセーフで、観れました!
中止が残念すぎます。。。
「空手の稽古みたいな場面」の表現がツボに入ったのですが、
彩彩(咲ちゃん&凪様)で絡むとこの振りですか?
それとも、望海さんがはける前の振りですか?
気になります。
個人的にフィナーレ望海さんが、手をぐるぐるして「何かを攪拌してるポーズ」を取って、こっちをずーっと見つめてくれるのがたまらんかったです。人生初のSS席センターでした。えりあさんのSS席アングル文書にひたすら同意しながら読みました。
ハバナ祭りで、銀橋はける時に諏訪くんが、ウインクしてくれたのも思い出。新人公演中止残念です。
あぁダビデの星よ……
by サクラとすみれ (2020-02-27 22:00) 

えりあ

サクラとすみれさん

お尋ねの件、彩彩の場面です!!
みんないろいろな形の組手やってて、「おお!道場のようだ」なんて思いました。望海さんのぐるぐるポーズもありましたね!謎の振り付けの多いフィナーレです(笑)でも好き。

ハバナ祭りは、センターで身軽そうに満面の笑顔の組長にくぎ付けでした~諏訪さんもその横でいい味出してましたね。宝塚での新人公演のあいさつで「東京までにもっとお稽古する」と気合を入れてらしたので、その成果が見られず残念です。

東京公演はぎりぎりで見れたんだなあと~でも手元にある星組公演は中止となりました(泣)
銀橋からの彩凪さんのウィンクを思い出して、休演中は宝塚を堪能しておきます。
毎日何事もなく過ごせることがいかにありがたいことか・・
ダビデの星様、お願いしますよ~

by えりあ (2020-02-27 23:52) 

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